プロアマ問わず初戦の入りが重要
全国高校野球選手権大会は京都国際(京都)が関東第一(東東京)を下し、初優勝を果たしました。選手、監督、関係者の皆様、おめでとうございます! どちらの高校も投手がコントロール良く、打たせて取って堅い守備を誇りました。私もPL学園(大阪)の初優勝した時のピッチャーでしたので経験があります。京都国際は高校野球史に名前を刻んだわけですから、今後はそこからいろいろな意味で注目をされることになるでしょう。来年どういうチームになっているのか非常に楽しみです。
春のセンバツ(選抜高校野球大会)で優勝した健大高崎(群馬)、報徳学園(兵庫)、大阪桐蔭(大阪)といった下馬評では優勝候補に挙げられていた強豪校が2回戦までに消える波乱がありました。今大会は公立高校の大社(島根)がベスト8に入る快進撃を見せるなど、どちらかと言えばダークホースとされる高校の躍進が目立ちました。私が在学していた頃のPL学園(大阪)も初優勝を経験する前だったのでダークホースという見られ方でした。やはりどの決勝トーナメント初戦の入りが重要ですね。
今大会印象に残ったのは、やはり大社ですね。先発完投型の馬庭優太投手が3試合完投し、その内の2試合は延長戦を投げ抜きました。準々決勝こそリリーフ登板でしたが、5イニングを投げました。メンバーのほとんどが地元島根県出身というのも魅力でしたね。
もうひとつは、早稲田実業(西東京)の和泉実監督が3回戦(大社戦)で披露した“内野5人シフト”。2-2に追いつかれた直後の9回裏、1死二、三塁のピンチでレフトの選手を下げ、内野手をピッチャーとサードの間に配置したのです。その代えた選手のところに打球飛び、ダブルプレーでピンチを脱することに成功しました。延長11回タイブレークでサヨナラ負けはしたものの、和泉監督の閃きには某TV番組風に言うならば“あっぱれ”でした。
プロ野球に目を移すと、広島カープが8月31日現在首位をキープしています。前半戦から投手陣の踏ん張りが目立っていましたが、ここにきて打線にも当たりが出てきました。右のスラッガー末包昇大選手が4番に定着し、後を打つ坂倉将吾選手も調子を上げてきています。このまま好調を持続して欲しいものです。
追いかける巨人はエリエ・ヘルナンデス選手の負傷が痛いですが、代わり出場している高卒2年目の浅野翔吾選手がアピールをしています。1軍復帰初スタメンで満塁本塁打を放つなど勝利に貢献。3割近い打率を残し、阿部慎之助監督の信頼を得て、2番ライトに定着しつつあります。今後は阿部監督のやり繰り、起用法に注目したいと思います。
令和のスター大谷
パ・リーグは福岡ソフトバンクが独走し、マジックを順調に減らしています。クライマックスシリーズ(CS)をかけた争いは2位・北海道日本ハム、3位・千葉ロッテ、4位・東北楽天までに絞られつつあります。2位の日本ハムは新庄剛志監督が若手をうまく使い、就任3季目にして結果を残しつつあります。チームが非常に明るい雰囲気を纏っており、非常に勢いを感じます。
MLBでは大谷翔平選手が8月23日(現地時間=以下同)に今季40本塁打目、40盗塁目をマークし、MLB史上6人目となる40-40を達成しました。31日には本塁打と盗塁を43に伸ばし、50-50の大台も見えてきました。大谷選手の活躍が続くため、メディアをはじめ感覚が麻痺しつつありますが、MLBで日本人スラッガーが40-40を達成するなんてとんでもないことです。
大谷選手は名門ロサンゼルス・ドジャーズ移籍1年目です。調子を落としていた時期もありましたが、それでも一発が打てるのが魅力ですね。いくらDHに専念しているとはいえ、期待に応え続けているのは本当にすごいことです。パリオリンピック開催中も大谷選手の話題は取り上げれられていました。そのあたりにも彼の影響力の大きさを感じました。
今後はプレーオフ進出に向け、ホームランや盗塁の数だけでなく打点や得点圏打率など打撃の内容が問われていくことになるでしょう。そのハイプレッシャーの中でも50-50を達成して欲しいと思います。王貞治さん、長嶋茂雄さんのON、野茂英雄やイチロー、松井秀喜と時代時代のスターがいますが、大谷選手は令和のスター。我々ファンを野球で楽しませてくれる。本当にありがたい存在です。ケガなく頑張ってもらいたいですね。
最後にセガサミー野球部は9日からの日本選手権大会関東代表決定戦初戦(2回戦、vs.鷺宮製作所)に向け、オープン戦&関東リーグ戦11試合をこなしました。7勝3敗1分けと勝ち越すことができ、チームの調子も上向きになりつつあります。初戦に勝てれば波に乗っていけるはず。今年は都市対抗野球本選出場が叶いませんでしたから、チーム一丸となって戦っていきたいと思います。皆様、応援ぜひよろしくお願いします!
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。