イチローの劇的なタイムリーで2連覇を達成した侍ジャパン。韓国との決勝戦の平均視聴率は関東地区で36.4%、関西地区で36.5%だった。日本人はいかに野球が好きかということを改めて証明した形だ。
翻ってホストカントリーの米国では盛り上がるどころか、ほとんどの国民がWBCのことを知らなかったという。WBC開催期間中、米国のスポーツファンはカレッジバスケットボールの結果に一喜一憂していた。
ちなみにスポーツ専門局ESPNが放送した大会の米国での平均視聴率は1.3%。準決勝の日本対米国戦でも2.2%だった。
それでも主催者であるメジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会はウハウハだ。大会を通じて総観客数は前回の73万7172人を上回る80万1408人を記録したからだ。
大会の成功に最も貢献したのは優勝した日本、2番目は準優勝の韓国だろう。両国は5回対戦し、計17万3529人の観衆を集めた。
客観的に見れば、日本と韓国を抜きにしてはもはやWBCは成り立たない。
にもかかわらず、収益の配分率はMLB機構とMLB選手会が3分の1ずつ、すなわち米国だけで66%を確保しているのに対し、日本は13%、韓国は9%だ。あまりにも不公平ではないか。
ここにWBCという大会の本質がある。要するにWBCはあくまでもメジャーリーグのマーケットを拡大し、新しい収入源を獲得するための大会。「真の世界一を決める大会」とのうたい文句はタテマエに過ぎない。
日本や韓国にとってはスター選手が今後、さらに流出するという懸念もある。
メジャーリーグのスカウトたちはWBCで活躍した岩隈久志やダルビッシュ有、あるいは大会を通じて最多タイの3本塁打を放った韓国の主砲・金泰均に二重丸を付けていたという。
これでは、さながら「国際商品見本市」だ。連覇に浮かれている場合ではない。
<この原稿は2009年4月20日号『週刊大衆』に掲載されたものです>
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