投手陣充実のカープ。打線の奮起に期待
都市対抗野球大会は横浜市代表の三菱重工EASTが優勝しました。選手、関係者の方々、おめでとうございます!
セガサミー野球部としては出場できませんでしたが、中川智裕(明治安田)、荘司宏太(東京ガス)、尾﨑完太(JR東日本)の3人が補強選手として参加。また東京都での開催ということもあり、チームマネジャーが裏方の仕事を手伝いました。私も大会初日、各チームの関係者に挨拶に行き、試合を観戦しました。スタンドから観た各チームの応援は、改めてすごいと感じましたね。
締め切りの関係でプロ野球は前半戦が終わった時点でのお話をさせていただきます。セ・リーグは私の古巣カープの好調ぶりが目立ちます。特に充実しているのが投手陣。チーム防御率は2.16(前半終了時点)とリーグトップです。先発の大瀬良大地投手は防御率0点台(0.85)と抜群の安定感を誇ります。大瀬良投手の他にも床田寛樹投手、森下暢仁投手、久里亜蓮投手、アドゥワ誠投手と頭数は揃っています。それぞれストライク率が高く、決め球を持っており、信頼できるピッチャーです。
打線が大量点を取れなくても、新井貴浩監督も計算を立てやすいのではないかと思います。首位の巨人とは1ゲーム差。ここからリーグ優勝を狙うには、投手陣の踏ん張りが引き続き求められます。あとは坂倉奨吾捕手をはじめとた打撃陣がどれだけ上げていけるかでしょう。小園海斗選手らがレギュラーとして確立しつつある今、上本崇司選手や堂林翔太選手などを新井監督がどう起用するか。その用兵術にも注目しています。
首位の巨人はカープ同様、ピッチャー陣の充実ぶりが好調のチームを支えています。菅野智之投手が復調し、戸郷翔征投手、山﨑伊織投手らと先発はコマが揃っている。抑えの大勢投手がケガ無く、いいボールを放っています。それに加え、打線も悪くありません。丸佳浩選手がここにきて調子を上げてきており、シーズン途中加入のエリエ・ヘルナンデスのバッティングがチームを支えています。
ヘルナンデス選手はメジャーリーグであまり陽の目を浴びなかったかもしれませんが、マイナーリーグとはいえ昨年3割近い打率を残すなどコンタクト率の高いバッターです。巨人での待遇、環境はマイナー時代と比べれば良いはず。それも結果を残せている要因だと思います。逆に言えば巨人の編成部がいい選手を獲ったということでしょうね。
“投高打低”も少しは落ち着く!?
混戦模様のセ・リーグに比べると、パ・リーグは福岡ソフトバンクが独走状態に入っています。戦力が充実しているのはもちろんですが、小久保裕紀監督がうまくチームを引っ張っているように感じますね。2シーズン、2軍監督を経験していることもあり、現場で見てきた若手を起用し、育てながら勝っている印象です。
交流戦を初優勝した東北楽天も4位ではありますが、CSは十分に狙える位置にいます。小郷裕哉選手は辰巳涼介選手に並ぶチームの顔になりつつある。ベテランの浅村栄斗もここにきてようやく調子が上がってきました。
後半戦は交流戦もなく、同一リーグとの戦いが続くわけですから、対策も練りやすい面があります。ピッチャーが順調にいっているチームでも球威が落ちたり、コントール精度が狂ってくるとバッター優位に変わっていく。メジャーリーグのように球団数も多くありませんが、データ的には絞りやすい。私は前半ほどの“投高打低”にはならず、打撃が上がってくると見ています。
下位チームにも大型連勝次第では、CS(クライマックスシリーズ)争いのチャンスは十分にあります。上位陣は連敗を避けることはもちろんですが、各カードを2勝1敗に持っていけるかが優勝争いのカギを握るでしょう。
さて先月下旬からパリオリンピックが開幕しました。フランスとの時差で寝不足になられている方も多いかもしれませんが、暑い日が続いておりますのでお身体にはお気をつけください。私は今大会からの新競技種目ブレイキンに注目しています。優勝候補と言われるShigekix選手、AYUMI選手の活躍に期待です。2人をはじめとしたブレイクダンサーたちが、どんな身体の使い方、身のこなしを見せてくれるか非常に楽しみです。
あとは陸上の女子やり投げの北口榛花選手。彼女はいい雰囲気を持っている。ぜひともパリで金メダルを獲ってもらって、彼女の笑顔が見たいですね。そして秋には日本シリーズの始球式で150kmの剛速球を! なんてビッグスローを期待をしています!
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。