9月20日(土)、J2第36節となる愛媛FC対ヴァンフォーレ甲府の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 現在(第35節終了時点)リーグ戦13位の愛媛FC。難敵・甲府相手ではあるが、何とか勝ちを収め、ひとつでも上の順位を目指したいところだ。
(写真:敵陣ゴールライン際でのボール争奪戦)
 晴天に恵まれた今日の愛媛県総合運動公園。日中は真夏が戻って来たかのような暑さだったが、夕暮れ時を迎え、ようやく秋口の涼しさを取り戻しつつある。ピッチコンディションだが、夏枯れしている芝の部分が、ところどころ見受けられるものの概ね良好。好ゲームが期待できそうだ。
 
 照明灯が鮮やかにピッチを浮かび上がらせる中、時刻は午後7時を廻り、甲府のキックオフで試合がスタートした。
 立ち上がり、相手にボールをキープされ、自陣へ攻め込まれるシーンが多く見受けられるなど、守勢が続く愛媛FC。それでも試合開始20分を過ぎた頃から、素早いパス交換やロングフィードなどを駆使して、敵陣へと徐々に攻め込む姿勢を見せ始める。

 前半22分、右サイド高い位置へのロングフィードに追いついたMF赤井秀一選手。ボールをキープしつつ、同サイド後方に陣取るMF横谷繁選手へとパスを送る。横谷選手はペナルティアーク付近に陣取るMF江後賢一選手へボールを送る。パスを受けた江後選手が細かくトラップを重ねながら、敵DFを振り切り、強引なドリブル突破でペナルティエリアへと侵入。ゴール正面に陣取るFW田中俊也選手へとラストパスを供給する。

 ボールを受けた田中選手は、敵DFをかわしながら左足でグラウンダーのシュートを放った。しかし、ボールはゴールマウスを捉えることができず、惜しくもゴールポスト左外側に外れてしまった。シュートが外れた瞬間、場内からは溜め息がこぼれたが、素晴らしい攻撃展開に対して、観客からは、拍手が送られた。

 こうした愛媛イレブンによる素晴らしい攻めが見え始め、「試合の流れは、確実に愛媛FCへと傾きつつある」と思われたが、前半32分、敵によるロングフィードからの素早いカウンター攻撃で、もろくも失点を喫してしまった。欲しかった先制点は、相手に献上することになってしまったのだ。
 
 サポーターからは、「まだまだ、試合はこれからだ!」とばかりに、コールの大合唱が、選手たちへと送られる。選手たちも声援に応えるべく、反撃に向けて、力強いプレーを繰り返す。

 前半45分、右サイドに開いたDF星野真悟選手から、同サイド高い位置へと攻め上がる構えを見せていた田中選手の足元へスルーパスが通される。ボールを受けた田中選手が、同サイドをドリブル突破で駆け上がる。敵DFを引き付けつつ、ペナルティアークへと攻め上がってきた赤井選手へとパスを送る田中選手。このボールを捉えた赤井選手が、ノートラップのまま豪快に左足を振り抜いた。弾丸シュートは、敵GKの横を擦り抜けたが、惜しくもゴールマウスを捉えることができず、ノーゴール。前半戦は、0−1と相手にリードを許したまま終了した。
 
 後半戦序盤、敵の素早いチェックに手を焼くものの、相手の隙を突くカウンター攻撃などで、徐々に攻めのリズムを掴んでいく愛媛FC。
 後半20分、敵が自陣に攻め込みパワープレーを展開する中、ボールを奪い返した愛媛が、カウンターの攻撃を仕掛ける。自陣の赤井選手からのパスを受けた横谷選手が、右サイドをドリブルで駆け上がる。ペナルティアークに陣取る田中選手に一旦、ボールを預ける横谷選手。ペナルティエリアのライン上まで攻め上がり、もう一度ボールを受け取る。
(写真:折り返しを信じてゴール前へポジショニング)

 その横谷選手が、ペナルティアーク側に陣取るフリーの赤井選手へとパスを送る。このボールを捉え、ダイレクトにゴール前へとロビングのクロスボールを供給する赤井選手。このクロスボールをゴールへと押し込むため、ジャンピングボレーシュートの体勢に入る田中選手。しかし、敵DFと接触して、両者は倒れ込んでしまった。

 そこから、こぼれたボールをゴール前に詰めていたFW若林学選手が捉え、スライディングシュートを放った。決定的と思われたが、敵GKが必死のセービング。惜しくも得点には、至らなかった。
  
 後半22分、DF高杉亮太選手が相手のフィードボールをカットした。こぼれたボールをセンターサークル付近に陣取るMF青野大介選手が足元に納め、そのまま敵陣中央に向けてドリブルで駆け上がる。敵DFラインを牽制しつつ、右サイドからペナルティエリアへと攻め上がる若林選手を確認し、絶妙のスルーパスを供給する青野選手。このボールを捉え、ダイレクトに右足でシュートを放つ若林選手。

「今度こそ、ゴールだ!」と思ったのだが、敵GKが正面でキャッチ。惜しくも得点には至らなかった。絶妙のスルーパスが通り、GKとの一対一の局面だっただけに、ゴールを決めて欲しかったが、残念だ。
 
 その後もセットプレーなどから、幾度となく得点機を迎えるのだが、ゴールには結び付かず、ついにはタイムアップ。試合終了となってしまった。結局、最終スコア0−1で、愛媛FCの惜敗という結果となった。
 
 ファウル紛いの厳しいプレッシャーを仕掛けてくる甲府のディフェンスに対し、序盤、戸惑いを見せていた愛媛イレブン。しかし、それをかいくぐり、攻撃をうまく組み立て、フィニッシュまで繋げることができたことは、評価できる部分であると感じた。しかし、最大の課題である「決定力」という部分では、まだまだ上位チームには及ばないことも明らかになったのではないだろうか。
 
 2008年のリーグ戦も、いよいよ終盤。観客が、スカッとするような、気持ちの良い試合を、是非ともみせてほしいものだ。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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