第321回 「紡ぐ」~愛媛の未来プロジェクト~
この5月、愛媛FCが新たなクラウドファンディングのプロジェクトをスタートさせた。
愛媛FCでは現体制のもと、2022年から「みんなで紡ぐ」をテーマにクラウドファンディング企画を開始。
第1弾では、サンパーク練習場の施設内(トレーニングルーム)に設置されるトレーニング器具やメディカル器具などの購入のためのクラウドファンディングを実施。結果、たくさんの方々によるご支援を受け、目標金額である10,000,000円を超える11,061,012円という資金を集めることに成功した。
昨年に行われた第2弾では、同サンパーク練習場の施設内に設置される超音波治療器や分析用カメラ、夜間練習用照明やピッチの水はけ管理用スポンジ・エアレーションなどの購入のために実施された。そして、この第2弾でも多くの方々のご支援があり、目標金額8,000,000円に対し8,399,986円という当初の目標を超える資金を集めプロジェクトとして成功を収めた。
2022年に行われた第1弾、2023年に行われた第2弾プロジェクト実施にあたり、主催のクラブ側では、クラウドファンディング協力者に対し、(協力頂いた金額に応じた)様々な返礼品が用意され、実際にリターンしてくださった。
私も大きな額ではないが協力させて頂いたことから、返礼品を頂き有り難く思うし、またプロジェクトが成功し、トップチームの練習環境が良くなっていることを嬉しくも感じている。
でも何より嬉しかったのは昨年、愛媛FCがJ3リーグ優勝&J2復帰を成し遂げたことである。間違えなくクラウドファンディング協力者に対する「最高の返礼品」となったのではないだろうか。
クラブを応援している私達が、クラウドファンディング企画を通じて、(練習環境の改善に協力したことにより)愛媛FCトップチームを強くし、リーグ優勝へと導いたとも思えて、とても誇らしい。少し言い過ぎかとも思うが、プロジェクトに参加したことでサポーターの立場を超え、クラブのプチオーナーになった気分にも浸れるのである。
今年の5月には「みんなで紡ぐ~愛媛の未来プロジェクト~」と題した、新たなクラウドファンディング企画がスタートした。
今回の目的は、愛媛FCの下部組織や育成組織がトレーニングや公式戦や練習試合などで日々使用している「愛フィールド梅津寺」(松山市梅津寺町)の人工芝の張替えである。
人工芝グラウンドを有する「愛フィールド梅津寺」は愛媛FCのスクール生(小学生)、U-15チームやU-18チーム、愛媛FCレディースや愛媛FCレディースMIKANなどが使用しており、選手たちの成長や競技技術向上にとって大切な施設である。
前回の張替えから約7年が経過している愛フィールド梅津寺の人工芝。練習だけではなく公式戦も行われているピッチなので、激しいプレーにより、芝の葉の先端が削られていたり、クッションとなるゴムチップも場所ごとに偏り始めている。
U-18の公式戦の際、横断幕設置のためピッチサイドに入らせて頂く機会があるのだが、紐を括るため人工芝に膝を着くとゴツゴツとした感覚があり固くなっている部分もある。
更に経年劣化によりグラウンド内に凹凸も生じているようなので、選手たちの怪我を防ぐためにも早期の張替えが必要に思われる。
実際、3年程前から足や手首の骨折でギプスを着けている(育成組織の)選手達と施設内にて出会うことが度々あり、心配していた。人工芝の劣化が直接的な原因ではないかもしれないが、成長段階にあるアカデミーの選手達には、より良いピッチコンディションでの練習や試合に励んで頂きたい。
Jリーグでのホームグロウン制度が進む中、クラブにとってアカデミーを取り巻く環境の整備は、今後も大事な取り組みとなりつつある。
潜在的な能力を有する多くの子供たちに愛媛FCアカデミーへの入団を選んでもらうためにも美しく魅力的なグラウンドや練習環境を整えていくことは急務と言えるのかもしれない。
今回のクラウドファンディングの目標金額は20,000,000円。受付期間は2024年6月21日(金)までとなっている。返礼品も様々なものが設定されているので、ご興味のある方は、愛媛FC公式ホームページをチェックして頂きたい。
クラブ創設以来、選手育成に力を注いできた愛媛FCにとって重要な施設である愛フィールド梅津寺。是非とも今回のプロジェクトも成功させて頂きたい。
トップチーム専用の天然芝グラウンド練習場の整備を機にスタートしたクラウドファンディング企画や各種の支援活動の実施。これにより一時期停滞していた県内のサッカー競技の環境整備が少しずつ進み始めている。
今後も留まることなく、未来に向けて良き流れを創っていきたい。
<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。