新ルール導入の5季目、“新参者”に注目 ~D.LEAGUE~

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 日本発のプロダンスリーグ「D.LEAGUE」の『D.LEAGUE 24-25 SEASON ROUND.0』が2日、東京・Terminal STUDIOで行われた。全14チームがチームタイトル曲のMVを収録。特設ステージでパフォーマンスを披露した。この模様は開幕2日前の10月11日(金)18時から各種プラットホームで疑似LIVE配信予定となっている。
 

(写真:新チームを加えた全14チームが参加したROUND.0)

 5シーズン目を迎えるD.LEAGUE。今季から新ルールを導入する。審査項目の中に、ソロパート「エースパフォーマンス」と、8名全員で動きを完全に揃える「シンクロパフォーマンス」を新設した。各ラウンド2分のショーケース中に「エースパフォーマンス」(※SPダンサーは対象外)と「シンクロパフォーマンス」を6~12秒ずつ、つくらなければならない。これにより例年以上に個も和も重視されるシーズンとなるだろう。
 
 この新ルールについて、神田勘太朗COOは「D.LEAGUEというジャンルがバラバラであるプロリーグにおいて、ひとつの基準を設けたいと思いました」と語り、こう続けた。
「ジャンル関係なくぴったり揃っているかどうかを評価する、シンクロ率を試すことにしました。統一ルールとして(振りがチームで)合っていることも大事な1票にする。エースパフォーマンスについては、野球でも4番がホームランを打ち、ピッチャーが完封勝利するなど、1人の力でひっくり返すことができる。チームのエースがここぞというパフォーマンスで1票を握れるところにエキサイティングできるのではないかと思い、導入しました」
 

(写真:Shigekixの加入で従来の躍動感あるダンスにどんなエッセンスが加わるのか)

 ソロパートの審査項目が追加された以上、各チームのエースの存在感がより際立つショーケースとなるだろう。ディレクターがSHUVAN(シューバン)に代わり、数々の世界大会優勝経験を持ち、この夏のパリオリンピックブレイキン男子4位入賞のShigekix(シゲキックス)が加入したKOSÉ 8ROCKS(コーセー エイトロックス)に注目が集まる。
 
「時は来た」
 D.LEAGUEレギュラー参戦のタイミングをそう表現したShigekix。過去22-23シーズンで8ROCKSのSPダンサーとして参加した。
「D.LEAGUEに対してはずっとポジティブな印象を持っていました。たくさんの方にとってダンスが身近になったり、憧れる、カッコイイ存在にD.LEAGUEのおかげで変化していると感じています。その中で自分も“時はきた”と。そういう意気込みで参戦させていただきました」
 
 これまでバトル形式を中心に活動してきた。
「僕がこれまでやってきたソロの活動では見れなかった景色や経験が得られると期待しています。いちB-boyとしてもダンサーとしても成長に繋げられると思う。これまでの活動とD.LEAGUE。相乗効果を生んでいければいいし、ダンス業界が盛り上がればうれしい」
 自らの成長がリーグ、ひいてはダンス界の隆盛に寄与できると考えている。
 

(写真:ピタッと静止するShigekixの「フリーズ」にチームメイトも沸く)

 SHUVANディレクターは“Shigekix効果”をこう語る。
「影響力がすごい。チームのメンバーもShigekixが練習に来た時にモチベーションが上がる。彼が技を見せると僕らブレイクダンサーはテンションが上がり、次のラウンドに向け“さぁ行くぞ”という気持ちになる。彼がD.LEAGUEに入ってくることで、新たな可能性が広がると確信しています。バトルではなくエンターテインメントショーケースとして新たなShigekixを見れる場所になる」
 
 Valuence INFINITIES(バリュエンス インフィニティーズ)にもパリオリンピックのブレイキン男子に出場したHIRO10(ヒロテン)が加入した。リーグ側としても“オリンピック→D.LEAGUE”という道筋を示したことは大きいと見ている。
「他競技において、オリンピックでメダルを獲った日本人選手が活躍する場が国内だけでは難しかったりする。ブレイキンはプロリーグが他にあるわけではない。今回オリンピアンがD.LEAGUEに参戦する流れになってくれたのはありがたい」(神田COO)
 今後、ダンスがオリンピック競技に復活するかはわからないが、D.LEAGUEから育った選手がオリンピックへという道筋も生まれてきてもおかしくはない。
 

(写真:リーダーのTenju<後列右から4番目>は「メンバーの仲はとても良い」という)

 昨季は新規参入のDYM MESSENGERS(ディーワイエム メッセンジャーズ)がCS出場を果たしたが、今季はList::X(リスト エクス)が新たに参画した。ヒップホップを軸とし、チームコンセプトは「old::new」(オールドトゥーニュー)とする。リーダーを務めるTenju(テンジュ)は「古き良きもの、時代と一緒に動いているものをミックスさせていく。そこを武器にしたいと思っています」と意気込む。
「勝ちにこだわっている。僕たちのダンススタイルを証明し、そこに勝利の道筋をつくれれば今後もそういうチームが増えてくるだろうし、自分たちとしてもいい挑戦になると思う」
 
 開幕戦は6th MATCHでレギュラーシーズン2連覇中の CyberAgent Legit(サイバーエージェント レジット)と対戦する。「僕の中では“List::Xとは”を見に来たお客さんが他の人に説明できるくらいテーマやカラーが印象に残ったり、“よくわからないけどカッコ良かった”と思ってくれたらうれしい。僕らが抽象的に踊ってきた内容が、具現化されて他に伝染していく様を見せたい」とTenju。勝利にこだわりながら求めるものがある。
「ダンスカルチャーが大好き。いろいろなダンスがあっていいし、様々な評価があっていい。今まで積み上げてきたことを生かし、“こういうこともできる”“こういう見せ方もある”と示し、ダンスや自分たちを知らない方たちの心を動かせたら一番うれしいです」(Tenju)

(写真:黒を基調とした衣装を纏い今季のテーマソングに乗って、グルービーに踊る)

 神田COOは新チームに「いつも新しいチームが入ってくると、“ぶっ壊してほしい”という思いがある。既存のチームと似たものを出しても新鮮味も面白味にも欠け、勝てない。いい意味でそこを打破してくれるチームになってほしい」と期待を寄せる。またXは横浜初のプロダンスチームだ。ここまで地域色の濃いチームは川崎市を拠点とするKADOKAWA DREAMS(カドカワ ドリームズ)の印象が強かったが、オーナー企業のListグループの創業の地である横浜市に籍を置く。
 
「地区が広がれば、見ていただける方、環境を含めて大きくなっていく。D.LEAGUE自体は地方開催及び地方リーグまで広げてはいません。まずは関東圏で火をつけることが目的でした。今回を機に様々なエリアからチームが発足することを期待しています」(神田COO)
 リーグはダンススタジオの日本一を決める「SD.LEAGUE」をスタートさせるなど、既に全国展開への一歩を踏み出していると言えよう。D.LEAGUEのチームでも、シーズン中は首都圏で活動するとしても、オフシーズンには本拠地に戻ってイベントを打つこともできるはずだ。
 
「4年間突っ走ってきましたが、5年目でひとつの結果を出せるように頑張ってまいります」と神田COO。ROUND.1は10月13日、東京ガーデンシアターで開催。チケットは既に完売しているという。今季はCYPER ROUNDを含む14ROUNDでレギュラーシーズンを戦う。
 
(文・写真/杉浦泰介)
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