女子53kg級・藤波朱理、公式戦137連勝目で金メダル ~パリ五輪・レスリング~
パリ五輪大会16日目、レスリング競技が日本時間9日に行われ、女子53kg級は20歳の藤波朱理(日本体育大学)が金メダルを獲得した。今大会日本勢3日連続の金メダル。女子に限っても3日連続の表彰台となった。
有言実行である。前日の準決勝を終えた際のテレビインタビューで「オリンピックチャンピオンになるためにここに来た」と言い切った20歳。パリでも自らの連勝街道は止まることなかった。
オリンピックには魔物が棲んでいる――金メダル大本命が足元をすくわれるケースも少なくない。だが藤波にはあてはまらなかった。不安要素はあった。今年3月に手術した左ヒジの回復具合だ。勝利の瞬間、マットで叫んだのは重圧から解放され、自然と飛び出したのだろう。
それでも1回戦、2回戦とフォール勝ち。準決勝、決勝はテクニカル・スぺリオリティ―(10点差以上によるコールド勝ち)。攻守においてバランスがよく、スピーディーな動きにライバルたちは為す術がなかった。レスリングは3分×2ピリオド制だが、藤波は全4試合を時間いっぱいまで使うことはなかった。中学2年から続く連勝記録は137まで伸びた。4年後のロサンゼルス五輪にライバルは現れるのか。そう思わせるほど圧倒的な勝利だった。
(文/杉浦泰介)