8月5日(水)、J2第32節となる愛媛FC対ロアッソ熊本の一戦が、高知県立春野総合運動公園陸上競技場にて行われた。今節は、いつものニンジニアスタジアムを離れ、高知県高知市でのホームゲーム開催となった。愛媛FCのホームゲームとしては、記念すべき初の県外開催である。
 また、高知県では実に2年ぶりのJリーグ公式戦の開催ということもあり、高知県の関係者やサッカー協会の方々、県民の皆さんも私たちのことを温かく迎えて下さったのだ。それだけに是非、良いゲームを高知の皆さんにお見せして、勝利を手にしたいところである。
(写真:高知県春野にてホームゲームを開催)
 試合前に降っていた雨は止み、ピッチコンディションは概ね良好。
 照明灯が、緑の芝生を美しく照らす中、時計は午後7時30分を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 
 序盤、思うようにボールキープが出来ず、自陣に押し込まれるシーンが続く愛媛FC。 前半5分、敵によるサイドからの攻撃で、先制点を奪われてしまった。
 愛媛イレブンも反撃に向けて、自陣でボールを廻しつつ、リズムを整える。

 前半13分、自陣DFラインでパスを廻す中、DF吉川健太選手がボールをキープ。敵DFライン裏へと飛び出す構えを見せていたFW内村圭宏選手へとロングフィードを供給する。ペナルティエリア近くでボールに追いつき、巧みなトラップでボールをコントロールする内村選手。そのままドリブルでボールをエリア内へと運び込み、左足を鋭く振り抜いてシュート放つが、敵GKがセービング。惜しくも得点には至らなかった。
 
 この後もアタックを繰り出すが、単発的なせいか、敵によるプレッシャーをなかなか押し返すことが出来ない愛媛FC。
 そんな中、前半30分、相手によるパワープレーのような攻めから、あっさりと追加点を許してしまったのだ。前半戦は、このまま0−2で終了。
 
 2点のビハインドを背負う中、後半戦がスタート。中盤でパスを繋ぎ、攻撃のリズムをつくりだす愛媛イレブン。
 後半3分、MF千島徹選手が自陣DFラインからのボールを受け、中盤のMF横谷繁選手へ向けてパスを送る。横谷選手はボールを足元に収め、敵DFライン裏へと抜け出す態勢に入ったFW田中俊也選手を確認。前線のスペース目がけて、スルーパスを供給する。素早く反応し、ペナルティエリアでボールに追いついた田中選手は、ダイレクトに右足を振り抜き、グラウンダーのシュート! ボールは敵GKの伸ばした手の先をすり抜けるが、ゴールポスト左外側に逸れ、惜しくもゴールマウスを捉えることはできなかった。
(写真:中盤で攻撃を組み立てる愛媛イレブン)
 
 後半13分、DF柴小屋雄一選手が敵のパスをカット。こぼれたボールを横谷選手がキープし、敵のタックルをかわしつつ、前線の内村選手へとパスを通した。ボールを受けた内村選手は、そのままドリブルでペナルティアークまで持ち込み、右足でシュートを放つ。だが、これまた枠を捉えることができなかった。
 
 後半21分には、自陣左サイドに陣取るDF青野大介選手からのパスを敵陣内の同サイドにいた田中選手が受け取り、後方の千島選手へとボールを下げる。千島選手は来たボールをダイレクトに捉え、前線に陣取るMF大山俊輔選手へとパスを送った。ボールをキープして敵DFを引き付けつつ、DFライン裏へと飛び出す構えを見せる内村選手の前方に、スルーパスを供給する大山選手。飛び出した内村選手がペナルティエリアで、このボールに追いつき、敵GKとの1対1の局面をつくりだすが、またもやゴールを決めることができなかった。
 
 幾度となく溜め息がこぼれるスタジアムの中、無情にも時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。
 最終スコア0−2で、愛媛FCの惜敗となった。
 
 ケガによる欠場や出場停止処分の選手が続出し、5名の控え枠(ベンチメンバー)にも3名(その内、フィールドプレーヤーは1名)しか選手を入れることができなかった愛媛FC。先発要員に至っても、MF登録選手がディフェンスラインを構成しなければならないほどの苦しい台所事情である。

 非常事態とも言える、この状況下において、高知の皆さんには、本来の「愛媛FCの魅力」を伝えることはできなかったかもしれないが、決定機や体を張った守備など、何度も見どころをつくりだしており、今節も選手達は最後まで良く頑張っていたと思う。
 
「こんなに頑張っている選手たちを見殺しにはできない」 
 今こそ、私たちサポーターやファン、そして支援者が、力を結集し、チームを支え、盛り立てなければならない時ではないだろうか。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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