19日に都内で行われた大学・社会人ドラフトで四国アイランドリーグからは育成選手を含めて6名が指名を受けた。ヤクルトが6巡目で三輪正義(香川)、育成枠で小山田貴雄(高知)を獲得。千葉ロッテは育成枠で宮本裕司(高知)、小林憲幸(徳島)、白川大輔(高知)の3選手を、オリックスも同枠で梶本達哉(愛媛)を指名した。リーグでは過去2年間で計5名のNPBプレーヤーを輩出したが、今回はそれを上回る6選手をNPBに供給することになる。

▼各指名選手、喜びの声
 内訳は高知が3名、その他の3球団が1名ずつ。アイランドリーグ全球団の選手が指名を受けたのは初めて。特に小林投手は徳島にとって初のNPB選手誕生となる。また昨シーズン、9月にスポット在籍し、約1カ月間徳島インディゴソックスに在籍した多田野数人(3Aサクラメント)が、北海道日本ハムからドラフト1巡目指名を受けた。

(各選手、喜びの声)

香川・三輪正義(ヤクルト6巡目)
 まだ実感がわかない。ヤクルトは交流戦で戦ってみてセ・リーグの中でいい球団というイメージがある。ユニホームもカッコいいので楽しみだ。
(今季の盗塁王は)柳田聖人コーチ(シーズン中に退団)からスタートの切り方、走塁のテクニックをしっかり教えてもらったおかげ。守備と走塁のプレースタイルが認められて指名されたと思うので、まずはこの部分でどんどんアピールしたい。お手本は宮本慎也選手。神宮のスコアボードに伊藤秀範投手とスタメンで名前が一緒に出るよう頑張りたい。

【プロフィール】
 1984年1月23日、山口県出身。身長168センチ、体重67キロ。右投左打の内野手。リーグ初年度(05年)に香川へ入団し、1年目からチームのレギュラーを張った。ヤクルトが「足が速く、守備もうまい」(岡林洋一スカウト)と昨年から注目していた選手のひとり。今季は40盗塁を決め、初タイトルを獲得。当初は育成指名の予定だったが、機動力を重視する高田繁新監督の方針で、6巡目にすべりこんだ。

高知・小山田貴雄(ヤクルト育成1巡目)
 素直にうれしい。父(故・健一氏)と同じチームに入ることになるが、ヤクルトには明るく、他のチームにはないまとまりがあるイメージがある。投手から捕手に転向して、ゲームを作るのは投手だが、それをリードする捕手もやりがいのあるポジションだと思っている。
 肩の強さには自信がある。まずは、現在いるヤクルトの捕手に少しでも追いつけるように頑張る。アイランドリーグの代表として、伊藤投手、三輪選手とともに1軍で活躍したい。伊藤投手と勝利のハイタッチができたら最高ですね。

【プロフィール】
 1983年1月11日、神奈川県出身。身長190センチ、体重100キロ。右投右打の捕手。高知に入団1年目は投手をしていたが、藤城和明監督(当時)の勧めで2年目の捕手に転向した。投手時代はMAX146キロを投じた肩の強さを生かし、スローイングに磨きをかけた。この10月のフェニックスリーグのヤクルト戦で1イニングに盗塁を3つ刺し、夢をつかんだ。父・健一氏(故人)はヤクルトのブルペン捕手を務めていた。

愛媛・梶本達哉(オリックス育成1巡目)
 オリックスは地元の球団になるし、素直にうれしい。まだまだプロでやっていけるとは思っていないが、4月にソフトバンクとの交流戦で抑えて少し自信がついた。まずは支配下登録されることが目標。自分の持ち味である直球でしっかりアピールする。藤川球児(阪神)のようにわかっていても打てないボールを投げたい。

【プロフィール】
 1986年8月21日、兵庫県出身。身長187センチ、体重72キロ。右投右打の投手。今季より天理大を休学して愛媛に入団。キレのあるストレートを武器に4月の福岡ソフトバンク戦で相手打線を三者三振にしとめ、スカウトの注目を集める。シーズン通して先発ローテーションを守り、15勝をマークして最多勝のタイトルを獲得。オリックス前監督の中村勝広球団本部長も「若さ、素材を評価した。かなり期待できる」と早期の支配下登録を心待ちにしている。

高知・宮本裕司(千葉ロッテ育成2巡目)
 ほっとした。ロッテのトライアウトでは結果を出せなかったが、(会場の)千葉マリンにまた戻ってプレーしたいという気持ちが実現してうれしい。ドラフト会議まではずっと、それを祈っていた。
 自分の特徴であるバッティングを生かし、早く角中(勝也)に追いつけるように頑張りたい。四国の3年間がなければ今の僕はなかった。人生の中でかけがえのない3年間になった。(ファンに好評の)ブログもぜひ続けていきたい。

【プロフィール】
 1983年1月7日、和歌山県出身。身長182センチ、体重85キロ。右投左打の捕手。1年目より扇の要として攻守に活躍し、高知を初代リーグチャンピオンに導く。リーグMVPとベストナインを同年に受賞。その後は打撃と俊足を生かすため、外野にも挑戦。そのユーティリティープレーヤーぶりが獲得につながった。10月のフェニックス・リーグでもNPBの各チーム相手に勝負強い打撃を披露している。

徳島・小林憲幸(千葉ロッテ育成3巡目)
 知らせを聞いてびっくりした。でもうれしい。シーズンはふがいない成績で迷惑をかけたが、最後のチャンスと思ってトライアウトを受けた。そこでいいパフォーマンスを見せられた。
 プロ入り後もコントロール面の課題を修正しつつ、球威で押していきたい。自分は中継ぎ、抑えが向いていると思う。セットアッパー役としてチームの顔になりたい。

【プロフィール】
 1985年2月9日、埼玉県出身。身長181センチ、体重80キロ。右投右打の投手。リーグ創設とともに徳島に入団。MAX147キロの速球とフォークを武器にクローザーとして活躍。2年目の06年には11セーブをあげて最多セーブのタイトルを獲得した。今季は出遅れ、1セーブのみに終わったが、シーズン終盤にかけてフォームを修正し、ロッテのトライアウトで好結果を残したことが指名につながった。

高知・白川大輔(千葉ロッテ育成4巡目)
 本当にびっくりした。これはいろいろ指導していただいた藤城和明前監督やコーチ、チームの先輩方、支えていただいたファンのみなさんのおかげだと思っている。感謝の気持ちでいっぱいだ。
 特に森山一人コーチからは「基本を大事に」ということを教えてもらった。ロッテでもその言葉を忘れず、(高知入団後、挑戦している)内野手として頑張りたい。トライアウトで千葉マリンに行ったが、あんなきれいな球場でプレーできると考えると夢のようだ。とはいえ、これがスタートライン。1軍に早くあがれるよう一生懸命頑張る。

【プロフィール】
 1988年6月30日、香川県出身。身長171センチ、体重74キロ。右投右打の内野手。高校時代は外野手だったが、高知では内野手に挑戦。「守備が全然ダメ」と本人は語るが、「パワー、スピード、センスの3要素がそろっている」(藤城前監督)など、将来性は高く買われている。昨年、大学・社会人ドラフトで7巡目指名を受けた角中同様、高卒後1年でNPBの門をくぐることになる。

香川・西田真二監督
 ヤクルトにはもともと三輪を評価していただいていたが、6巡目とはいえ、本指名してもらったことは素晴らしい。プロに入るまで3年かかったが、(練習試合を通じて)高田監督の目の前でアピールできており、1年目からチャンスはある。彼は野球を1度あきらめた身。課題は打撃だから、しっかり打ち込んで才能を開花させてほしい。
 香川にはあと数人、NPBに行かせてやりたい選手がいた。年齢的な問題もあり、即戦力でないと指名してくれない。それだけの能力はあると思うが、もう1年、仕切り直してやれる気持ちがあるか。その気があるのであれば、全力でサポートしたい。

高知・藤城和明前監督
 期待はしていたが、これだけ指名されるとは。高知を離れる前に、いい思い出を作ってくれた選手たちに感謝したい。
 小山田には投手では先が見えたと判断したので、捕手への転向を勧めた。最初は素人同然だったが、スローイングが目に見えて上達した。
 宮本はバッティングを生かそうと外野に挑戦させたり、1番を打たせたりした。パワーとセンスはリーグでも1、2を争うとみている。幅を広げたことがラストチャンスをモノにできた要因だ。
 白川は入団当初から、数年後はNPBに送り込む自信があった。今季は“陸上部”として、体力づくりに専念したが、素材の高さをスカウトも見抜いていたのだろう。
 いずれにしても、これからがいばらの道だ。ここまでは僕たちも協力して押し上げることができたが、今後は自力で這い上がらなくてはいけない。