12・21開幕 王者ブレイブルーパス、リーチ「『連覇する』という言葉は一切使わない」 ~リーグワン~
9日、『JAPAN RUGBY LEAGUE ONE』(リーグワン)は2024-25シーズンの開幕メディアカンファレンスを都内ホテルで開催した。リーグワンの玉塚元一理事長をはじめ、ディビジョン1・2・3の代表者26人が出席。D1のリーグ連覇がかかる東芝ブレイブルーパス東京のリーチマイケルは「『連覇する』という言葉は一切使わず、もう一度、チャンピオントロフィーにチャレンジする気持ちで今シーズンはやっていきたい」と抱負を述べた。
ブレイブルーパスとして14季ぶりの王座奪還で、リーチ個人としては初となる悲願のリーグ優勝。当然、追いかけられる立場になるわけだが、リーチは「追いかける方が力出ると思います。昨年もそういう気持ちだった」と“連覇”という言葉は意識しない。メディアカンファレンスの檀上でも「『連覇する』という言葉は一切使わず、もう一度、チャンピオントロフィーにチャレンジする気持ちで今シーズンはやっていきたい」と意気込みを語った。
昨季のリーグ制覇に貢献したSOリッチー・モウンガ、FLシャノン・フリゼルはチームに残っている。ジャパンのCTBニコラス・マクカランがトヨタヴェルブリッツに移ったものの、眞野泰地や森勇登らが成長を見せている。これといって大きな穴は見当たらない。リーチも昨季からの上積みに「若手」を挙げ、「戦力になる選手も5、6人くらい増えた」と語る。
「あとはゲームの中で少しカウンターアタックも入れているので去年とはちょっと違うラグビーをやると思う。基本的に東芝の伝統的なフィジカルというところはブレずにやり続けています」
開幕戦は敵地・日産スタジアムに乗り込み、横浜キヤノンイーグルスと対戦する。SHファフ・デクラーク、SO田村優を中心とした創造性豊かなアタックが光るチームだ。「東芝といったら、ディフェンスだと思います。身体のぶつけ合いのところをしっかり見てほしいなと思います。あとは、勝つところを見てほしい」とリーチ。王座を守るのではなく、身体を張って奪いに行く。
王座奪還に燃えるのが埼玉パナソニックワイルドナイツとクボタスピアーズ船橋・東京ベイだ。ワイルドナイツは2季連続レギュラーシーズン1位。昨季(23-24シーズン)は無敗だったが、ここ2シーズン連続、プレーオフ決勝で涙をのんでいる。FL福井翔大は「(悔しさは)全然消化できていない。優勝するまで消えないと思うので、頑張ります」と語った。
HO堀江翔太、SH内田啓介といったベテランが引退。SO松田力也はヴェルブリッツへ移籍した。チーム在籍7季目を迎える福井は「抜けた穴はでかいので、そこは僕を含め全員でカバーしていきたい」と意気込んだ。強みの堅守は健在か。「そこはブレずやっていきたい」と福井は言う。
特に松田に代わる新司令塔は山沢兄弟(兄・拓也、弟・京平)を中心に担うことになるだろうか。今季の目標は「絶対優勝です」と福井。PR稲垣啓太、CTBダミアン・デアレンデら仕事人を擁する“野武士軍団”が、2季ぶりの頂きを目指す。
スピアーズのルーキー江良颯も「チームが目指しているのは王座奪還。今年のチームスローガンは『TAKE YOUR SHOT』、ひとりひとりが引き金を引き、オレンジアーミーと一緒に王座奪還していきたい」と檀上で誓った。
昨季はアーリーエントリーながら6試合に出場し、次世代を担うHOとして大いにアピールした。今年6月、プロ契約に切り替えた江良。今季は南アフリカ代表のマルコム・マークスとのポジション争いとなるが、「すごく楽しみですね。一緒に練習したり、試合に出ることが僕自身の成長に繋がると思い、クボタを選んだ理由のひとつ。大きなチャレンジですが、学ぶだけではなく“2番”を獲りにいきたいと思います」と一歩も退くつもりはない。
「新人賞は意識しますか?」と訊ねると、「個人の目標が何と聞かれれば、そこにチャレンジしたい」と答えた。
「まずはチームが勝つこと、優勝することが一番の目標。最後にそのよう(新人賞)に表彰していただけたらうれしい。チームを勝たせたいという思いが一番です」
チームはLOのツインタワー、ルアン・ボタとデーヴィッド・ブルブリングがカテゴリA(ピッチ上11人以上)となり、プレーイングタイムも増えるだろう。中核をなす外国出身選手たちの活躍、江良ら若手の更なるブレイクがあれば、「優勝」の的を射抜けるはずだ。
今季からプレーオフの枠が4チームから6チームに広がったことで、これまで以上にプレーオフ争いから目が離せなくなるだろう。昨季9位の三菱重工相模原ダイナボアーズ、10位のリコーブラックラムズ東京、2部から昇格してきた浦安D-Rocksも虎視眈々とプレーオフ進出を窺っている。
ダイナボアーズの副主将、FL鶴谷昌隆は、D1昇格1年目が10位、昨季が9位とひとつずつ階段を上がっているチームをこう見ている。
「1人1人のラグビー理解度が高まっていますし、試合に出たいハングリー精神が若い選手も僕も変わってきている」
チーム内競争が激しくなっていると実感している。
ダイナボアーズのDNAは「ハードワーク」。今季もハードな練習を積み上げてきた。新しくS&Cコーチが加わり、フィジカル強化にも力を入れている。鶴谷も「フィジカルの部分はだいぶ成長している。去年の課題だった、フィジカルで押されるということは改善されたと思う」と手応えを口にする。
チームには南アフリカ代表のWTB/FBカート=リー・アレンゼが加入。トライゲッターとしての期待は高いが、献身的なプレーも光る。鶴谷も「南アフリカ代表でも泥臭いプレーをしている。ウチのチームカラーに合った選手」と期待を寄せる。果たして“全緑旋風”なるか――。
そのダイナボアーズと開幕戦で戦うD-Rocksは昇格1年目のシーズンだ。ジャパンのPR竹内柊平は「リーグワンになってから各チームの力差はなくなっていると思います。少しでも相手がスキを見せたら、取り切るようなチームづくりをしている。上位チームと戦い、自信を付けて実りのあるシーズンにしたい」と抱負を述べた。
グレイグ・レイドロー新HCの下、どんなラグビーを見せるのか。今季からLOヘルウヴェ、FLツイヘンドリックらジャパン経験者に加え、南アフリカ代表のNo.8ヤスパー・ヴィーセも加わり、選手層の厚みは増した。竹内は「自分たちはチャレンジャー。一戦一戦、総力戦で勝ちに行きたい」と意気込む。
(文・写真/杉浦泰介)