クライマックス・シリーズ進出を目指した昨季、あと一歩、３位・中日に及ばなかったカープ。ブラウン改革は今季こそ花開くのか？　新球場で広島の街は盛り上がるのか？
　08年12月15日、都内で『第５回東京カープ会』が開かれた。熱心なカープファン約280人と６人のパネリスト、ゲストが、愛するカープについてトークバトルを展開した。“最強赤ヘル軍団”も、今や万年Ｂクラスチーム。そろそろ復活の時だ！
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二宮：　長嶋さんはセ・パ両リーグのいろんな球場を経験しているわけですが、やっぱり市民球場は問題が多かった？
川口：　彼は市民球場で骨折していますから。

二宮：　あぁ、そうか。やりやすい球場ではなかったと？
長嶋：　確かにそれは言えてると思いますね。市民球場って水はけの関係上なのか、ものすっごい傾斜になっているんですね。

田辺：　外野のフェンスに向けてですよね。
長嶋：　いや、外野ではなくて、内野なんです。ベンチの方に向かって斜めになってるんですよ。

二宮：　新球場はどうでしょうかね。やってみないとわからないと思いますが。
田辺：　やっぱりやってみないとわからないですよね。死角とかボールが上がった角度によって後ろとの重なりとかがありますから。まぁ、そういうことは万全にするんですけども、今の市民球場との比較でいうと、内野が天然芝なわけですから、そこで内野ゴロの練習とか、バントの練習しないとわかりませんよね。

二宮：　僕はね今回、カープに期待していたのは、相手が慣れないうちに市民球場に先に慣れてしまうと（笑）。外野のクッションボールって最初、慣れないじゃないですか。その間に向こうにエラーが出て……。
田辺：　お互いに真剣勝負ですよ。

二宮：　だんだんと話してると辛くなってきちゃったなぁ。アドバンテージはいかせないってことかァ……。
田辺：　そうですね。だから他球団からもクレームじゃないですけど、注文がきたみたいなんです。公式戦は４月10日から中日戦が始まりますけども、その前に中日の選手も市民球場に来て練習することになりました。最初はなかったんですけどね。阪神も練習します。

二宮：　東京ドームやナゴヤドームもそうでしたけど、だいたい新球場ができると、最初はこっそりホームチームが練習するもんですよ。先に球場に慣れようとしてね。これは卑怯といえば卑怯だけど、ホームアドバンテージとして許される範囲です。特に今回の新球場は天然芝のグラウンドで風向きとかかわるわけだから、これは僕はカープにとっては今季一番のアドバンテージだと思ってたんだけど、それがいかせないと？
田辺：　逆に天然芝ですから、いきなりたくさん練習していたんじゃいけませんから（笑）。そういう意味で天然芝は本当に難しいんですよ。ですから使うのと養生との兼ね合いもありますからね。前述したように、新球場には近くに芝生がないわけです。どうするんかって聞いたら、高速道路で島根の方から運んでくるらしいんですよ。芝生を摘んだらいたんじゃうんで、いろいろと技術的な兼ね合いもあるようです。新球場に行かれるときは皆さん、芝生からチェックしたほうがいいですよ。

二宮：　なんで島根なんですか？
田辺：　やっぱりちゃんと芝生を養生している会社があるらしいんですね。今は高速道路も発達していますからね。

二宮：　島根っていうから、てっきり大野豊さんとかが運んでくるのかなと思いましたよ（笑）。
全員：　アッハッハ！

（Vol.13につづく。随時更新します）

川口和久（かわぐち・かずひさ）1959年７月８日、鳥取県出身。鳥取城北高校から社会人野球チーム・デュプロを経て、80年広島にドラフト１位で入団。長年、左のエースとして活躍する。87、89、91年と３度の奪三振王のタイトルを獲得。94年にFA権を得て、読売ジャイアンツに移籍。96年にリーグ優勝を果たした際には胴上げ投手となった。98年シーズン終了後に現役を引退。通算成績は435試合、139勝135敗、防御率3.38。現在、解説者の傍らテレビやラジオにも出演するなど、幅広く活躍している。





長嶋清幸（ながしま・きよゆき）
1961年11月12日、静岡県出身。自動車工高（現・静岡北高）から80年、ドラフト外で広島に入団。勝負強い打撃と安定した外野守備で、カープの黄金時代を支えた。84年には巨人戦で２試合連続サヨナラ弾を放ち、日本シリーズでも３本塁打をマークして日本一に貢献。シリーズMVPに輝いた。91年より中日、93年に千葉ロッテ、94年から阪神と計４球団を渡り歩き、97年限りで引退。その後はコーチとして星野阪神、落合中日のリーグＶに力を尽くした。通算成績は1477試合、1091安打、107本塁打、448打点、打率.271。ゴールデングラブ賞４度。今季から韓国・三星ライオンズの打撃コーチに就任。




田辺一球（たなべ・いっきゅう）1962年１月26日、広島県出身。スポーツジャーナリスト。カープ取材歴は約20年にのぼる。“赤ゴジラ”の名付け親。著書に『赤ゴジラの逆襲〜推定年俸700万円の首位打者・嶋重宣〜』（サンフィールド）がある。責任編集を務めた『カープ2007-2008永久保存版』も好評発売中。現在もプロ野球、Ｊリーグほか密着取材を行っている。スポーツコミュニケーションズ・ウエスト代表。
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