7月26日(日)、J2第30節となる愛媛FC対カターレ富山の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 現在(第29節終了時点)引き分けを挟んで、6連敗中の愛媛FC。泥沼にはまり込んでしまったのか、浮上のきっかけが見つからないまま、リーグ戦を迷走しているかのようにも見える。それでも、ホームゲームでの勝利を足掛かりに、なんとか泥沼からの脱出を図りたいところである。
(写真:愛媛のコーナーキック! 得点のチャンス!)
 梅雨の影響で、あいにくの空模様となった今日のニンジニアスタジアム。朝からの雨の影響で、水はけの悪いグラウンドは大量の雨水を含み、ピッチコンディションはかなり悪い状況。さらには、体力を吸い取られるような蒸し暑さが選手たちに襲いかかる。
 
 不快指数が高まる中、試合前にはFW大木勉選手とFW内村圭宏選手の「J2通算100試合出場」を祝う記念のセレモニーが行われ、スタジアムは一瞬、爽やかな雰囲気を漂わせていた。
 
 照明灯に灯が燈る中、時刻は午後7時を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 序盤、自陣でボールをキープしつつ、敵陣内へと積極的に攻め込む姿勢を見せている愛媛イレブン。前半14分、ハーフウェイライン付近、右サイドタッチラインからの愛媛のスローインによるリスタート。DF関根永悟選手が、タッチラインからボールを投入する。

 間際にいたMF赤井秀一選手が、このボールをダイレクトに捉え、前線に向けロングフィードを供給。敵DFが、このフィードをクリアに向かうがミスを犯す。そのままボールは、敵DFライン裏へと転がった。

 そこに駆け込んで来たのは内村選手。ペナルティエリアで、このボールに追いつき、スライディングシュートを放つ! しかし、敵GKに弾き返され、ボールがこぼれる。さらに、そこに詰めていたのは大木選手。エリア内に転がるボールを捉え、右足を豪快に振り抜きシュートを放った!

 矢のようなグラウンダーのシュートは、敵GKとDFの間を擦り抜け、見事ゴールイン!大歓声が湧き起こるスタジアム! 「J2通算100試合出場」を祝う記念すべきゴールを自ら決めてみせた大木選手が、スタンドに向かって両手を広げ、喜びを爆発させる!
「オオキー・ススムー! ラララー・ラララ〜!」
 サポーターたちも大木選手を称えるコールを連呼し、共に歓喜を味わっている。
 
 欲しかった先制ゴールを手に入れ、かさにかかって攻め立てる愛媛FC。前半27分、MF大山俊輔選手が、敵陣内の右サイドからゴール前に向けて、アーリークロスを供給。内村選手が敵DFと競り合いつつ、このクロスへと向かうが、捉えることはできず、ボールがこぼれる。

 そこに走り込んできたのは、MF横谷繁選手。ペナルティエリアでバウンドするボールを捉え、左足を鋭く振り抜きボレーシュートを放った! 弾丸シュートが、敵ゴールマウスへと襲いかかる! しかし、敵GKが必死のセービングで、このボールをクリア。惜しくも、追加点には至らなかった。
 
 前半戦、アグレッシブな攻めをみせ、先制ゴールも決めて良いリズムで試合を進めてきた愛媛FC。このまま、後半戦も良いムードで押し切れるかと思ったのだが、後半19分に敵に同点ゴールを決められると、一気にトーンダウン。悪環境下でのゲームにおけるペース配分を見誤ったのか、どんどん足が止まり、後半32分には逆転ゴールを決められてしまう。

 その後、攻撃的な選手を投入し、リスクをとりつつ、前がかり気味に反撃を試みる愛媛FCだったが、追いつくどころか、ロスタイムには逆に突き放され、万事休す。最終スコア1−3で愛媛FCの悔しい逆転負けとなった。

 ここ数試合、前半戦は良いものの、後半でガクンと勢いが落ちてしまっているように感じる。やはり、スタミナ面の強化が急務ではないだろうか。

 また、この季節、気候の影響もあり、悪環境下でのゲームとなることを選手たちは試合前に認識しているはずだ。だが、雨水の影響を受け、イレギュラーバウンドを繰り返すボールのコントロールに戸惑いを見せるなど、未だにホームのグラウンドに慣れていないようにも感じる。相手の攻略に取り組むよりも前に、ピッチコンディションを細部にわたり、しっかりと把握することが必要に思われるのだ。

 頭はクールに、それでも「闘う気持ち」は、忘れることなく次節へと臨んでほしい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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