５月15日（土）、Ｊ２第13節となる愛媛ＦＣ対ギラヴァンツ北九州の一戦が行われるホーム・ニンジニアスタジアムに、トランペットの音が高らかに響き渡った！
以前、このコラムでもご紹介したが、今年、愛媛マンダリンパイレーツ私設応援団「愛勇会」の方々と相互協力の関係を築き、応援コラボレーションを展開している「愛媛ゴール裏net（愛媛ＦＣサポーターグループの集まり）」。愛媛ＦＣと愛媛マンダリンパイレーツ、それぞれのホームゲームが行われるこの日、「愛勇会」の方々と力を合わせ、ラッピングバス（オ〜レくんなどのイラストが描かれたバス）をチャーターし、会場間を一緒に移動して両チームを応援しようという「夢の応援コラボ企画」を実施する運びとなった。
（写真：「伊予魂」幕、坊っちゃんスタジアムへ初進出） 愛媛ＦＣホームゲームは、午後１時の試合開始で終了時刻は、午後３時頃の予定。愛媛マンダリンパイレーツの試合は午後６時からということで、幸いにも両チームの試合を観戦、応援でき、各々のスタジアムへの移動時間にも余裕がある特別な１日なのである。ただ野球に関しては天候の状況により、試合中止になる可能性もあり、その点を心配していた。だが、この日の松山市は朝から晴天に恵まれ、試合の開催が確実なものとなり、１日がかりの夢の企画は無事スタートへとこぎつけることができたのであった。
当日の朝、応援コラボ参加者を乗せ、集合場所の坊っちゃんスタジアムを出発したバスは、午前10時にはニンジニアスタジアムへ到着。すぐさま皆で横断幕の設置など、試合前の準備に取りかかる。「愛勇会」の方々も献身的に準備を手伝ってくださった。
午後１時、選手たちのピッチ入場を待つスタジアム。ここで「愛勇会」の方々に愛媛ＦＣの応援チャント（応援コールの曲）をトランペットで演奏していただき、私たちサポーターが、その演奏に合わせてコールを大合唱。愛媛ＦＣの試合では初のコラボレーションであったが、スタジアムは大いに盛りあがり、戦いへ向けての雰囲気づくりにも貢献できたと思う。
愛媛ＦＣのキックオフでスタートした、この一戦、一進一退の攻防が続く中、前半20分に試合が動く。敵によるカウンター狙いのロングフィードを、自陣のDF関根永悟選手がヘディングで押し返す。このボールをオーバーラップ中のDFアライール選手が拾い、ゴール前に向けてアーリークロスを供給。同じくオーバーラップを仕掛けていたDF高杉亮太選手がペナルティエリアに走り込み、このクロスを捉え、スライディングで敵ゴールへと押し込む。見事、先制点を奪取！ 大歓声に包まれるスタジアム！
しかし、喜びも束の間、先制から３分後、ケガのため選手１名を交代させることになった愛媛ＦＣ。交代直後、ポジショニングが定まらない不安定な状況に陥り、まんまとその隙を衝かれ、同点に追いつかれてしまった。
その後、何度も勝ち越し点を狙えるチャンスは訪れたのだが、ことごとくその機会を逃し、最終スコア１−１のまま試合終了。下位クラブを相手に、悔しい引き分けに終わった。
試合終了後、感傷にひたる間もなく早々に片付けを行い、愛媛マンダリンパイレーツ対香川オリーブガイナーズが開催される坊っちゃんスタジアムへと出発する。午後５時の開門前には球場へ到着し、先程片付けたばかりの横断幕をもう一度広げてスタンドへ設置した。
時刻は午後６時を過ぎ、試合開始と同時に「愛勇会」の音頭でマンダリンパイレーツの応援を行う愛媛ＦＣサポーター。普段、アイランドリーグのスタンドでは見られない、飛んだり跳ねたり、大きな声を出しての応援コールを繰り返す。劣勢の試合展開の中、勝利を信じて最終回まで全力で応援を続けたが願いは届かず、愛媛マンダリンパイレーツの完封負けとなってしまった。
（写真：７回裏、愛媛の攻撃。ジェット風船発射！） 試合結果は残念であったが、それでも一体感のある応援を坊っちゃんスタジアムにおいても繰り広げることができて、次の活動へとつながる貴重な経験を得られたのではないかと感じている。なんとも慌しい１日となったが、今回の企画を通じて愛勇会の方々との「応援コラボ」の活動や「愛媛のスポーツを盛り上げ、愛媛を元気にしよう！」という取り組みに関して、内外に向けて広くアピールすることができたように思える。１人でも多くの方が、この取り組みを知って趣旨に賛同していただき、今後の活動へ参加してくださったならば、今日の企画は本当に意義があったと言えるのだろう。
観客動員数が伸び悩み、先行きが不安な愛媛のプロスポーツ。状況打開に向けてスポーツを生で観戦し、応援する楽しさを地域の方々へ伝えるべく、これからも相互協力の関係を深めていきたいものである。
松本 晋司（まつもと しんじ）プロフィール 1967年５月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida（ラランジャ・トルシーダ）」代表。2000年２月６日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO（アランチーノ）」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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