11月8日(土)、J2第42節となる愛媛FC対ロアッソ熊本の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 現在(第41節終了時点)リーグ戦14位の愛媛FC。今節の対戦相手は、13位のロアッソ熊本。愛媛にとっては“勝てば順位が入れ替わる”という大事な一戦である。この試合、是が非でも、勝利を手にしたい。
(写真:強風が吹き荒れるニンジニアスタジアム)
 今日のニンジニアスタジアムは、午前中まで降り続いていた雨は上がったものの、厳しい北風はおさまることを知らず、ピッチ上を駆け抜けている。吹きつける強風のせいか、体感温度は、とても低く、拍手する手が悴んでしまうほどだ。 

 時計は午後1時を回り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 前半立ち上がり、フィードボールで攻撃を仕掛け、敵陣へと進攻して行く愛媛イレブン。強風の中ということもあり若干、ロングフィードのコントロールには、手こずっているようにも見受けられるが、ボールキープ力は上々である。

 まずまずの試合展開を見せていた愛媛FCだったが、突然の悪夢がイレブンを襲う。
 前半6分、敵陣へ攻勢を仕掛けている間に手薄となった守備体系をつかれ、カウンター攻撃一発で、あっさりと先制を許してしまったのだ。

 一瞬、静まりかえるスタンド。
「まだまだ、これからだ!」
 観客から、愛媛イレブンを鼓舞する檄が飛ぶ。

 浅い時間帯での失点だけに、重く考えず、早く奮起して追いつきたい愛媛FC。ディフェンスポジションの選手たちによる果敢なオーバーラップなどで、猛反撃が開始された。
 前半22分、敵のパスをインターセプトしたDF三上卓哉選手が、自陣左サイドスペースから、敵DFライン裏のスペースへ向けてロングフィードを供給。裏へ抜け出し、このボールに追い着いたMF宮原裕司選手が、ドリブルでペナルティアークまで侵入する。

 右サイドを駆け上がるMF赤井秀一選手へとパスを送ろうとするが、敵DFにはじかれ、こぼれ球が再度、宮原選手の足元へと戻る。その間に、勢いよくペナルティアークへと攻め上がってきたのは、MF千島徹選手。宮原選手はその千島選手へとラストパスを供給する。ボールを受け、ワントラップを挟みながら、スライディングシュートを放つ千島選手。しかし、シュートはゴールポスト左外側へそれてしまった。

 前半41分、敵ゴール前からのクリアボールを足元におさめた宮原選手が、右サイドスペースへと開いたMF青野大介選手へとパスを送る。ボールを受けた青野選手が、ゴール前に向けてアーリークロスを供給。敵DFが、頭ではじき返しに向かうが、中途半端なクリアとなり、ペナルティエリアにルーズボールが転がった。

 そこに駆け込んできたのは千島選手。このボールを捉え、左足を豪快に振り抜いた。弾丸シュートは、ゴールに向かって突き進む、しかし、敵GKが行く手に立ちはだかり、惜しくもゴールならず。
 
 1点ビハインドのまま、後半戦突入。
 後半5分、愛媛FCによるコーナーキックからの攻撃中、敵のクリアボールを拾ったDF関根永悟選手が、敵陣中央に陣取る宮原選手へとパスを送る。ボールを受けた宮原選手が、左サイドスペースへと開く赤井選手へとパスを通す。このボールを捉えた赤井選手が、ダイレクトにペナルティアークへとアーリークロスを供給。敵DFが、このクロスをクリアしきれず、ペナルティエリアに、こぼれ球が転がる。

 ペナルティエリアへと攻め上がっていたDF金守智哉選手が、このボールを拾い、ゴール前にロビングのクロスを折り返した。ゴール正面に駆け上がってきたFW横山拓也選手は、このボールを捉え、ジャンピング・ヘディングシュート。地面に叩きつけるように放たれたシュートは、バウンドしながら敵ゴールマウスへと襲い掛かる。しかし、ゴールラインギリギリの所で、敵DFにクリアされ、惜しくもゴールには至らなかった。

 後半18分には、自陣からのリスタートのボールを宮原選手が受け、敵DFライン裏のスペースを狙ってロングフィードを供給。裏へと飛び出したFW内村圭宏選手が、ペナルティエリアで、このボールに追いつき、角度の無い位置からシュートを放つ。ところが、またもや敵GKに阻まれ、ゴールならず。

 その後も、幾度となく得点機をつくり出すもののゴールにはつながらず、時間が経過。ついにタイムアップを迎えてしまった。結局、最終スコア0−1。愛媛FCの悔しい敗戦となった。

 今節を終了した時点(第42節終了時)で、J2チーム中、リーグ戦総得点数(34点)が最下位の愛媛FC。2008シーズンも残り3試合となった。願わくば、ストレスが溜まるような試合は観たくない。慢性的な決定力不足を“どのように、解決すべきなのか?”。チーム全体で、この難問へ取り組んでいただきたい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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