11月20日(土)、J2第35節となる愛媛FC対大分トリニータの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 前節(第34節)もギラヴァンツ北九州を相手に、アウェイ戦ながら3−0のスコアで快勝を収め、連勝をマークした愛媛FC。11月からの猛ダッシュのようなラストスパートは見応え充分だ。今季のリーグ公式戦、残り4試合も、この勢いのまま突っ走ってもらいたい。
(写真:豪快なミドルシュート!)
 朝から晴天に恵まれた今日のニンジニアスタジアム。ピッチコンディションは、概ね良好の模様。好ゲームが期待できそうだ。
 時刻は午後5時を廻り、日中の暖かさは何処へやら、グッと冷え込みが増す中、大分トリニータのキックオフで試合がスタートした。
 
 立ち上がりから、両サイドスペースを利用し、敵陣へと果敢にボールを進める愛媛FC。そんな攻撃への積極的な姿勢が、今節も先制ゴールを呼び込む。
 前半14分、最終ラインからのボールを敵陣内の右サイドで細かく繋ぐ愛媛。センターサークル付近に陣取るMF越智亮介選手が一旦、このボールを足元に収める。敵DFラインを牽制するような動きを見せる前線のFW石井謙伍選手へ向けて、フィードボールを供給した。

 このボールを捉えた石井選手が、敵陣内の左サイドスペースをオーバーラップして攻め上がるDF三上卓哉選手へと、ダイレクトにヘディングでパスを送る。ボールを受けた三上選手が、そのままドリブルで同サイドを駆け上がり、トラップを挟みつつ、敵DFをかわしながらゴール前にセンタリングを入れた。

 このボールを捉えたのは、FWジョジマール選手。ゴール前に素早く走り込み、大きくジャンプ! 敵DFの背中越しにヘディングシュートを放った! 走り込んできた勢いそのままに放たれたボールは、敵GKの足元でバウンドしながら、ゴールネットに鋭く突き刺さった! 大歓声が湧き起こるスタジアム! 夜空に右手を突き上げ、喜びを爆発させるジョジマール選手! 「スウィーンギン! スウィンギン・エヒメ! フォーエバー〜!」と、今日もサポーターたちの歓喜の大合唱がスタジアムに響き渡る!
 
 大分トリニータも黙ってはいない。中央突破やセットプレーなどから反撃を試みる。しかし、守護神のGK川北裕介選手によるスーパーセービングやDF陣の粘り強い守備などで相手の得点を許さない。
 
 好守でリズムを整えつつ再度、攻勢を仕掛ける愛媛イレブン。前半35分、敵陣内の左サイドで繋いだボールを一旦、自陣最終ラインのDFアライール選手へと戻す。ボールを足元に収めたアライール選手が、右サイドへとシフトしつつ、ドリブルで敵陣内へと侵入。同サイド前方のスペースへ向けてオーバーラップを仕掛けるDF関根永悟選手へとスルーパスを通す。

 パスを受けた関根選手は、そのまま縦方向にドリブルでボールを運び、敵DFを引き付けつつ、ペナルティエリアに向けて、グラウンダーのアーリークロスを供給。そこに絶妙のタイミングで飛び込んできたのはFW内田健太選手だ。スピードに乗ったクロスボールへ向けてスライディングの体勢で突っ込み、左足を伸ばしながらダイレクトに合わせ、シュートを放った! 

 グラウンダーのシュートは、敵GKの伸ばした手の先をすり抜け見事、ゴールイン! 再び、歓喜に包まれるスタジアム! チームメイトと抱き合い、喜びを分かち合う内田選手! 「エヒメのハチバン! ウチダ・ケンター! ウチダ! オ・オ・オオー!」と、内田選手のゴールを称えるサポーターの大合唱がスタジアムにこだまする!
 
 2点をリードし、最高の雰囲気の中、気持ち良くゲームを進めることができるかと思ったのだが、前半45分、一瞬の隙を突かれ、相手に得点を許してしまった。前半戦は2−1で終了。
 
 嫌な時間帯での失点。1点差に詰め寄られ、重い空気が漂う中での後半スタートだったが、愛媛イレブンの気持ちは逆に引き締まっていたようである。
 後半3分、ジョジマール選手がヘディングシュートを見せる。後半7分には、内田選手がゴールポスト直撃のミドルシュートを放つ。後半26分には、敵ペナルティエリア内での石井選手の右足シュートが飛び出すなどなど、得点には至らなかったが、相手の追撃ムードが高まりつつある時間帯においても、それを掻き消すかのようなゴールへの意欲を随所に感じることができた。
(写真:敵ゴールに近い位置でのフリーキック)
 
 その後も相手が攻勢に出る中、守勢ばかりに廻らず、攻めの意識を持って試合を進めることにより、一進一退の攻防を展開。タイムアップまで愛媛ゴールを守り切ることに成功した。結局、最終スコア2−1で愛媛FCが見事、勝ち点3を奪取した。

 この勝利で愛媛は、3連勝をマーク! リーグ戦順位は、(第35節終了時点)10位へとワンランクアップとなった。いよいよ目指す目標順位「8位」に、手が届く所までやってきた。残りは、僅かに3試合。魂のこもった試合を魅せる愛媛FC選手たちの姿を、一瞬たりとも見逃すことはできない。

※このコーナーは今月より毎月第1水曜日更新に変更させていただきます。ご了承ください。

松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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