5月14日(土)、J2第12節となる愛媛FC対徳島ヴォルティスの一戦が、ホーム(ニンジニアスタジアム)にて行われた。
 今季最初の四国ダービーは、愛媛FCのホームゲーム。試合内容は二の次、何よりも結果(勝利)を手に入れたい。 
 試合前のセレモニーでは、愛媛FC・亀井文雄社長より、「四国ダービー・ウィナーズ・フラッグ」の返還が行われ、スタジアムにはダービー独特の緊張感と高揚感が漂い始めていた。
(写真:敵陣内の左サイドを駆け上がる!)
 愛媛FCサポーターによる気合のこもったチャント(応援コール)が木霊する中、時刻は午後2時を廻り、愛媛FCのキックオフで試合がスタート。序盤、左サイドスペースを活かしつつ、敵陣へとボールを進める。
 
 前半15分、自陣で奪ったボールを左サイドで繋ぐ愛媛。同サイドにてボールをキープしたDF三上卓哉選手が、ハーフウェイラインまでドリブルで進み、前線のFW内田健太選手に向けてフィードボールを供給する。敵陣内の左サイド深い位置で、このボールに追いついた内田選手。ワンタッチで、ゴール前へとセンタリングを折り返す。

 そこに走り込んで来たのは、FW齋藤学選手。ペナルティエリアで、このボールを足元に収め、トラップを挟みつつ、シュートを放つ! しかし、敵DFに跳ね返され、惜しくもゴールならず。その後も、三上選手がシュートを放つなど、立て続けに敵ゴールを攻め立てたが、先制点を奪うことはできなかった。
 
 ゲームは進み、徳島も負けじとセットプレーなどから愛媛ゴールへと詰め寄るが、得点には至らず、スコア0−0のまま後半戦に突入。
 後半立ち上がり、相手にボールをキープされ、苦しい時間帯が続く。素早いカウンター攻撃により、リズムを取り戻し始める愛媛。

 後半7分、敵陣内の左サイドで繋いだボールをセンターサークル付近に陣取るMF越智亮介選手がキープ。敵陣内の右サイド、高い位置にオーバーラップを仕掛けていたDF関根永悟選手へとフィードボールを供給する。ボールを受けた関根選手が、ペナルティアークへとフリーで駆け込んできたMF杉浦恭平選手を確認し、ラストパスを送る。

 杉浦選手はこのボールを捉え、そのままダイレクトに右足を振り抜き、ミドルシュートを放った! 低い弾道のボールは、敵GKの伸ばした手の先を擦り抜けるが、惜しくもゴールマウスを捉えることはできなかった。
 
 後半9分、素早いカウンター攻撃から敵陣内の左サイドへとボールを運ぶ愛媛。同サイドへとオーバーラップを仕掛ける三上選手が齋藤選手からのパスを受け、ニアサイドにセンタリングを供給。敵ゴール前に飛び込んできたFWジョジマール選手が軽くボレーで合わせるが、敵DFに阻まれ、ゴールには至らなかった。
 
 後半11分には、敵陣内の左サイドからペナルティエリアへと齋藤選手が持ち込んだボールをMF赤井秀一選手が拾い、右足を鋭く振り抜きシュートを放つ! 一瞬、「入った!」と思ったが、ボールはゴールポストに弾かれ、残念ながら先制ゴールとはならなかった。
 それでも相手の隙を衝くような巧みな攻撃に対して、スタンドからは大きな声援と拍手が送られていた。
 
 徳島も黙ってはいない。愛媛陣内で積極的にボールを奪い、リスクを負いつつ、人数をかけて愛媛ゴールへと襲いかかる。そんなプレッシャーを受けつつも、耐え続けてきた愛媛だったが、後半17分、相手FWにミドルシュートを決められ、1点のビハインドを背負ってしまった。
(写真:浮き球への激しい競り合い)
 
 反撃に向けて、自陣でボールをキープしつつ、しっかりとビルドアップを図る愛媛。しかし、相手のプレッシングに手こずり、なかなか敵陣へとボールを運べない。さらには、後半24分、敵FWとの接触でファウルを取られ、1人の退場者を出してしまい、残りの時間を10人で戦うことになってしまった。
 
 それでも最後の力を振り絞り、必死に戦う姿勢を見せる愛媛FCの選手たち。だが、無情にも時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。結局、最終スコア0−1で愛媛FCが
悔しい敗戦を喫したのだった。
 
 試合終了を告げるホイッスルを耳にすると、得体の知れない喪失感に襲われ、全身の力が抜けていくのを感じた。
 残念ながら、今回は「ウィナーズ・フラッグ」を手放すことになってしまったが、退場者を出しながらも、選手たちから戦う姿勢や勝利に向けての強い気持ちを感じ取れたのは唯一の救いと言えるのかもしれない。
 
 試合後、GK川北裕介選手は涙を流し、悔しさを露わにしていた。
「その気持ちが大切……。明日へと繋がる貴重な財産となり得るものだ」
 次回の四国ダービーは、11月6日。この思いを胸に刻み込み、厳しい修行を重ねてレベルアップを図り、もう一度、皆で決戦に挑もうではないか! 


松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール
 1967年5月14日生まれ、愛媛県松山市出身。
 愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。
◎バックナンバーはこちらから