4月9日の開幕まで3週間を切りました。キャンプもいよいよ大詰めを迎え、本来ならば実戦形式の練習へと移行している時期なのですが、3月の下旬となった現在も、富山サンダーバーズが練習拠点としている立山は雪が多く残っています。そのため、グラウンドで練習することさえもままならない状態です。キャンプは1日から始まったわけですが、グラウンドで練習できたのは2日程度。しかし、泣き言を言っても始まりません。とにかく、残された日々、できる限りの範囲でやるべきことをやり、開幕に向けてしっかりと準備をしていきたいと思っています。
 さて、昨シーズンは前後期ともに北陸地区の最下位に陥り、チーム成績も投手、打撃ともに最下位(打撃は新潟とタイ)に終わりました。そこでファンから応募された中から今シーズンのスローガンには「原点」を選びました。今シーズンのサンダーバーズはほとんどが1年目の選手で構成されていることから、チーム再建という意味と、メンバー的にも一からチームを作り上げていくということで、この言葉が最もふさわしいと思ったからです。

 昨シーズン同様、今シーズンも目指すのは「ピッチャーを中心に守り勝つ野球」です。しかし、昨シーズンのメンバーから残ったピッチャーは日名田城宏(高岡西高−北陸大)と田中孝次(釜利谷高−帝京平成大)の2人。残る8人は全員、新人選手です。とはいえ、中には他地域の独立リーグの経験者もいますから、彼らには即戦力として大きな期待を寄せています。

 たとえば、百合翔吾(出石高−大阪経済法科大−明石レッドソルジャーズ)は関西独立リーグで13勝を挙げ、年間最多勝のタイトルを獲得しています。サンダーバーズでも先発の勝ち頭としてチームを牽引していってほしいですね。また、四国・九州アイランドリーグ、関西独立リーグを経ている松田有二(水俣高−ツネイシホールディングス野球クラブ−長崎セインツ−明石レッドソルジャーズ)は馬力があり、力で抑えるタイプのピッチャーですから、リリーフとしての起用を考えています。ジャパン・フューチャーベースボールリーグ(JFBL)出身の遠上賢一(摂陵高−OBC高島−大阪ゴールドビリケーンズ)は抑えの経験がありますので、守護神となってくれればと思っています。

 とはいえ、彼らやそのほかの選手が期待通りの活躍をするためには、まずはケガをしないことが重要です。昨シーズンは故障者が続出し、少ない人数の中で先発からリリーフまで全員がフル回転しなければいけませんでした。ピッチャーは自分の役割が明確であればあるほど、ピッチングに集中することができます。しかし、昨シーズンはそれができませんでした。その反省をいかし、今シーズンはとにかく故障者を出さないようにしたいと思っています。

 対策の一つはトレーナーです。昨シーズンは3人体制で入れ替わりで選手のコンディションを見てもらっていましたが、今シーズンは一人のトレーナーを常駐させ、常に選手の変化をチェックできるようにしました。現在のところ、故障者を出すことなく、チームづくりを進めることができています。今シーズンの目標はもちろんリーグ優勝ならびに日本一になること。その大前提として選手が試合で力を発揮できるよう、コンディションには細心の注意を払っていきたいと思っています。


横田久則(よこた・ひさのり)プロフィール>:富山サンダーバーズ監督
1967年9月8日、和歌山県出身。那賀高からドラフト6位で指名を受けて1986年、西武に入団した。その後、ロッテ、阪神へと移籍。02年オフに阪神から戦力外通告を受けるも、台湾の兄弟エレファンツに入団した。2年目には5勝を挙げる活躍を見せたが、肩の故障などに苦しみ、06年限りで引退を決意。07年より富山サンダーバーズのコーチに就任。2010年より2代目監督として指揮を執る。
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