D3は半数が新規参入 “1年生”の戦いぶりに注目 ~リーグワン~

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 12月21日に開幕する「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25」。ディビジョン3(D3)は今季、昨季の5チームから1増の6チームで争う。そのうちの半数(LeRIRO福岡、ヤクルトレビンズ戸田、狭山セコムラガッツ)が新規参入だ。9日、都内ホテルで開催された「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25開幕前メディアカンファレンス」で各チームの選手に話を聞いた。

 

 22年創部。わずか2年でリーグワン参入にこぎつけたLeRIRO。クラブキャプテンの西村光太は「ようやくリーグワンという舞台で戦えるので非常に楽しみ」とワクワク感を隠さない。LeRIROは母体企業を持たない地域クラブ。ホストエリアは福岡県の筑後地区(朝倉市、うきは市、大川市、久留米市、大刀洗町、筑後市、広川町、小郡市、大木町)で、主な練習場はうきは市にある浮羽究真館高校のグラウンドだ。土のグラウンドで、照明設備も万全ではない。

 

 選手の多くは地元企業などで働きながら午後7時から9時までの練習に励む。果樹園チーム設立当初のメンバーである西村は「皆さんが想像されているより暗いです」と笑顔で話す。

「その環境を言い訳にせず、“ラグビーできていることがうれしいよね”と、信念を持っててやってくれている。暗い中でも大声を出してラグビーをしています。明るくするために地域の方が、工事の時に使う照明を寄付していただいた。そういう支えもLeRIROらしいところです」

 

 今季はHCには福岡県出身で、元コカ・コーラレッドスパークスの豊田将万が就任した。選手は新たに30人以上が加わり、70人を超える大所帯となった。「リーグワン経験者も合流した。昨季よりもパワーアップしたLeRIRO福岡を見せられる」と西村。チームスタッフとしても稼働する西村は「選手によってはいろいろな考えを持っていると思う。LeRIROに在籍している間はチームファーストで考えてくれている。このチームはラグビーだけじゃなく、イベント活動も年間129件出ている。それもチームの良さだと思います」と胸を張った。

 

 新規参入のレビンズ、ラガッツと共に戦う最初のシーズンだ。「心強くもあり、意識している相手。ヤクルトさんに関しては昨季1点差で負けてしまった。リベンジに燃えています。特に負けられないチーム」。開幕戦はそのレビンズと福岡・久留米総合スポーツセンター陸上競技場で対戦する。

 

 レビンズの共同キャプテン(もう1人は小川正志)多田潤平は「私自身、かなりワクワクしています。チームとしてもここを目指してきた。しっかり足元を見て、“ひとつひとつ勝っていく”と熱気も高まってきています」と心境を明かす。

「セコムラガッツさんはトップイースト時代からずっとライバルとしてやってきた。そこには負けたくないという気持ちも強くあります。初戦のLeRIRO福岡さんも3地域社会人リーグのトーナメント準決勝で当たり、1点差(14-13)で勝ちはしましたが、個々の能力が高くギリギリの試合になった。初戦はキーになるかなと思っています」

 

 創部は1980年のレビンズのホストエリアは埼玉県戸田市。多田にチームの魅力を聞くと、こう答えが返ってきた。

「我々のチームはフルタイムで働く社員選手、日本人と外国人のプロ選手が混じっている。いろいろな境遇や環境の中でラグビーをしていますが、みんなで飲みに行ったりするなど交流し、ファミリーとしてやっていっている。非常に明るいチーム。ラグビーの好きな人間が集まっています」

 

 今季のチームスローガンは「クイック・アタッキング・グラグビー」を標榜し、多田は「去年と比べてもひとつふたつ高いところを目指してやってきた。今ひとつずつかたちになってきている」と手応えを口にし、「ひとつひとつ勝っていき、最終的に優勝に繋がればいい」と意気込んだ。

 

 レビンズがアタックなら、ラガッツはディフェンスか。「今年はディフェンスを強化している。その粘り強さを見ていただきたい」とキャプテンの飯田光紀。母体企業であるセコムは警備サービス会社だ。敵の侵入を易々と許すわけにはいかない。

 

 ラグビー部は1985年創部。ホストエリアは埼玉県狭山市だ。リーグワン参入初年度を迎え、飯田は「ワクワクと緊張感の両方あります」と明かす。新規参入のLeRIRO、レビンズに対しては「そんなに意識はしていません」と言い、「どのチームともタフなゲームになってくる。一戦一戦、大事に戦い、勝っていければいい」と目の前の戦いに集中する。

 

 目標は「1年でD2に上がること」(西村)だ。D3で上位2チームまでが入れ替え戦に進める。今季は新規参入の3チームのほか、昨季D3で3位のクリタウォーターガッシュ昭島、同4位のマツダスカイアクティブズ広島、同5位の中国電力レッドレグリオンズで2つの椅子を争う。

 

 リーグワンは25-26シーズンの新規参入の受け入れを実施しない。今季の“1年生”たちの運営面を含めた戦いぶりが、今後のリーグを占っていくことになるだろう。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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