第323回 「WBGT」~酷暑やハードなスケジュールと戦ったU-18チーム~
ようやく梅雨が明け、日差しが戻ってきたこの時節。雨の鬱陶しさから開放され、ひと安心かと思っていたら、連日「熱中症警戒アラート」が発令されるなど、今度は猛暑に悩まされる日々が続く日本の夏。
そんな季節に於いて4日間で3試合を戦い抜いた若者たちがいる。愛媛FC U-18チームは「第48回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会」の四国大会2024にて3戦全勝での優勝を成し遂げ、7月22日(月)より行われる全国大会へと進出した。
その全国大会のグループステージにて、愛媛はEグループへと振り分けられた。同グループには名古屋グランパスU-18、東京ヴェルディユース、湘南ベルマーレU-18が参戦。この4チームが総当り戦に臨み、首位チーム(1チーム)のみが決勝トーナメントへと駒を進める。
大会初日(7月22日)、愛媛は東京ヴェルディユースと対戦し、MF田頭星梧選手のゴールが決まり「1-0」で勝利。
翌日(7月23日)は、名古屋グランパスU-18と対戦。オウンゴールでの失点などもあり、スコア「0-5」で愛媛が完敗を喫した。
中1日で迎えた7月25日に行われたグループステージ最終戦では湘南ベルマーレU-18と対戦。FW河添就仁選手やFW青木壱清選手のゴールで「3-1」と快勝を収めた。
愛媛FC U-18はグループステージにて「2勝1敗」と健闘したものの残念ながら最終順位は2位。全勝した名古屋グランパスU-18が決勝トーナメントへと進出した。
4日間で3試合という、ハードなスケジュールにて行われたグループステージ。試合は70分形式ということで少しの配慮はあるものの全試合、気温30℃を超える中、行われている。特に第2節の名古屋との対戦時は35℃近い気温の中にて試合が行われていた。
試合開始時刻も考慮され全試合、午後5時開始ではあったが(ナイターではなく)直射日光を浴びながらの試合となったので体力的には厳しいものがあったと思われる。
スケジュールがタイトな上、炎天下という過酷な環境。それでも全力で戦い、好成績を残した愛媛FC U-18の選手達には称賛の拍手を送りたい。8月末にはプリンスリーグ2024四国も再開されるので、それまでに体調を整え、リーグ戦での優勝を目指して頑張って欲しい。
現況、Jリーグでは猛暑が予想される8月と9月の公式戦はナイターで行われる予定だ。応援したり、ゆっくり観戦する方々にとっても直射日光を避けられるので、日中よりも過ごしやすいナイターは大歓迎。
しかし、プロリーグとは異なり、各クラブの下部組織やアカデミー(育成組織)のチーム、地域のクラブチームや学校の部活動チームなどは「熱中症警戒アラート」が発令される中、今後も(環境やスケジュール上の問題等で)日中に公式戦を行っていかなければならないのかもしれない。
実際、愛媛FC U-18が参戦する「プリンスリーグ四国」では、8月と9月の試合でも全て日中に行われる予定となっている。また、愛媛FCレディースが参戦する「なでしこリーグ1部」においても、ナイターは1試合のみで他の試合は全て日中に行われる予定だ。
リーグ戦やカップ戦の主催者側も熱中症対策として試合前にWBGT値(環境省が定める暑さ指数)を測定し、試合開始時刻の変更などを検討していただいているようではあるが、充分な対策とは思えない。
選手という立場ではないが、夏場の試合会場においては、観客の方が熱中症を発症して倒れられたのを何回か見てきているし、自分自身も応援途中に頭痛などを感じたことも経験している。だからこそ、何か起こってからでは遅いのではないかと思うのだ。
ここは思い切って照明設備を有する会場へと場所を移し、ナイターで試合を行ったり、現在のスケジュールよりも試合の間隔を空けたり、長めのサマーブレイクを設けるなどの工夫も必要ではないかと考える。そうすることによって選手たちのためだけではなく、私たちのような応援サポーター、観客も夏場の試合を、より快適に、より安全に楽しむことができるのではないだろうか。
いよいよ夏本番の8月に入り、一段と暑さが増していく中、各カテゴリーのリーグ戦やカップ戦も再開されることになる。試合会場では、こまめな水分補給や塩分補給を心掛け、チームや仲間たちと共に、この夏を元気に戦い抜きたい。
<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。