サーブにも驚くような工夫がなされている。
現在、FIVB(バレーボール国際連盟)主催の全大会ではM社製のボールが使用されている。
このボールは青と黄の2色がスイカの縞のように入り混じっている。しかしヘソの部分は一方が青一色で、一方が黄一色だ。
眞鍋が指揮を執るようになってから、日本代表は相手に黄色の部分を見せるサーブを多用し始めた。
それは、こうした理由に依る。
「青色を見ると、人間は落ち着く習性があるというんです。つまりボールが変化しても返球しやすいらしい。
逆に黄色の部分を見せると、それほどではなくてもすごく変化しているように見えるというんです。だったら黄色の部分を見せるようなサーブを打とうと……」
この手の話は以前にも聞いたことがある。近年、世界的に陸上のトラックは青が増えてきている。なぜかというと、人間は青色を見ると心がやすまり、平常心で走れるため好記録が生まれやすいからなのだそうだ。
一方で黄色を見ると動揺し、気もそぞろになる。注意を喚起するにはいいが、落ち着きが失われる。だから信号の注意は黄色なのだそうだ。
良かれと思うことは何でも取り入れ、トライする。この貪欲さこそが王国の復活には最も必要なものだろう。
<この原稿は「フィナンシャルジャパン」2011年3月号に掲載されました>
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