ここまで徳島は4勝13敗。5位と5ゲーム差の最下位です。1勝するのがこんなに難しいと思いませんでした。開幕6連敗から抜け出した時は正直、涙が出るほどうれしかったです。

 負けが込んでいる理由ははっきりしています。守備の乱れ、ムダな四球が多い。勝てるゲームを何度もミスで落としてしまいました。ケガ人が出て、本来のポジションではないところを守った選手が相次いだこともほころびの出た一因です。それでもゲームはどんどんやってきますから、コンディションのいい選手で戦っていくしかありません。

 巻き返しには、選手ひとりひとりが自分の役割をきっちり果たすことが求められます。投手なら6回までゲームをつくる。野手なら粘って四球でもヒットでも塁に出る。背伸びは必要ありません。何より大事なのは基本の徹底です。

 上達に近道はありません。今はとにかく数をこなすことを主眼に置いて練習しています。たとえば守備練習も単にノックを受けるだけでは数が足りません。フリーバッティング中も打者のインパクトに合わせて打球方向へ動く。守りでは一歩目の動きが明暗を分けますから、この点より選手たちの意識を高めていきたいと考えています。

 攻撃では具体的には2ストライクからの打撃をポイントにしています。1試合に2本も3本もヒットが打てる日は、そうありません。また、バッティングカウントで常に勝負できるわけではありません。ならば、追い込まれた時にどう対応するか。ボールの見極めはもちろん、厳しいコースを反対方向に打ち返すバットコントロールを身につければ、我慢して四球を選べる確率も高まります。NPBをみてもわかるように、結果を残すバッターはただ打つだけではありません。打者不利のカウントからのバッティングはドラフト指名を勝ちとるための大切な要素になるはずです。

 借金は増えてしまいましたが、まだ前期の試合は半分以上残っています。投打の歯車がかみ合えば、間違いなく徳島もいいゲームができます。当面の目標は勝率5割。10日まではホームでの試合が続きます。ここを逆襲のスタートとしたいものです。


堀江賢治(ほりえ・けんじ)プロフィール>:徳島インディゴソックス監督
1970年8月8日、広島県出身。広陵高から89年、ドラフト4位で大洋(現横浜)に入団。3年目に1軍昇格を果たし、ショートを中心に61試合に出場する。95年、水尾嘉孝、渡部高史とともに、飯塚富司、伊藤敦規とのトレードでオリックスへ移籍。2軍で首位打者を獲得したが、翌年には高嶋徹とともに大島公一、久保充広とのトレードで近鉄へ。98年限りで引退後、地元で少年野球の指導をしていた。現役時代の通算成績は172試合、打率.250、4本塁打、29打点。09年より徳島の監督に就任。



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 今回は堀江監督のコラムです。「1・2番の出塁がカギ」。ぜひ携帯サイトもあわせてお楽しみください。


次の100年へ。太陽石油から、SOLATOはじまります。[/color][/size]
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