6月9日(火)、J2第20節となる愛媛FC対湘南ベルマーレの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 第2クール連敗スタートとなり、波に乗れない愛媛FC。ズルズルと後退していかないためにも、早期の結果を得たいところである。
(写真:蒸し暑さの中、熱戦が繰り広げられた)
 今日の対戦相手は、現在(第19節終了時点)、リーグ戦首位の湘南ベルマーレ。名将・反町康治監督が率いる強敵チームを相手に、どんなサッカーを魅せてくれるのか、期待と不安の一戦となった。
 
 梅雨時期に突入し、上空を厚い雲に覆われている今節のニンジニアスタジアム。ほぼ無風状態の会場内は、少々蒸し暑さを感じるが、それでも雨の心配は無さそうで、ピッチコンディションも良好である。

 午後7時、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 序盤、相手の強力なプレッシャーをかいくぐり、敵陣内の両サイドスペースを活かした攻撃を展開する愛媛イレブン。
 前半9分、敵ペナルティアーク外側付近でMF田森大己選手がファウルを受け、フリーキックのチャンスを得た。キッカーは、MF大山俊輔選手。短めの助走から、右足を豪快に振り抜いた。矢のようなシュートは、ドライブがかかりながら、敵ゴールに襲いかかる。敵GKがジャンプして手を伸ばすが、ボールはその上をすり抜ける。一瞬「入った!」と思ったのだが、ボールはクロスバーに弾かれ、惜しくもゴールとはならなかった。

 その後も、良い流れでゲームを進める愛媛FC。
 前半20分、相手の最終ラインでの敵DFによるボール廻しに対し、FWジョジマール選手やMF赤井秀一選手、大山選手らが詰めてプレッシャーをかける。たまらず、GKへとバックパスを行う敵DF。そのボールを狙っていたのが、FW内村圭宏選手だ。ペナルティエリアにて、このパスを素早くカット。そのまま敵GKの飛び出しをかわし、ボールをゴールマウスへと押し込んだ!
「見事な先制ゴール!」
 大歓声が湧き起こる! 内村選手はチームメイトと抱き合い、喜びを分かち合う。
 
 欲しかった先制ゴールを手に入れ、愛媛FCは完全に試合を掌握したかに思えた。だが、前半32分に同点弾、そして前半ロスタイムには逆転弾を湘南に決められ、一気に苦しい展開となってしまった。
 
 1点のビハインドで迎えた後半戦。同点に追いつくべく、DF陣の積極的なオーバーラップなどを駆使して、前がかりの姿勢で敵陣へ向けて攻撃を仕掛ける。
 後半3分、中盤の田森選手から、右サイド高い位置にオーバーラップを仕掛けているDF関根永悟選手へとパスが通る。そのまま中央へとドリブルで持ち込む関根選手。敵DFを引き付けつつ、右サイドスペースへと開いている大山選手へとボールを送る。

 大山選手はワントラップを挟み、ゴール前にアーリークロスを供給。敵ペナルティエリアに陣取るジョジマール選手が、このクロスを捉え、大きくジャンプ。空中で体をひねりつつ、敵GKの手前へと叩きつけるようなヘディングシュートを放った! ボールは、ゴールエリアでバウンドし、そのまま敵GKの伸ばした手の先をすり抜け、見事ゴール左隅に突き刺さった!
「素晴らしい同点ゴールだ!」
 歓喜に包まれるスタンド。ジョジマール選手はベンチの監督やスタッフに向けて喜びを表現する。
 
 待望の同点ゴールにより、勢いに乗って攻め立てる愛媛FC。
 後半6分、DF三上卓哉選手からのクロスボールをジョジマール選手が捉え、右足でボレーシュート。後半7分には、MF横谷繁選手によるドリブル突破からのスルーパスを受けた内村選手が、左足でグラウンダーのシュート。後半15分には、大山選手による豪快なダイレクト・ボレーシュートが飛び出すなどなど、ゴールには至らなかったが、惜しいシーンが連続していた。

 この流れからも、逆転ゴールが間近に見込めるような雰囲気が漂っていたのだが、後半17分、一瞬の隙をつかれ、相手に勝ち越し点を献上。後半28分にも追加点を奪われてしまった。
 その後、愛媛イレブンも必死の反撃を試みるが、スコア2−4のままタイムアップ。愛媛FCの悔しい逆転負けとなった。
 
 結果的には、勝利を掴めず残念ではあるが、シュート数では22−14と相手を大きく上回っており、得点に向けての積極的な姿勢が強く感じとれる今節であった。
 所属選手の数が少ない上、ケガ人も多く、スタメンが定まらない状況下で、首位のチームを相手に同等以上の攻撃力をみせてくれたことは今後に向けて心強い。
 また、課題ともされる先制ゴールを奪えたこと、そしてFWポジションの2選手が、それぞれ得点を決めたことは、チームとしての自信に繋がるものではないだろうか。
 
 シーズン中盤の踏ん張りどころに差しかかっている愛媛FC。ここを乗り切るためにも、新たな望月監督の采配に期待したい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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