8月17日(日)、J2第31節となる愛媛FC対サガン鳥栖の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 今シーズンのJ2も、いよいよ第3クールへ突入。上位を目指すためには、これからの一戦一戦、貪欲に結果を求めていかなければならない。
(写真:身体を張ったディフェンス)
 今日の愛媛県総合運動公園の上空には、黒雲が低く垂れ込めているものの、雨の心配は無さそうで、ピッチコンディションも概ね良好のようである。 
 夕暮れ時を迎え、照明灯がピッチの芝を青々と浮かび上がらせる中、時刻は午後7時を廻り、サガン鳥栖のキックオフで試合がスタートした。

 立ち上がり、相手によるロングフィードを多用した攻撃で、自陣に押し込まれるシーンが目立つ愛媛FC。そんな中、敵のフィードボールを上手くカットして、ボールをキープしつつ、細かくパスを繋いで、敵陣内へと攻め入り、反撃を試みる愛媛イレブン。

 前半8分、キープしたボールを前線でパス廻しし、中盤のMFキム・テヨン選手が一旦、足元に収める。敵陣中央でフリーとなっていたMF赤井秀一選手へ向けてパスを送るキム・テヨン選手。ボールを受けた赤井選手は、前が開けていることを確認するや否や、右足を豪快に振り抜き、ロングシュートを放った。

 まだゴールまで30メートル以上距離があるかと思われる位置から放たれたシュートだったが、矢のようなボールが勢いそのままにゴールマウス目掛けて低空を突き進んで行った。意表をつかれた敵GKが捕球に向かうが、ボールの勢いを止められずファンブル。こぼれ球を押し込もうとFW田中俊也選手がゴール前に詰めるが、敵DFにボールをクリアされ、惜しくも得点には至らなかった。しかしながら、素晴らしいシュートをみせてくれた赤井選手へ向けて、サポーターからは彼を称えるコールが送られた。
 
 攻撃のリズムを掴み始めた愛媛FC。カウンター攻撃も冴えをみせる。
 前半11分、自陣深い位置まで相手に攻め込まれるが、敵のパスを奪い、瞬時にカウンター攻撃を仕掛ける。奪ったボールを繋ぎ、右サイドスペースをMF横谷繁選手が、ドリブルで駆け上がる。敵DFに行く手を塞がれるが、田中選手とのワンツーパスで、これを突破し、更に同サイド敵陣深い位置まで、ボールを持ち込んだ。

 左サイドスペースへとサイドチェンジしながら、ペナルティエリアへと駆け上がる田中選手を確認した横谷選手は、敵ゴール前へとアーリークロスを供給する。ペナルティエリアで、このボールを受けた田中選手が、トラップを挟みつつ、敵DFをかわしながら、右足を鋭く振り抜き、グラウンダーのシュートを放った。しかし、敵GKが身体を被せながら必死のセービング。残念ながら得点には至らなかった。
 それでもスピーディーでダイナミックなカウンター攻撃に対し、スタンドからは歓声と拍手が湧き起こった。

 前半25分には、横谷選手が敵陣左サイドにて敵からファウルを受け、フリーキックのチャンスを得た。敵陣左サイド深い位置からのフリーキック。これを蹴るのは、赤井選手。守備につく敵GKが、ゴール前で右寄りに動いたのを見て、瞬時にゴール左隅に向けて、直接ゴールを狙ったシュートを放った。敵GKは、慌ててキャッチングに向かうが、見事にゴールイン! 大歓声が湧き起こる。

 しかし、「先制点をモノに出来た!」と喜んだのも束の間。次の瞬間、主審からオフサイドのため「ノーゴール」との判定が下されたのだ。場内の歓声がため息へと変わってしまった。
 
 スコア0−0で折り返した後半戦、ディフェンスラインでの連携ミスなどから、相手に2点を献上してしまう愛媛FC。2点のビハインドが重く圧し掛かる中、それでも諦めず攻め続ける愛媛イレブン。
(写真:敵陣へ向け、ドリブルで攻め上がる)

 後半22分、赤井選手が敵陣中央でボールをキープした。左サイドスペースに陣取るMF江後賢一選手へ向けてフィードボールを供給。ボールを受けた江後選手が、そのままドリブルで同サイドを駆け上がり、ゴール前に向けてグラウンダーのクロスボールを出した。ペナルティエリアまで侵入していた田中選手が、このボールを捉えるため、ゴール前に向かって、足からスライディングで突進するが、ボールをゴールマウスへと押し込むことは出来なかった。

 その後も敵ゴールを目指して、全力で攻め続けた愛媛イレブンだったが、時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。結局、最終スコア0−2で愛媛FCの敗戦となった。
 
 今節、相手のシュート数を上回る18本のシュートを放ちながら、敗れてしまった愛媛FC。残念ではあったが、得点をもぎ取るために最後までみせ続けた貪欲なプレーは、大いに評価出来るものだと思う。「STRONG WILL(揺るぎない意志)」がチームスローガンとして掲げられ、意識して取り組まれる中、選手個々の精神力が、逞しく成長しているように感じられた試合であった。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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