第793回 ノーノーはMLB成功の条件?
5月24日の巨人・戸郷翔征に続き、6月7日、広島・大瀬良大地がノーヒット・ノーランを達成した。いわゆる“投高打低”の今季、もう1回くらいはノーヒット・ノーランが見られるかもしれない。
<この原稿は2024年7月1日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
33歳の大瀬良は、広島に骨を埋める気持ちが強いようだが、24歳の戸郷は近い将来のメジャーリーグ挑戦を視野に入れている。
そこで近年、MLBで成功を収めているピッチャーを調べてみると、日本でのノーヒット・ノーラン達成者が多いのだ。
出だしこそどうなることかと心配されたものの、6月10日現在(日本時間)、6勝2敗、防御率3.00とすっかり自信を取り戻した山本由伸(ドジャース)は22年6月、23年9月と2回も大記録を達成している。
逆にこのところ打ち込まれることが多くなったものの、それでも6勝1敗、防御率1.96と健闘している今永昇太(カブス)も22年6月に、ノーヒッタークラブの仲間入りを果たしている。
MLB通算67勝の前田健太(タイガース)は12年4月、MLB1年目の昨季、12勝(7敗)をあげた千賀滉大(メッツ)も19年9月にノーヒット・ノーランを達成している。
もう少し時代を遡れば、MLB通算39勝の石井一久は97年9月、同じくMLB通算8勝の川上憲伸は02年8月に大記録をなしとげている。
いや、まだいる。MLBでは2勝しかできなかった井川慶は04年10月、同じく2勝に終わった山口俊も18年7月に達成しているのだ。
こう見ていくと、日本でのノーヒット・ノーラン達者成が必ずしもMLBでの成功を約束しているとは言えないものの、海を渡る際のパスポートの役割を果たしていることに気付く。
MLB志望といえば、今オフにもポスティングシステムを利用しての移籍が噂される佐々木朗希(千葉ロッテ)は22年4月に完全試合を達成している。ちなみに完全試合を手土産にして海を渡った日本人投手は、まだひとりもいない。