京都国際、初の全国制覇! 京都勢としては68年ぶりの快挙 ~第106回全国高校野球選手権大会第14日~
23日、第106回全国高校野球選手権大会決勝が兵庫・甲子園球場で行われ、京都国際(京都)が関東第一(東東京)を2-1で破った。どちらが勝っても初優勝の試合。白熱した投手戦は、無得点のまま延長タイブレークに突入。10回、京都国際は無死満塁から四球と犠飛であげたリードを守り抜いた。
◇決勝
京都国際・中崎琉生、9回4安打無失点
京都国際(京都)
2=000|000|000|2
1=000|000|000|1(延長10回タイブレーク)
関東第一(東東京)
初の決勝進出となった両校の対戦は、ここまでの勝ち上がり同様に投手がチームを引っ張った。
関東第一は先発マウンドに左腕の畠中鉄心(3年)を送った。畠中は打たせて取るピッチングで2回までパーフェクトと完璧な立ち上がり。3、5、6回と得点圏にランナーを許したが、スコアボードにゼロを並べた。7回からは背番号1のエース、坂井遼(3年)にマウンドを譲ったが、6回無失点とゲームをつくった。
その畠中を上回る好投を見せたのが、京都国際の背番号1、中崎琉生(3年)だ。「準決勝で不甲斐ないピッチングをしてしまった。チームのみんなが助けてくれて、この決勝という舞台に立てた。みんなに恩返し(したいと)の気持ちを持って投げました」。U-18日本代表にも選ばれたサウスポーは「低く丁寧に集められた」と3回までパーフェクトピッチング。4回以降も連打を許さず、無失点に抑えた。
関東第一も2番手の坂井が7、8回をパーフェクトに抑える。坂井もU-18日本代表。今大会は4試合でリリーフ登板し、15回2/3を失点ゼロ。9回は得点圏にランナーを背負ったものの、踏ん張った。
白熱の投手戦は2006年大会(早稲田実業vs.駒大苫小牧)以来の決勝延長戦に突入した。タイブレーク制を18年春から導入。22年夏までは延長13回からの開始だったが、23年春に現行の延長10回からに変更された。決勝のタイブレーク突入は初である。
無死一、二塁からスタートするタイブレーク。京都国際は先頭の9番・中崎の打席で、小牧憲継監督が西村一毅(2年)を代打に送った。西村はレフトにヒットを放ち、無死満塁とチャンスを広げる。1番・金本祐伍(3年)が四球を選び、押し出しで先制した。続く三谷誠弥(3年)が坂井から代わった大後武尊(3年)からライトに犠牲フライを放ち、1点を追加。2点をリードして、この回の攻撃を終えた。
その裏のマウンドには西村が立った。今大会4試合に登板し、直球とチェンジアップを武器に防御率0.00と抜群の安定感を誇る。自らのエラーで無死満塁のピンチを招いた。ゲッツー崩れの間に1点を返され、フォアボールで再び塁を埋めた。それでも後続をファーストゴロ、空振り三振に切って取り、試合を締めた。西村は今大会自責点ゼロ(失点1)、防御率0.00のまま大会を終えた。
中崎と西村の二枚看板は今大会でも際立った。「この2人ありきのチーム。よく2人で競い合って、成長して投げ切ってくれた」と小牧監督。全6試合で3つの完封勝利。チーム防御率は0点台(0.82)を誇った。
創部26年目で初優勝。京都勢の優勝は1956年大会の平安(現・龍谷大平安)以来、68年ぶりとなった。2季連続(23年夏・慶應義塾、24年春・高崎健康福祉大高崎)と関東勢が制していたが、「強い京都と取り戻す」(小牧監督)と関西勢が意地を見せた。
(文/杉浦泰介)