第801回 広島、歴史的失速で4位転落
「ヒリヒリする9月」とは、ドジャース大谷翔平がよく口にする言葉だが、広島ファンにとっては「イライラする9月」になってしまった。
<この原稿は2024年11月4日号『週刊大衆』に掲載されました>
9月1日の時点では首位。貯金が14もあり、2位巨人に0.5ゲーム差をつけていた。6年ぶりのリーグ優勝も十分視野に入っていた。
ところが9月に5勝20敗と大失速。20敗は球団の月間ワースト記録を塗り替えるものだった。
終わってみれば68勝70敗5分け、勝率4割9分3厘。最後は横浜DeNAにも抜かれて4位となり、CSにも進出できなかった。
新井貴浩監督は「私の未熟さが招いた結果。チームに本当の力がないのだと思う」と殊勝な面持ちで語っていた。
広島にとって痛かったのは、9月10日からの巨人3連戦。昨季、9勝3敗と勝ち越した本拠地マツダスタジアムで、あろうことか3連敗を喫し、大きく後退した。9月に限って見れば、優勝した巨人に1勝5敗。2位阪神に1勝2敗。最後の最後に地力の差が出た。
チームを支えていた強力投手陣も、9月に入って崩壊した。だが、それは責められない。
「カープが、まがりなりにも優勝争いできたのは投手陣のおかげ。先発もリリーフも、本当によく頑張った。しかし、前半から“1点与えたら負け”というゲームばかりやっていると、9月は心身ともにへとへとになる。最後は、どうにか持ちこたえていた防波堤が決壊してしまった。最後まで打線が援護してやれなかった」(球団OB)
新外国人のジェイク・シャイナーとマット・レイノルズは、2人合わせて1本塁打、6打点。2人ともシーズン途中で解雇されてしまった。
翻って巨人はシーズン途中で獲得したエリエ・ヘルナンデス、ココ・モンテスが活躍した。広島も“補正予算”を組んで、“助っ人”を獲るべきではなかったか。仮にそれが失敗に終わったとしても、不作為よりは、まだいい。来季に向け、大きな課題が残った。