恐れていたことが現実になった。ツインズの西岡剛が4月7日(日本時間8日)のヤンキース戦でニック・スウィッシャーのスライディングを受け、左すねの腓骨(ひこつ)を骨折した。

 場面はヤンキース1点リードの7回裏、1死一塁でマーク・テシェイラの詰まり気味の打球がサードに飛ぶ。5−4−3の併殺プレーを成立させようとして二塁のカバーに入った瞬間、悲劇が起きた。
 西岡の本職はショート。千葉ロッテの先輩でメジャーリーグで4年間プレーした井口資仁は「向こうは日本以上にスライディングが厳しい。そこが一番心配だった」と顔をくもらせていた。
 西岡にとって不幸中の幸いは折れた部分が腓骨だったこと。すねの2本あるうちの1本で手術は回避された。

 一時は選手生命も危ぶまれたのが現東北楽天の岩村明憲だ。レイズ時代の09年5月、マーリンズのクリス・コグランという選手から“掟破り”のスライディングを受け「左ヒザ前十字じん帯断裂」(後に部分断裂と判明)で約3カ月の戦線離脱を余儀なくされた。翌年にパイレーツにトレードされたが故障の影響もあり不振に終わった。
 日本での岩村の本職はサード。プレーを見る限り、非は相手にあったが、セカンドが本職の選手なら、もっとうまい逃げ方をしていたかもしれない。
 メジャーリーグにおける日本内野手第一号の松井稼頭央(東北楽天)もセカンドベース上の併殺プレーで何度か左ヒザを打撲している。

 西岡に話を戻せば、メジャーリーグの解説者は「(併殺の際)左足は一塁方向を向くべきだが、(西岡の場合は)三塁側にステップを切っていた」と手厳しい。衝突した瞬間の写真を見れば、確かにそうだ。

 岩村は「(メジャーでは)セカンドのリスクが高いせいか、安定した成績を残す選手が少ない」と語っていた。今後、海を渡る内野手はそれを肝に銘じておく必要がある。

<この原稿は2011年5月2日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

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