2009シーズン、愛媛FCのチーム・スローガンは、「E−spirit(EHIME ひとつになって闘う)」に決定した。
「チーム、スタッフ、そしてサポーターや支援者たちが、心をひとつにして闘う」という意味だという。例年と同様に、今年も望月一仁監督が提唱したスローガンである。「E」は愛媛を意味し、「spirit」には、精神や魂の意味がある。つまり「E−spirit」=「伊豫魂」と捉えることができる。
 私たち愛媛サポーターがチャント(応援歌)で口にし、心に刻んできた「伊豫魂」という言葉。まさに、その言葉が、チームやスタッフ、サポーターや支援者たち、愛媛を愛する全ての人々の「合言葉」へと昇華しようとしているかのように思える。

 2009シーズンは、クラブ数が更に増え、試合数も増えて、厳しくタフなシーズンとなることが予想される。このサバイバルシーズンに向けて「攻守の切り替えの早い、走るサッカー」を追求し、「リーグ戦3位以内(J1昇格圏内)の成績を目指す」と望月監督は、力強く述べている。

 例年スロースタート気味の感がある愛媛FCだが、地元での基礎トレーニングや鹿児島でのキャンプや練習試合を利用して、シーズン序盤から戦えるチームづくりを進めてほしいと思う。そして、スローガンのように愛媛の皆が、心をひとつにし、すべての力を集結できれば、今年こそ「望月サッカー」の集大成を目にすることができるのではないだろうか。
 

「2009愛媛FCキックオフ・フェスタ」で、お披露目された新ユニフォームだが、なかなか好評のようである。昨年と同じ会社が、ユニフォームサプライヤーを務める。
 新1stユニフォームは、チームカラーと同様のオレンジ色が基調となったもので、デザインは昨年と比べ、ネイビーブルーのラインが強調されるなど、なかなかカッコ良い感じに仕上がっている。

 昨年はグレーが基調色だった2ndユニフォームは今年、白が基調色となり、スッキリした感じがする。グレー色は、他チームのイメージがあり、サポーターの間では不評だった。一昨年まで採用していた白基調のユニフォームの方が、愛媛らしくてカッコ良いと感じていたので、復活したのは大歓迎である。
 オレンジと白のユニフォームをまとった愛媛の戦士たちが、ピッチ上で躍動する日が、今から待ち遠しくなってきた。
 
 
 先週、残念なニュースが飛び込んできた。愛媛県出身のJリーガー・福西崇史選手が、現役を引退することが明らかとなったのだ。新居浜工業高校を卒業後、1995年にJリーグ・ジュビロ磐田へ加入し、ボランチ(守備的MF)のポジションで活躍。Jリーグにおける磐田黄金期を支えた、その才能が認められ、1999年には、日本代表に初選出される。2002年と2006年のワールドカップにも出場し、愛媛のサッカー少年たちに夢を与え、地域のスポーツ界に大きな影響を与えた人物である。

 昨年、東京ヴェルディから戦力外を通告され、愛媛FCも獲得に乗り出していたが、条件が合わなかったようで、残念ながら移籍には至らなかった模様である。
 今や愛媛だけではなく、日本のスター選手とも言える存在へと、大成長を果たした福西選手。私たちが計り知れないところで、彼自身、いろいろな苦悩や葛藤があったとは思うが、もう少しの間だけ、現役を続けてほしかったと感じている。その間に愛媛FCを取り巻く環境も、彼の希望する条件に見合うような状況へと好転していたかもしれないし、彼の身体能力ならば、まだまだ第一線で活躍できるに違いないからだ。

「引退」という結論は、本当にもったいない。わがままを言わせてもらえるならば、キャアリアを終える前に、生まれ故郷に誕生した「愛媛FC」という奇跡のプロチームで、1シーズンだけでもプレーしてもらいたかった。故郷のピッチで、家族や友人たち、愛媛を愛する人々の目の前で、その勇姿を見せてほしかった。
 
「引退後は、指導者としての道を歩む」そうだが、その活動を通して、愛媛から福西2世と呼ばれるような素晴らしい選手を、是非とも育ててもらいたいものだ。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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