明けましておめでとうございます。2009年、勝負のシーズンがやってきました。今季の目標はズバリ優勝とドラフト指名。昨年、お約束して果たせなかった2つの目標を是が非でも成し遂げたいと思っています。

 今季の高知は最多勝(17勝)をあげた西川徹哉(関西独立リーグ・神戸へ移籍)、最多セーブ(22セーブ)と最優秀防御率(1.05)の2冠に輝いた上里田光正の2投手が抜けます。これはチームにとっては大きな痛手です。しかし、この世界は誰かが抜ければ、誰かが出てくるもの。残った選手たちと新戦力が、キャンプと実戦の中でどれだけ伸びてくれるか今から楽しみにしています。

 昨年12月に開催されたアイランドリーグのドラフト会議では2名の地元出身投手を獲得しました。伊野商高出身の武田大輔(阪南大)と室戸高出身の升田大助(三重中京大中退)です。2人ともストレートのスピードは130キロ台ですが、いい変化球を持ち、安定感があります。まだまだ体はプロ仕様になっていませんから、1年間、鍛えようによってはかなり伸びるはずです。ぜひ故郷で地元ファンを喜ばせるような投球をしてもらいたいですね。

 さらには海の向こう、ベネズエラからも助っ人を2名ほど獲得する話が進んでいます。まだVTRで見ただけですが、こちらは速球が持ち味です。これで投手の補強は計4名。昨季から4投手が抜けましたから、頭数は変わらない計算になります。

 昨季、優勝に届かなかった最大の要因は投手陣のコマ不足にあったと反省しています。枚数が足りない分、抑えの上里田が先発で投げたり、連投が続いたりと、全体にしわ寄せが来ました。そのため、ここぞという試合を万全の体制で乗り切れませんでしたね。今季はここまでチームづくりが順調に進んでいます。

 後は選手たちがやってくれるかどうか。特に2年目、3年目の投手は大いに期待しています。中でもチームのカギを握るのは地元出身(伊野商高)の山中智貴でしょう。山中は140キロ台の速球を持ちながら、昨季は1勝(4敗)止まり。いいボールを持っているのに、マウンドに上がると気が小さくなってしまう面がありました。

 投手としての第一条件は、打者に向かっていく気持ち。これがなければ、相手を抑えることは不可能です。彼はまだ20歳ですから、経験も足りません。それでも昨季、31試合に登板したことで、マウンド度胸が徐々についてきたように感じています。体も1年間で大きくなりました。秋の練習ではシーズン中には数回しかなかったような素晴らしい投球をバンバン見せてくれました。

 山中が一本立ちできれば、昨季15勝をあげた野原慎二郎とベネズエラの投手も含めたローテーションが完成します。ですから、山中にはぜひ頑張ってほしい、いや頑張ってくれないと困る。それくらいの思いを僕は持っています。

 安定したピッチングスタッフをつくる意味もあり、今季からは投手経験者の佐伯和司さんにコーチをお願いします。昨季は捕手が総入れ替えになったこともあり、どうしても投手コーチよりもバッテリーコーチを優先せざるを得ない事情がありました(捕手出身の山崎章弘コーチが就任)。佐伯コーチはご存知の通り、広島の初優勝に貢献した右腕で、引退後はコーチ、スカウトを歴任しました。どうすれば勝てる投手になるのか、どうすればNPBにアピールできる投手になるのか、若い選手たちにたくさん伝授してくれることでしょう。

 今季は王者・香川から丈武(東北楽天)、堂上隼人(福岡ソフトバンク)、塚本浩二(東京ヤクルト)ら主力が抜けます。どこが勝ってもおかしくないペナントレースになるでしょう。昨年は僕自身、アイランドリーグ1年目だったこともあり、様子見の部分が多々ありました。病み上がりだったこともあり、自分の体と相談しながらシーズンを戦った面も否めません。

 しかし、ユニホームを1年間着ているうちに、すっかり体力は回復しました。最近は会う人、会う人に「どうしたん? すっかり良くなったな」と驚かれるほどです。今年は勝負にこだわり、選手たちを引っ張って、ガンガン鍛えようと張り切っています。10月のグランドチャンピオンシップまで試合をお見せできるよう全力を尽くすつもりです。高知のみなさん、今年も応援よろしくお願いします。


定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
 1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海(現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸(元長崎監督)と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホークス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息子の卓摩は千葉ロッテの内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。




★携帯サイト「二宮清純.com」では、独立リーグのコラムコーナーを更新中です。題して「ニッポン独立リーグ紀行」。アイランドリーグ、BCリーグの監督、コーチ、選手が毎週火曜日に交代で登場し、それぞれの今をレポートします。今回は定岡監督のコラムです。「ドラフト有力候補、現る」 ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。


次の100年へ。太陽石油から、SOLATOはじまります。[/color][/size]
◎バックナンバーはこちらから