3つの“カツ”にこだわる6季目に
2025年最初の更新となりました。プロ野球は本日2月1日、12球団が一斉にキャンプインしました。我々セガサミー硬式野球部も6日から宮崎で合宿を張ります。
監督に就任して、6シーズン目。今年のチームスローガンは「喝!克!勝!~カツにこだわれ~」に決まりました。去年は残念な結果になりましたから、チームに喝を入れる意味での「喝」、克己心の「克」、そして勝利の「勝」の3つの「カツ」にこだわっていきたいという思いが込められています。
コーチングスタッフは元投手コーチの吉井憲治がヘッドコーチとしてチームに帰ってきました。彼は私が監督になってから最初の2年間、一緒に仕事をしました。セガサミーが都市対抗で4強入りした際の投手コーチです。選手、コーチとして社会人野球の経験も豊富です。この3年は社業に専念していましたのでタイミング的には今かなと思い、会社とも話をし、呼び戻しました。
吉井は指導力が高く、粘り強さもある。一度野球から離れ、社会を経験したことでいろいろな引き出しが増えてきている。なる陶久亮太投手コーチとは師弟関係でもありますから、2人で若い投手陣を引っ張ってもらいたいですね。 チームは昨年12月から強化練習をスタートしています。もう一度勝つためには原点に帰り、走り込み、投げ込みを中心にトレーニングしています。もう一度メンタルを鍛え上げていこうと。
4人の選手がチームを離れました。荘司宏太はドラフトで東京ヤクルトに、舘和弥は横浜DeNAにバッティングピッチャーとして迎え入れられました。長島光希、横田哲を含め、それぞれの道で頑張ってほしいものです。抜けた4人はいずれもピッチャー。その意味でも吉井、陶久両コーチには投手陣の整備に期待しています。
新人ピッチャーは東京農業大学の長谷川優也、専修大学の肥沼竣が加わります。2人には即戦力としてチームを勢い付けてほしいですね。彼らがチームを変えるくらいの活躍をね。3人の大卒新人野手にも期待しています。明治大学の加藤巧也、拓殖大学の宮浦柚基が内野手、亜細亜大学の笠松拓真が外野手です。それぞれいいものを持っているんでね。この5人がレギュラーを奪うくらいのアピールを私は楽しみにしています。
キャプテンは宮川和人から6年目の高本康平に代わります。高本はチームをまとめるというところまではまだいかないかもしれませんが、人間的にい非常にいい感性を持っているので期待しています。後輩ともコミュニケーションを取り、慕われている。その部分では 自分のキャラクターをしっかり前面に出し、チームを引っ張っていってほしいと思います。一方の宮川は昨季も打撃好調でしたが、今年も元気にやってくれそうです。キャプテンではなくなりましたが、危機感を持っているので、 背中で見せていってほしいなと思っています。
「私がルールブックだ」
6シーズン目の目標は都市対抗優勝しかないでしょうね。ベスト4に入ることもありましたが、まだ頂点には届いていない。昨年優勝した三菱重工East。前回優勝チームは予選がない。私もいつもスタッフと数年前から言っていますが、「たまには予選をスタンドから見たいよね」と。我々はまず予選を1戦必勝。そこに変わりはありません。我々も会社の期待に応えたい。セガサミーの会長、社長、 社員の皆さんのね。社会人野球は本当、1年1年が勝負です。
大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の兄・龍太君がトヨタ自動車東日本の監督に就任しました。この前、社会人野球の監督会議で会って話しました。「お互い頑張ろうね」と。あとは「大谷翔平の兄貴だからってね。そんなプレッシャーに感じず、逆にまわりがそういう目で見てくれるんだから、それを大いに利用するくらいの気持ちでいいんじゃないか」と声をかけさせてもらいました。
プロ野球では1月16日に2025年の野球殿堂入りが発表されました。館競技者表彰委員会・プレーヤー表彰はイチロー君と岩瀬仁紀君、エキスパート表彰には掛布雅之さんが新たに殿堂入りとなりました。また特別表彰にはプロ野球の審判員として活躍された富澤宏哉さんの名も。
富澤さんはいつも表情を変えず、我々が抗議をしても「私がルールブックだ」というような審判でしたね。この言葉は同じ審判員の二出川延明さんが言ったとされていましたが、富澤さんもたそれくらい堂々としていた。たまに間違うことがあっても、決して言い訳をしない審判でしたね。
今の時代はリクエスト制が導入され、いわゆる“科学の目”が審判を補助するようになりました。審判も助かっているんじゃないでしょうか。例えば間違ったとしても、リクエストを要求すれば有耶無耶にならずに済むわけですから。野球界はメジャーリーグを含め、年々テクロノジーも進歩してきていると思う。よりフェアになってきている印象を覚えます。
それでは今月はこのへんで。今年もコラムのご愛読よろしくお願いいたします。またセガサミー野球部の応援も引き続き、お願いいたします!
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。