4月17日(土)、J2第7節となる愛媛FC対徳島ヴォルティスの一戦が、アウェイ(大塚スポーツパーク・ポカリスエットスタジアム)にて行われた。
 前節の対東京ヴェルディ戦では、FW福田健二選手が決勝点となる見事なループシュートを決め、今季のホーム初勝利を収めた愛媛FC。このままの勢いで、地域の意地とプライドが激突する四国ダービーを是が非でも征したい。
 両チームのサポーターたちも、この日ばかりはと試合開始1時間以上前から熱い応援コールを繰り返し、会場内を盛り上げている。
(写真:愛媛のセットプレー、敵ゴール前での争い)
 前日からの雨も止み、晴天に恵まれた今日のポカリスエットスタジアム。ピッチコンディションは、概ね良好の様子。気になるのは、ホーム側からアウェイ側ベンチへと吹き抜ける強風くらいだろうか。
 
 ダービーマッチらしい独特の緊張感が漂う中、時刻は午後2時を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。
 前半、風下に立ち攻撃を組み立てる愛媛FC。立ち上がり、ロングフィードを使い、敵陣へとボールを運び、流れを掴みかける。しかし、開始5分を過ぎると敵にボールをキープされ、自陣に押し込まれるシーンが目立ってくる。
 それでもCBのアライール選手や小原章吾選手が中心となり、固い守りを展開。相手の攻撃の芽を摘み取っていく。敵のセットプレーによりピンチを迎えた場面においても、GK山本浩正選手が落ち着いたセービングを見せるなど、守備でリズムを整えつつ、反撃を試みる。
 
 前半21分、敵陣内の右サイドでパスを繋ぎ、DF関根永悟選手がペナルティアーク付近に陣取るMF赤井秀一選手へとパスを送る。このボールを赤井選手がヒールで後方へと流す。そこに走り込んで来たのは、MF越智亮介選手。ボールを足元に収めつつ、シュートを放った! しかし、最終ラインの敵DFに当たり、ペナルティエリアにボールが転がる。これに反応した赤井選手が素早くアプローチ。左足を豪快に振り抜きシュートを放つ!

 が、今度は敵GKがパンチングでクリア。そこからのこぼれ球をFW福田健二選手が拾い直し、シュートを放つが、上手くミートせず、ゴールマウスを捉えることはできなかった。
 それでも愛媛による波状攻撃に対し、会場に詰めかけた愛媛サポーターからは大歓声が湧き起こった。
 
 その後、守勢に廻りながらもカウンター攻撃などを繰り出し、得点への意欲を見せる愛媛FC。
 後半2分、GK山本選手からのロングフィードによって敵陣へと持ち込んだボールを中盤で丁寧に廻しつつキープする。ペナルティアーク手前に陣取るFW内田健太選手がボールを足元に収め、一旦、後方のMF杉浦恭平選手へと戻す。左サイドスペースに向けて開く構えを見せる赤井選手へとパスを送る杉浦選手。ボールを受けた赤井選手が、同サイドからファーサイドに向けてセンタリングを供給。
(写真:敵陣・左サイドから攻撃を仕掛ける)

 このボールに対し、福田選手が敵DFと競り合いつつ、アプローチに向かうが捉えきれず、ペナルティエリアにボールがこぼれる。このルーズボールに反応したのは、越智選手。右足を鋭く振り抜きシュートを放つ! が、ゴール前の敵DFに弾き返されてしまった。弾かれたボールは、ペナルティアークへと転がる。そこに走り込んできたのはMF渡邊一仁選手。左足を豪快に振り抜きシュートを放つも、またまた敵DFにはね返されゴールならず。惜しいシーンの連続に愛媛サポーターからは溜め息がこぼれる。
 
 後半33分、カウンター攻撃を仕掛ける愛媛FC。杉浦選手が、右サイドから中央へとシフトしながら敵陣内をドリブルで駆け上がる。ペナルティエリアへと走り込む赤井選手へとスルーパスを供給する杉浦選手。ボールを足元に収めた赤井選手が右足で強烈なシュートを放つが、惜しくもゴールマウスを捉えることはできなかった。
 
 一進一退の攻防が続く中、時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。最終スコア0−0で、悔しい引き分けに終わった。 
 相手による激しい攻撃に対し、愛媛FCが何とかゴールを守り切ったという印象の試合であった。守備意識を強く持って試合に臨んでいることは理解できるが、敵選手との1対1の局面においては、「負けない気持ち」「勝利への思い」をもっとプレーで見せて欲しかったと感じた。

 攻撃へのビルドアップ時に関しては、中盤でのパスミスや連携ミスなどの悪い面が少々目立ったが、両サイドを使ったスピーディーな展開など良いところも見られた。
 また、途中出場ではあるがMF江後賢一選手の公式戦復帰は、愛媛FCにとって明るい話題と言えるだろう。
 
 今季の四国ダービーは、あと1戦のみ。ホームで徳島を迎え撃つことになる。それまでには確実にチーム力を上げ、必ず愛媛に勝利をもたらせて欲しいものだ。

 
松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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