JTSvs高校日本代表 実戦形式のトレーニングで対戦
8日、将来の日本代表(ジャパン)選手を育成するためのプロジェクト「JAPAN TALLENT SQUADプログラム」(JTSプログラム)の国内合宿が都内で公開された。この日はイングランド遠征を控える高校日本代表と実戦形式のトレーニングを行った。
コンタクトの制限はあったものの、実戦形式で行われたJTSvs高校日本代表は、U23で構成されたJTSが圧倒した。高校日本代表キャプテンの申驥世(神奈川・桐蔭学園高3年)は「体の大きさもそうですし、フィジカルとスピードのところで、全然レベルが違った。自分たちは『大きい相手に対して低さと速さで上回っていこう』と話していましたが、出せた部分は少なくて、コンタクトでも負け、自分たちのやりたいラグビーを何もさせてもらえなかった」と振り返った。
桑原立監督は「イングランドに行く前に必要な通過儀礼だと思っています」と口にしたように“仮想イングランド”としては十分なレッスンとなったはずだ。申は前を向いている。
「サイズはこれ(JTS)ぐらい間違いなくあるし、バックスの選手はだったら、もっと大きいかもしれないと聞いています。自分たちは何もできなかったですが、修正して自分たちの強みを出せるようなラグビーをしていきたい。自分もチームも今日ほど強い相手とやったことがなかった。日本にいるうちにこの強度でできたことは良かった」
一方、JTSにとっては今年度5度目のキャンプとなる。エディー・ジョーンズHCは不在だったが、麻田一平コーチングコーディネーターは「このJTSの世代のメンバーがしっかりワールドクラスになり、いち早く日本代表になる。そこを目指し、今コーチングスタッフもマネジメントも含め選手を育てていっている」と語った。
“シーズン2”を迎えたJTS。その変化について麻田コーチングコーディネーターに聞いた。
「去年はJTSというプログラムがスタートし、“どういうものなのかな”という感じで選手が入ってきたのですが、今年は“ワールドクラスを目指す”というところをはっきり伝えているので、そういうマインドで選手は参加してきてくれていると思います」
昨年度も参加した石橋チューカら“2年生”の存在も大きいだろう。彼らのリーダーシップについては「だんだん良くなっていると思います。最初来た時、チューカは喋らなくて“大丈夫かな”と心配したのですが、段々自信をつけていく中で、リーダーシップを発揮してくれています」と評価する。
今年度からJTSに参加している白井瑛人(明治大1年)は、このプログラムについての印象をこう述べた。
「JTSは世界を知るためのものだと思っています。日本人だから世界に通用しないとかは全くないので、日本人でも世界に通じるレベルということで、学びが多い。去年、JTSはどういうものなのかわかりませんでしたが、エディーさんがいるというところは魅力的だと感じています」
今年度からは高校生も選出された。申は「同級生が2人選ばれている。自分も参加できたらいいと思いますが、まだそのレベルにいないと今日感じました。まずは身体づくり、基礎的なことを繰り返し、高校代表の活動を頑張って自分の成長に集中したい。それでいつか呼ばれればいいと思っています」と前を向いた。
JTSの存在が高校、大学生ラガーマンの刺激になっていることは間違いない。高校日本代表の桑原監督も「縦の系統性というものが生まれていくのは、すごくいいことだと思います」と話す。ジョーンズHC肝入りのプロジェクトは順調に進められているようだ。
(文・写真/杉浦泰介)