サッカー競技を通じての地域活性化活動に対し、積極的に取り組む姿勢を見せている愛媛FC。以前、このコラムでも、「SCフライブルク(ブンデスリーガ2部)とのフレンドシップ協定」や「愛媛女子短期大学との協力提携」などを、お伝えしてきた。そして、もうひとつの取り組みも、既にスタートさせている。
(写真:開幕戦、試合終了後ミーティング)
 愛媛県今治市に本拠地を置き、四国サッカーリーグに在籍している「愛媛しまなみFC」。愛媛FCは、このチームと手を組み、更なる地域密着や幅広いカテゴリーへの参戦を図っていくつもりだ。今季から同クラブは名称を「愛媛FCしまなみ」と改名し、愛媛FCのアマチュアチームとして、新たな活動を開始させている。

 同クラブの主な活動目的としては、トップチームへの昇格を目指す選手個々の育成や国体(サッカー競技)参加に向けたチームの強化。さらには、上位カテゴリーであるJFLへの加盟を目指している。また、地元のイベント等に積極的に参加し、地域との共存を進めていくことなども目的であると聞いている。

 監督は以前、鹿島アントラーズ(J1)にて育成部のコーチを務められていた八木邦靖氏(愛媛県出身)。U-17女子日本代表コーチなどの経験もあり、若手選手の育成には、長けているようだ。アシスタントコーチには、選手兼任で石本信親選手と清水秀平選手が就いている。
 石本選手は、JFL時代の愛媛FCに在籍し、FWとして活躍していたので、ご存知の方も多いと思う。彼とは、個人的に親交もあるので、わがままな意見を言わせて頂きたい。
「チームスタッフに落ちつくよりも、現役選手として試合に出場し、躍動している姿をファンに見せてほしい!」
 他には2007年に愛媛FCへ入団し、MFのポジションでJ2公式戦にも出場していた持留新作選手も現在、「しまなみ」に所属し、トップチームへの復帰を目指して、日々、試合や練習に精進している。
 
 4月5日(日)に開幕を迎えた「第33回・四国サッカーリーグ」は8チームが参加し、優勝を目指して全14節を闘うリーグ戦である。「愛媛FCしまなみ」のライバルチームとして挙げられるのは、車椅子の監督として、全国的にも報道され、話題となっている羽中田昌氏率いる「カマタマーレ讃岐」。また、J2・徳島ヴォルティスの下部組織チーム「徳島ヴォルティス・セカンド」などなど。いずれ劣らぬ強敵が揃っており、地方のアマチュアリーグと言えども、決して楽なリーグ戦ではないのである。
 
 同日の開幕戦、「愛媛FCしまなみ」は「ベンターナ・アスリートクラブ」と対戦した。持留選手が前半に先制ゴールを奪うと、後半には、新加入のFW小笠原宏樹選手が追加点を決め、2−0のスコアで勝利した。石本選手も先発フル出場で、大いに活躍し、勝利に貢献していた。前線で敵DFに激しい接触を受け、体勢を崩しながらも、ボールをしっかりキープするなど、以前と変わらぬ体を張った素晴らしいプレーを連発していたので、本当に嬉しく思った。私的なことだが、四国リーグという場での応援は9年振り。開幕ゲームでは、やや緊張も感じたが、以前と変わらない、その雰囲気からは懐かしさも感じられ、試合自体も楽しむことができた。
 
 4月12日(日)の第2節では、「三洋電機・徳島サッカー部」に、2−3のスコアで、惜しくも敗れるものの、4月19日(日)に行われた第3節では、「南フットボールクラブ」を相手に、前半立ち上がり、小笠原選手が2得点を決め、2−0のスコアで見事勝利を収めた。この試合、真夏のような日差しの中、気温も高く、タフな試合だったが、選手たちは、最後まで粘り強く闘っていたと思う。「愛媛FCしまなみ」に所属する若い選手やスタッフたちは皆、明るく志も高いので、応援していて清々しさを感じる。機会が合えばまた、応援に出向きたいものだ。
(写真:第3節、敵ゴールに向け、攻勢を仕掛ける愛媛FCしまなみ)
 
 愛媛FCが進める、サッカーによる地域活性化活動。まだまだ始まったばかりだが、これから、どのような広がりを見せ、いかにして郷土へと浸透させていくのか、興味津々である。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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