第324回 「帰郷」~平塚万貴選手の愛媛復帰~
愛媛FCレディースが参戦する「2024プレナスなでしこリーグ1部」は現在(第15節終了時点)、シーズンの約3分の2を消化。今季のリーグ戦は残すところ7試合となった。
そのリーグ戦は、約2ケ月間の中断期間を経て、9月1日(日)より再開。愛媛はアウェイの地にて、首位のヴィアマテラス宮崎と対戦した。
宮崎とは、4月に行なわれた第7節にてホームで対戦し、2点を先制したものの逆転され敗戦。シーズン序盤に悔しい思いをしている相手なので、強敵ではあるが何とかリベンジを果たしたい。
試合の立ち上がり、自陣に押し込まれる苦しい展開が続く。それでも愛媛はカウンターを駆使して反撃を試みた。
前半19分、自陣のMF黒岩沙羽選手が敵陣・左サイドへロングフィードを放つ。
このボールを足元に収めたMF桜井由衣香選手がFW田子夏海選手へとラストパスを供給。そのままペナルティーエリアまで持ち込んだ田子選手が左足を振り抜いた。ボールは相手GKの脇を擦り抜け見事ゴール! 愛媛の速攻が先制点を呼び込んだ。
後半6分、敵陣で田子選手が相手DFと競り合いボールをキープ。相手DFを引き付け、ドリブルで持ち込み、FW横山亜依選手にパスを通す。左サイドを駆け上がる桜井選手へとボールを繋ぐ横山選手。桜井選手がペナルティーエリアでボールに追い着き、ダイレクトで折り返すと、田子選手が角度のないファーサイドから右足で上手く押し込み、2点目を決めた!
勢い付く愛媛は、後半17分。敵陣・右サイドのDF西村紀音選手がアーリークロスを供給する。このボールに途中出場のMF久保田晴香選手が下がりながらジャンプし、ヘディングシュートを放った。ボールは相手GKの伸ばした手の先を擦り抜けゴールネットを揺らした。
首位チーム相手に3点をリードした愛媛。気が緩んだのか、その後、2点を返された。それでも何とか反撃を振り切り、愛媛FCレディースが3-2で逃げ切った。首位チームを撃破し、リーグ終盤戦、幸先の良いスタートを飾った。
2024シーズン第16節・終了時点での愛媛FCレディースは「5勝7敗4引き分け(勝ち点19)」でリーグ戦(暫定)8位。5勝しているものの、ホームでは、まだ1勝しかしていない。是非、次のホーム戦ではたくさんの愛媛サポーターの前で勝利のダンスを披露していただきたい。
この試合(vsヴィアマテラス宮崎)で先発出場したMF平塚万貴選手は2020年にバニーズ京都SCから愛媛FCレディースに入団した。4年間在籍した後、昨年末にはASハリマアルビオンへと移籍した。
しかしこの7月、ASハリマアルビオンより完全移籍で愛媛FCレディースへと復帰した。
私の勝手な想像だが“居心地が良い愛媛を飛び出し、あえて厳しい環境に身を置き、自分自身を鍛え直したい”という思いがあり、昨年末の移籍に踏み切ったのかな、と思ったが……。まぁ、色々あって(色々と悩んで)愛媛復帰を決めたのだろう。理由は何にせよ、様々な選択肢の中から愛媛を選び、愛媛に戻ってきてくれたことは、本当に嬉しいし、サポーターとしては心強いので、大歓迎である。
愛媛は(5月に行われた)第9節にてASハリマアルビオンと対戦している。その際、平塚選手は相手チームの一員として先発出場を果たしていた。故に外から見た愛媛FCレディースを把握しているのではないだろうか。対戦相手として見た愛媛FCレディースを、どのように感じたのかスタッフやチームにも伝えてもらえれば、現チームの強化や修正にも役立つはずだ。
約半年間という短い期間の武者修行ではあったが、(愛媛の)外でいろいろな刺激を受けてきたと思う。その経験を今後の試合や生活にも活かし欲しい。
試合時には狙いすましたロングフィードで攻撃の起点となるプレーを、またこのチームで魅せてもらいたい。
それから、シーズン途中での選手移籍を受け入れてくれた両クラブ(両チーム)のフロント陣にも感謝申し上げたい。
「平塚万貴選手、お帰りなさい!」
<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>
1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。