5月9日(土)、J2第14節となる愛媛FC対東京ヴェルディの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 シーズン開幕から3連勝をマークし、最高の滑り出しを見せていた愛媛FCだったが、4月に入り4連敗を記録する等、調子はガタ落ち。ゴールデン・ウィークからハードな連戦が続くが、その中で立て直しを図り、本来のチーム力を取り戻すことができるのだろうか。
(写真:敵陣に向け、ドリブル突破)
 今日の対戦相手は、高木琢也監督率いる東京ヴェルディ。このクラブには、日本代表や海外クラブでのプレー経験もあるFW大黒将志選手が所属している。今節も先発出場が発表されており、愛媛FCにとっては不気味な存在と言える。
 
 好天に恵まれた今日のニンジニアスタジアム。ピッチコンディションは、概ね良好だが、初夏を感じさせるような照り付ける日差しの中、立っているだけで汗が噴き出してくるという過酷な環境下。ゲーム終盤、選手たちにとってはスタミナ勝負となってくることが予想される。
 
 午後2時、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。序盤から両サイドスペースを活かした攻めや、素早いカウンター攻撃などが見られ、先制点奪取に向けて積極的な姿勢がうかがえる。

 前半26分、愛媛イレブンが敵陣内でボールをつなぐ。右サイドに陣取るMF青野大介選手が、前線から戻されたボールをキープ。左サイドスペースにてフリーとなっているDF三上卓哉選手へ向けて、フィードボールを供給する。

 ボールを受けた三上選手が、そのままドリブルで同サイドを駆け上がる。敵ペナルティエリアに近づいたところで、ゴール前に向けてアーリークロスを供給する三上選手。このクロスを捉えたのがFW内村圭宏選手だ。敵DFの背後にまわり込み、大きくジャンプ。体を反らせながら、ヘディングシュートを放った。「入った!」と思ったのだが、ボールはゴールマウスを捉えることはできなかった。タイミングは実にバッチリで、本当に惜しいシュートだった。

 前半28分、自陣右サイドで守備についた青野選手が敵のパスをカット。敵DFラインの裏へ抜け出す構えを見せていたFWジョジマール選手が敵陣内・右サイドに陣取る。その前面のスペースに向けて、青野選手がスルーパスを供給する。敵DFと競り合いながら、ペナルティアーク付近で、このボールに追いついたジョジマール選手。敵GKの動きを読みつつ、左足を素早く振り抜き、敵ゴール左隅を狙ってグラウンダーのシュートを放った! ボールは敵GKが伸ばした手の先をすり抜け、ゴールへと進んでいく。しかし、これまたゴールポスト左外側へと逸れていってしまった。「惜しい!」
 
 後半に入っても貪欲な攻めを展開する愛媛イレブン。
 後半8分、敵の攻撃を防いだ後、自陣にてボールをキープする。そのまま敵のチェックを振り切り、ドリブルで敵陣内へとボールを運んでいく。センターサークルを越えたあたりで、ペナルティアークに向けて走り込むジョジマール選手の動きを確認。大山選手が敵ペナルティエリアに向けて、ロビングのスルーパスを供給する。
(写真:敵ゴール前、シュート体勢へ持ち込む)

 ジョジマール選手が、このパスに追いつくと、エリア内にてバウンドするボールを捉え、ダイレクトに左足で敵GKの頭上を狙ったループシュートを放った! しかし、ボールは無情にもクロスバーの上を越えていき、ゴールならず。
「狙いは良かったのだが・・・…」

 後半21分、敵ペナルティアーク外側付近で、フリーキックのチャンスを得た愛媛FC。キッカーは大山選手。小さな助走から右足を豪快に振り抜いた! ボールは、敵ゴール右上隅に飛んでいく。敵GKの伸ばした手も届かない。
「今度こそゴール!」
 そう思ったのだが、ゴールポスト右外側をギリギリですり抜け、またもやゴールならず。スタンドからは溜め息がこぼれる。

 積極的な攻撃姿勢や惜しいシュートシーンの連続に、ますますゴールへの期待が膨らんでいったスタジアムだったが、後半22分、一瞬のスキを衝かれ、敵に先制ゴールを献上してしまった……。

 その後、敵ゴール前でのパワープレーから、MF赤井秀一選手によるダイレクトボレーシュートが飛び出すなど、愛媛イレブンも諦めることなく反撃を試みた。だが、時間は無情にも過ぎ去り、ついにはタイムアップ。
 
 結局、最終スコア0−1で悔しい敗戦を喫することとなった。敗れはしたものの、敵に押されていた印象は少ない。シュート数でも15対12と相手を上回っている。フィニッシュへとつながる攻撃展開の完成度は、4月中の試合よりも目に見えて上がっていたし、シュートへの高い意識も感じられる試合だった。

 節々のプレーからは、選手個々に「勝ちたい」という強い意志も見えていたように感じる。「あと一歩」というところまで近づいている、とは思うのだが、チーム立て直しに向け、早期の結果を期待したいところである。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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