ホームで行われたお盆期間中の6連戦、3勝1敗2分と勝ち越すことができました。後期もチーム状態は良かったり、悪かったり。いい勝ち方をして波に乗るかと思えば、投打がかみあわない試合もあります。ただ、上位陣が混戦になっているおかげで、5位ながら首位とはわずか1ゲーム差。残り16試合が勝負です。

 投手陣はNPBのスカウトも注目する篠原慎平、6勝をあげている川西祐太郎らが先発、前回もこのコーナーで紹介した西川雅人が抑えとメンバーが揃ってきました。他球団が故障等で投手陣のやりくりに苦労する中、愛媛のピッチングスタッフは現状、6球団で一番いい状態と言えるでしょう。

 となれば、逆転優勝のカギを握るのは攻撃です。中軸を打つ大島慎伍はコンスタントに打っていますが、檜垣浩太比嘉将太と昨シーズン打率3割を打ったバッターの調子が上がってきません。彼らが本領を発揮すれば、高校、大学で実績のある嶋田好高らに打線がつながっていくのですが……。ただ、ここにきて2人にも光が差してきました。

 檜垣は、今季、当てにいく打撃が目立ちました。バックスイングが大きすぎたため、「とらえた」と思っても振り遅れてしまっていたのです。その悪い面が修正され、打ち方がいい形に戻りつつあります。このホーム6連戦では3本のホームランを放ち、センター前に鋭い打球が飛ぶようになってきました。

 一方の比嘉はどうしても肩が開き、胸が相手ピッチャーのほうを向いてしまうバッティングをしていました。腰を痛め、回転で打つことができなかった影響もあったのでしょう。しかし、彼も状態が上がりつつあります。投手陣は「抑えの西川につなげ」と一丸になっていますから、攻撃陣も「大島、檜垣、比嘉の中軸につなげ」という雰囲気が生まれてくれることを期待しています。

 愛媛がここまで勝ちきれなかったのは、同じ相手に同じような負け方をしてきたからです。たとえば、高知の最多勝投手・西川徹哉には1勝3敗、野原慎二郎には0勝2敗と負け越しています。2人とも決して球威があるほうではありませんが、低めの変化球で術中にはまってきました。しっかりと打つボールを絞り、甘く入った球を逃さない。攻略には球の見極めと思い切りの良さが必要になります。

 今週末は、その高知とのホーム3連戦です。体力的にもきつかった6連戦を好成績で終え、金曜日のゲームまで気持ちの乗った状態で高知対策ができます。17日の試合で1勝3敗と同じく苦手にしていた福岡の中江信を打ち崩したこともチームには大きな1勝でした。3連戦で先発が予想される西川、野原を相手に勝ち越せば、波に乗ってくるでしょう。

 4期連続優勝を続けている香川が負けないチームとなったのは、やはり初優勝した2006年のシーズンを制したことがきっかけでした。優勝争いの中で、香川の選手たちのレベルがみるみる上がったことが、とても印象に残っています。愛媛の選手たちも負けられない試合を体験し、そこで勝ち切ることで何かが変わっていくはずです。優勝というチームの目標を達成できた時、それは自分の夢へ近づく時にもなるでしょう。

 ここから先はトーナメント方式です。1試合、1試合、全力で勝ちに行きます。最後まで順位はめまぐるしく変わると思います。でも、最後には愛媛がトップでゴールを駆け抜けます。優勝への手ごたえ? それは充分、感じています。


沖泰司(おき・やすし)プロフィール>: 愛媛マンダリンパイレーツ監督
 1961年1月5日、松山市出身。松山商、明治大を経て社会人のスリーボンドで頭角をあらわし、チームの主軸を務める。86年ドラフト4位で内野手として日本ハムファイターズに入団。90年の退団までに投手以外のポジションは全てこなし、ユーティリティプレーヤーとして活躍した。アイランドリーグでは初年度に愛媛マンダリンパイレーツのコーチを務め、2年目からは監督に就任。07年シーズンは前後期ともチームを2位に押し上げた。



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