11月6日(土)、J2第33節となる愛媛FC対ザスパ草津の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 いよいよ終盤を迎えた今シーズン。現在(第32節終了時点)リーグ戦12位の愛媛FC。目標順位「8位」到達のため、残りの一戦一戦が、本当に大事なものとなってくる。もちろん、今節も負けることは許されないのだ。
(写真:敵陣中央をドリブル突破!)
 美しく晴れ渡った秋空が広がる今日のニンジニアスタジアム。ピッチコンディションは良好の模様だ。時刻は午後4時を廻り、上空が薄っすらと赤く染まり始める中、愛媛FCのキックオフで試合がスタートした。

 立ち上がり、積極的なプレッシングで相手ボールを奪い、敵陣へと攻め込む姿勢を見せる愛媛FC。
 前半13分、早くも歓喜の瞬間が訪れる。敵DFラインからのクリアボールをDFアライール選手が捉え、左サイド前方のスペースに向けてダイレクトのロングフィードを供給した。このボールが、相手DFラインの裏のスペースへとうまく転がる。素早く反応し、このボールに追いついたのはFWジョジマール選手だ。敵陣内の左サイド深い位置でボールを足元に収めつつ、敵DFが詰め寄る直前にゴール前へとセンタリングを入れた。

 そこに詰めていたのはMF赤井秀一選手。マイナス方向へのボールに対して、若干、後ろへと下がりながらジャンプし、ヘディングシュートを放った! ボールは放物線を描きながら敵GKのモーションの逆をつき、見事、ゴールマウス左隅に突き刺さった! 大歓声が湧き起こるスタジアム! チームメイトと抱き合い、喜びを分かち合う赤井選手! 「スウィーンギン! スウィンギン・エヒメ! フォーエバー〜!」とサポーターたちも赤井選手のゴールを称えるコールを繰り返し、喜びを爆発させている!
 
 副キャプテン赤井選手による今季3点目のゴールが飛び出し、ますます勢いづく愛媛イレブン。
 前半19分、センターライン付近で相手のボールを奪ったDF小原章吾選手が、敵陣内の左サイドに陣取るMF杉浦恭平選手へとパスを送る。ボールを受けた杉浦選手が、前方のスペースへ向けてスルーパスを供給。ボールに追いついたFW内田健太選手が、中央へと駆け上がるジョジマール選手へとヒールでパスを送る。

 ボールを受けたジョジマール選手は、敵DFを引きつけつつ、ドリブルで前進。敵陣中央をフリーで駆け上がる赤井選手を確認し、その前方スペースへ向けてラストパスを供給した。ペナルティアークで、このボールに追いついた赤井選手が、ワントラップを挟みつつ、豪快に左足を振り抜き、シュート! 弾丸シュートが、敵ゴールに襲いかかる! しかし、敵GKが必死のパンチングセーブをみせ、惜しくもゴールには至らなかった。それでも流れるようなパスワークを駆使した攻撃と赤井選手の素晴らしいシュートに対し、スタンドからは大きな拍手が送られていた。
(写真:敵陣内サイドからの攻撃)
 
 今節、攻撃陣が好調の愛媛FC。このまま攻め続け、ペースを維持したまま試合が進むかと思われたのだが、後半に入ると流れは一転。草津の反撃が始まり、肝を冷やすような場面が相次いだ。
 後半22分、敵FWにDFライン裏に抜け出され、シュートを打たれる。しかし、GK川北裕介選手が横っ飛びセービングで愛媛ゴールを死守。後半41分には、自陣ゴールに近い位置から、相手選手に直接ゴールを狙ったフリーキックを打たれたが、ボールはクロスバーを弾き、ゴールを割られることはなかった。
 
 その後も守護神・川北選手を中心にした粘り強い守備で、何とか虎の子の1点を守りきり、試合終了。結局、最終スコア1−0で愛媛FCが辛くも勝利を収めた。
 序盤から運動量を駆使し、チェイシングやアタッキングを繰り返していた分、後半は辛い時間帯を迎えなければならなかった。だが、結果として勝ち点3をもぎ取れたことは、チームとして価値のある経験であったと思える。
 
 試合後、サポーターが待つゴール裏席へと挨拶に来た赤井選手は、「なかなか見ることができない僕のヘディングシュートを、生(ナマ)で見れたので、皆さんはラッキーです! 残り試合全部、勝つつもりでやるので、応援よろしくお願いします!」と笑顔でマイクパフォーマンスを行い、サポーターたちを沸かせていた。

 副キャプテンの活躍で勝利した愛媛FCは、リーグ戦11位へとポジションアップ。このまま調子を落とすことなく、残り5試合を全力で戦い抜き、是非とも目標を達成して愛媛や愛媛を愛している人々みんなに笑顔をもたらしてほしい。


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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