2010年11月28日(日)、J2第37節となる愛媛FC対ジェフユナイテッド千葉の一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 ついに2010シーズンのホームゲーム最終戦を迎えた今節。是が非でも勝利を手に入れ、リーグ戦での目標順位「8位」への夢を繋げたい。
(写真:敵陣内、フリーキックのチャンス!)
 朝から晴天に恵まれた今日のニンジニアスタジアム。寒空の下ながら、ピッチコンディションは概ね良好の模様だ。
 夕刻を迎え、スタンドのサポーターたちがオレンジ色のジェット風船を用いたコレオグラフィーを展開する中、両チームの選手たちがピッチへと入場。試合前、今節でJリーグ通算200試合出場となるMF赤井秀一選手の記念セレモニーが行われ、気持ちが昂る中、時刻は午後4時30分を廻り、千葉のキックオフで試合がスタートした。
 
 立ち上がり、相手にボールをキープされ、自陣に押し込まれる、苦しい展開が続く。前半6分、自陣DFラインを崩され、あっさりと先取点を献上。早くもビハインドを背負ってしまった。
 
 しかし、愛媛FCも黙ってはいない。サイド攻撃やロングフィードなどを駆使して反撃を試みる。前半10分、敵陣内、愛媛によるサイドチェンジから左サイドスペースに抜け出たDF三上卓哉選手がボールに追いつき、ペナルティエリア内ファーサイドに向けてクロスボールを供給。ボールを捉えたFWジョジマール選手が、ヘッドでゴール前へと折り返す。敵DFに当たり、こぼれたボールを捉えたのは赤井選手。素早く右足を振り抜き、ボレーシュートを放つが、ゴールマウスを捉えることはできなかった。
 
 前半13分、敵陣内中央にてボールをキープしたジョジマール選手が、敵DFと接触しつつ、MF杉浦恭平選手へとパスを送る。ボールを受けた杉浦選手が、中央を駆け上がるMF田森大己選手の前方スペースに向けてスルーパスを供給。このボールを捉えた田森選手は、ゴールまで約30メートルを残す位置だったが、アプローチした瞬間、右足を豪快に振り抜き、ミドルシュートを放った! 弾丸シュートは敵DFの間を擦り抜け、ゴールへと襲い掛かる! しかし、立ちふさがる敵GKにキャッチされ、惜しくもゴールならず。それでも積極的な攻撃姿勢を見せ始めた愛媛イレブンに対して、スタンドからは大きな拍手が送られていた。
(写真:サイドからの攻撃展開)
 
 前半、攻め込まれるシーンも目立つが、粘り強い守備からリズムを整え、着実に反撃の態勢を組み立てた愛媛FC。後半に入ると、その反撃の勢いが更に高まっていく。
 後半28分、コーナーキックのチャンスを得た愛媛。キッカーは赤井選手。左コーナーから右足を振り抜き、ファーサイドに向けてボールを供給する。そこに走り込んできたのは、DF小原章吾選手だ。弧を描く軌道にタイミングを合わせ、右足でボレーシュートを放った! ロビング気味に敵ゴールへと向かうボール! しかし、ゴールポストに弾かれ、惜しくも得点には至らなかった。スタンドからは大きな溜め息がこぼれる。
 
 後半32分には、敵陣内右サイドに陣取る赤井選手が、ゴール前に向けてアーリークロスを供給。このクロスを捉えたFW福田健二選手が、敵DFと競り合いつつ、ヘディングシュートを放つが、これまたゴールマウスを捉えることはできなかった。
 
 さらにアディショナルタイムには、ペナルティアークに陣取るFW石井謙伍選手が、敵陣内右サイドからペナルティエリアへと走り込むDFアライール選手の前方スペースへ向けて、ラストパスを送る。ボールを受けたアライール選手が、右足を鋭く振り抜きシュートを放ったが、ゴール外側のサイドネットを揺らすのみに終わった。
 
 再三の得点チャンスを、モノにできない愛媛。時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。結局、最終スコア0−1で愛媛FCの悔しい敗戦となった。
 
 前身のクラブ時代から長年、日本のトップカテゴリーやJ1で活躍してきたジェフユナイテッド千葉。2010シーズンは、J2を舞台に終盤まで上位をキープし、昇格争いを展開していた。そんな強豪チームを相手に愛媛FCは、リーグ戦前半の第16節では、0−3と大敗を喫してしまったが、今節では大いに善戦し、進化が見られたと言えるのではないだろうか。

 名門クラブ相手に臆することなく立ち向かい、シュート数では相手を上回っていたことも評価できる。ただ、数多くの得点機を迎えながらも、決定力に欠けるという課題が、はっきりと浮き彫りになった試合であったとも言える。
 
 続く12月4日(土)、2010シーズンの最終戦(J2第38節)が行われ、愛媛FCはカターレ富山と対戦。スコア3−3の引き分けに終わった。この結果、最終戦績は12勝12敗12分け(勝ち点48)で、リーグ戦順位は11位。残念ながら、目標の「8位」には届かなかった。だが、2006年のJ2昇格以降では、最高の勝率である「5割」という数字を残した。リーグ戦終盤においては、チームとしての結束力が高まり、結果として粘り強く戦えるチームへと進化、成長しているようにも感じられ、有意義な1年間であったと思われる。
 
 ストーブリーグの始まりとともに、2011シーズンはもうスタートしている。来季も更なる高みを目指し、課題を克服して「勝利」を貪欲に追及できるチームを確立して欲しいものだ。 


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
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