7月8日(水)、J2第26節となる愛媛FC対コンサドーレ札幌の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 現在(第25節終了時点)、3連敗中の愛媛FC。シーズン中盤に差しかかり、選手たちの疲労の蓄積や負傷者続出などのため、ベストメンバーで試合に臨むのが難しくなっていることは理解できる。しかし、シーズン当初の目標を達成するためには、負けてはいられないのだ。厳しいとは思うが、「伊予魂」を発揮して、なんとか良い結果を導き出してほしい。
(写真:愛媛のセットプレー! 敵ゴール前でのポジション争い)
 断続的に降り続く小雨の影響で、不快な蒸し暑さを感じる今日のニンジニアスタジアム。ピッチコンディションも、ややスリッピーな状況となった。
 夕闇が迫る中、時刻は午後7時を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。

 序盤、敵による前線からの積極的なプレッシャーに戸惑い、なかなかボールをキープできない状況が続く愛媛FC。それでも開始15分を過ぎる頃には自陣で、しっかりとパスを繋ぎつつビルドアップを図り、敵陣内のサイドスペースを利用して果敢な攻撃を見せ始める。

 前半38分、敵陣内中央にて自陣からのボールをFW内村圭宏選手がキープ。左サイドスペースへと駆け上がるMF赤井秀一選手にボールを預ける。赤井選手はためをつくりながら、センターサークル内にてフリーのMF田森大己選手に向けてパスを送る。ボールを受けた田森選手は、右サイドスペースへと開くMF大山俊輔選手へとパスを通した。

 そのまま同サイドを、ドリブルで駆け上がる大山選手。敵DFに行く手を阻まれた瞬間、ワントラップを挟み、ゴール前に向けて低い弾道のアーリークロスを供給する。このクロスボールを捉えたのは、ペナルティエリアに詰めていた内村選手。ゴールエリアに走り込みながら、エリア内でワンバウンドしたボールを右足でスライディングキック! コースが変化したボールに敵GKは反応できず、見事ゴールイン!

 大歓声に包まれるスタジアム。チームメイトと抱き合い喜びを爆発させる内村選手。ピッチを幅広く使い、素早い攻撃展開から生まれた美しい先制ゴールだった。
 前半は、このままスコア1−0で終了。
 
 後半立ち上がり、相手の前がかりな攻撃に対して受身に廻り、自陣に押し込まれるシーンが続く愛媛FC。そんな中でもセットプレーなどからチャンスを掴み、敵ゴールへと迫る場面も見られた。

 後半23分、右サイド赤井選手からの折り返しのボールを、ペナルティアークで受けた内村選手が、そのままドリブル突破で敵ペナルティエリアに侵入。敵DFをかわしつつシュートを放つが、GKに阻まれ、惜しくもゴールならず。
 後半27分はFW大木勉選手からのスルーパスを受けた大山選手が、ペナルティエリアからシュートを放つが、敵GKが必死のセービング。さらに内村選手が、そこに詰めてGKの手に収まりかけたボールを押し込むが、キーパーチャージとの判定で得点には至らなかった。

 追加点を取れないものの、攻撃のペースも良く、守備陣も踏ん張っていたので、このまま逃げ切れるかと思った矢先、残り10分というところで、愛媛イレブンの足が止まり始める。蒸し暑さの中、体力を消耗し、急激に運動量が落ち始めたのだ。

 後半36分、敵の攻撃陣に中央を突破され、同点に追いつかれる。その2分後の後半38分には、自陣サイドスペースをつかれ、あっさりと逆転ゴールを決められてしまった。
 その後、愛媛も反撃を試みるが、無情にも時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。結局、最終スコア1−2で愛媛FCが悔しい逆転負けを喫した。
 
 今節、シュート数では相手を上回っており、追加点を決め、勝てるチャンスは充分にあったと思われる。試合終盤のわずか数分間の体力勝負に敗れたかのような結果となってしまった。

 シーズン前のキャンプからスタミナ強化に取り組んできた愛媛FC。しかし、それを実戦でうまく活かされていないように感じる。ますますスタミナを奪われることが予測できる暑い季節へと突入する中、もう一度、苦しいキャンプ練習のことを思い出し、奮起してほしい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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