リコーブラックラムズ東京、SPと好守で9位浮上 〜リーグワン〜
1日、「NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25」のディビジョン1の第10節が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、10位のリコーブラックラムズ東京が9位の三菱重工相模原ダイナボアーズを22-7で破った。3トライ差以上によるボーナスポイント1を加えた勝ち点5を獲得したブラックラムズは9位に順位を上げ、敗れたダイナボアーズは11位に順位を下げた。
2連敗中のダイナボアーズと、前節連勝を逃したとはいえ昨季王者の東芝ブレイブルーパス東京に接戦(44-45)を演じたブラックラムズ。その勢いの差が序盤に表れた。
前半6分、ブラックラムズボールのスクラムはダイナボアーズがアーリーエントリーの反則。「自分たちがその試合のトーンを高めるために、最初の1発目にどれだけいけるか。モールも多分最初の1発目からドライブでき、スクラムもある程度いい印象をレフリーに与えられたというところが、チームとしてやろうとしたものだったので、よかったな」とHO大内真。17分にもマイボールスクラムで押し勝つと、No.8ファカタヴァ アマトがトライ。先制に成功する。キッカーはここ2戦不調のSO中楠一期に代わってFBメイン平が務めたが、ショットクロック(60秒)を過ぎてしまい無効となった。
それでも勢いに乗るブラックラムズは19分、キックオフのボールからWTBセミシ・トゥポウがビッグゲイン。最後はWTBネタニ・ヴァカヤリアはトライエリア(インゴール)左隅に飛び込むノーホイッスルトライで追加点を挙げる。さらには36分、中楠がこぼれ球を拾い、約90mを独走するトライ。最後はインゴール中央にダイビングする余裕も見せた。
「自分のルーズボールへのリアクション、ラインアウトのオーバーボールなど常にスイッチオンしている部分は(慶応)大学時代から言われて、習ってきたことで、強みだと思っている。そこが自然と出たのかな」と中楠。40分には、その中楠がキックパスでトゥポウのトライを演出し、22-0とリードして前半を終えた。
後半もブラックラムズのペース。12分、相手陣地の22mライン内に侵入するもチョークタックルに捕まる。14分にはCTBのPJ・ラトゥがトライエリア中央やや右に飛び込んだが、相手の好守に阻まれ、グラウンディングは認められなかった。19分にはラインアウトからアタックを展開し、最後はSHのTJ・ペレナラが抜け出し、トライエリア中央にボールを置いたものの、TMOの結果、ラインアウトでブラックラムズの反則があり、トライキャンセルとなった。
その後はダイナボアーズに攻め込まれる時間帯もあったが、FLリアム・ギル、FLマイケル・ストーバーグを中心に1トライ1ゴール以上は許さなかった。7失点は今季最少。ゲームキャプテンを務めたペレナラは「今までに比べたらアタックの精度はちょっと低かった。その中、ディフェンスでしっかり相手を7点に抑えることができた。今日はディフェンスをすごく誇りに思います」と胸を張った。タンバイ・マットソンHCは「自分たちにとっても(勝ち点)5点、ボーナスポイントはすごく大きいと思います。ちょっとアタックの精度は高くなく、コンプリートしきれないプレーもたくさんあったが、いいディフェンスを続け、相手を止めることができたので、いいパフォーマンスだった」と総括した。
この日、チームを支えたのはセットプレー。中でもスクラムで相手を圧倒したことが大きい。HO大内は「ここ4試合、すごくスクラムが安定してきている。ボールを持てればいいアタックができるチームなので、スクラムの精度を高めるためPRパディー・ライアン選手やホフティ(カール・ホフト)FWコーチを筆頭に、FWで集まり、時間をつくってミーティングをしています」と証言する。この日、大内とフロントローを組んだ津村大志、大山の両PRも首肯する。
今季ルーキーイヤー(昨季途中はアーリーエントリー)の津村が「個人的にもチーム的にも練習や試合を重ねていくことよって、改善点が出てくる。それを上手いこと修正していき、段々形をつくっていけていると感じています。8人全員でしっかり組もうという意識。スクラム中、みんなが考えていることをひとつにする、同じ絵を見ようとなっているのが今一番いいところかなと思ってます」と口にすれば、3季目の大山も「誰か1人が引っ張るというよりは、みんなで“次はこうしよう”と試合中話せている。それが結構大きい。すぐ修正できる能力が今年は高い気がします」と話す。
第8節の浦安D-Rocks、第9節のブレイブルーパス戦といった強力FWを擁するチーム相手にも手応えを掴んだスクラム。ブラックラムズは次節、バイウィークを挟んで横浜キヤノンイーグルスと対戦する。この試合もセットプレーがカギを握ることになりそうだ。
(文・写真/杉浦泰介)