二宮: 岡里さんは日本バスケットボール界で初めての女性ヘッドコーチとして注目されています。今シーズンで就任3年目ですが、昨シーズンまでを振り返ると、いかがですか?
岡里: 1年目は勢いでいったという感じで、初めてのシーズンとしてはまぁまぁだったかなと思っています。ただ、昨シーズンは2年目のジンクスではありませんが、非常に苦戦しました。チームの課題が浮き彫りになりましたし、自分自身も反省すべきことがたくさんありました。どちらかというと、失敗したシーズンだったと思います。


二宮: 1年目は19勝9敗でリーグ3位、2年目は15勝13敗で4位という成績でした。1年目と2年目ではどういう違いがあったのでしょうか?
岡里: 1年目は私がコーチからヘッドコーチに昇格して、初めての女性ヘッドコーチということもあって、「よし、頑張ろう!」とチームに勢いがありました。それで結構いいかたちでシーズンを終えることができた。ところが、そのために2年目は私の言うことさえ聞いていれば、勝てるだろうという考えがチームに出てきてしまったんです。

二宮: ヘッドコーチへの信頼が、違う方向にいってしまったと?
岡里: はい。私を信頼してくれるのは嬉しいことですが、選手たちに自主性が欠けてはチームは強くなりません。以前は自分たちで考えて行動していたことさえも、昨シーズンは受け身になってしまっていました。

 2年目のジンクス

二宮: 私からすれば、たった一人の女性ヘッドコーチとして、岡里さんは健闘しているなという印象があるのですが……。
岡里: いえいえ、まだまだです。もう昨シーズンは、思い出したくないというくらいです。自分自身も1年目がまぁまぁうまくいってしまったもんだから、「これくらいできるだろう」と意気込んで2年目に入ったのですが、そう簡単にはいきませんでしたね。でも、逆に考えれば、それだけ学ぶことのできたシーズンでもあったと思っています。

二宮: では相当、ストレスもたまったのでは?
岡里: そうですね。自分自身にふがいなさを感じましたね。選手が私の指示通りにできないと「なんで、できないの!?」と思ってしまうんですけど、よく考えるとそれだけのことしか教えられていないからですし、自分の言っていることが選手に伝わっていないんですよね。負けが込むと、選手のモチベーションはどんどん落ちていく。そこへ私が厳しく言うもんだから、さらに選手はシュンとしてしまう。もう、悪循環でしたね。それをどう打破しようかで必死でした。

二宮: コーチ陣に相談することは?
岡里: ありました。負けが込んでくると、私が怒る頻度が多くなり、選手が何も言えない状態になっていたんです。それに気づいたコーチ陣が「ベテラン選手と話をする機会をつくって、今、チームはどういう状態なのか、選手たちはどう感じているのかを聞きましょう」と言ってきたんです。自分ではきちんとコミュニケーションがとれていると思っていたのですが、コーチ陣からの言葉でハッとさせられました。確かに選手からの意見が少なくなっていましたから。

二宮: チームを立て直そうと必死な余り、コミュニケーションが一方的になっていたんでしょうか。
岡里: はい、そうなんです。そこで、まずは選手の話を聞くようにしました。そのうえでこちら側の意見を言う。そうすると、選手がやりづらさを感じているからうまくいかないとか、ミスする理由もわかり始めた。そこでフォーメーションなどを修正したりして、徐々にチームの状態はよくなっていきました。1月のオールジャパン(全日本総合選手権大会)に入る頃には、手応えを感じていたんです。

二宮: なるほど。それが準優勝という成績につながったんですね。しかも決勝では強豪JXサンフラワーズにわずか5点差でしたからね。
岡里: はい。その時のチームは非常にいい状態でしたね。

二宮: 具体的にどういう部分を修正したんですか?
岡里: 修正点はいろいろあったのですが、最たる部分はオフェンスのフォーメーションでした。私が掲げるバスケットというのは基本的にボールサイドの2人ないし3人がパスやスクリーンをかけたりして展開をつくりながら、それに合わせたかたちで逆サイドからも仕掛けるというオフェンスなんです。ところが、昨シーズンはボールサイドで攻めて、逆サイドに振った時に、そこで勝負せずに、もう一度、元々のボールサイドだった側から走り込んでパスを受けるみたいな感じになっていたんです。つまり、ずっと同じサイドでボールを動かしているような状態になっていた。逆サイドの選手は1対1で勝負できるのに、ただボールを受けているだけで全く機能していなかったんです。ボールサイドの方ばかり見てしまって、足が止まった状態。それでは私が目指しているスピードあふれるオフェンスはできません。

二宮: 選手たちが岡里さんのバスケットを理解していなかったということですか?
岡里: 今シーズンのチームは、攻撃のパターンが2つあれば、その時の状況によってどちらを選択すべきか考えることができます。しかし、昨シーズンは先ほども言いましたが、私からの指示待ちになっていた。ですから、私が一度、「こうしなさい」と言ったら、それまでの戦術は選手たちの選択肢から消え、それだけしかやらなくなっていたんです。

 焼酎の好みはスッキリさと爽やかさ

二宮: さて、だいぶお酒も進みましたが、岡里さんは結構、強いですね。
岡里: いえいえ(笑)、普通だと思います。ただ、弱くはないとは思いますけど……。お酒を飲んでもそれほど変わることはないですから。

二宮: お酒を飲むようになったのはいつ頃ですか?
岡里: 実業団に入ってからですね。シーズン中はほとんど飲みませんでしたが、優勝した時やオフでの激励会では、みんなでワイワイ飲みましたよ。

二宮: 焼酎はどんな時に飲まれますか?
岡里: 会社や部の上司との会食の席などが多いですね。男性の方は焼酎が好きな人が多いですから。

二宮: 岡里さんは「すっきりした甘さと爽やかな香り」の焼酎が好きだと伺いましたので、今回はそば焼酎「雲海」をご用意いたしました。ソーダ割りで飲んでいただいていますが、いかがですか?
岡里: そば焼酎は初めて飲みましたが、すっきりしていて美味しいですね。私はコクがある焼酎よりも、スーッと喉に通るような焼酎の方が好きなので、そば焼酎「雲海」は私の好みにピッタリです。

二宮: ソーダ割りはいかがですか?
岡里: 普段から焼酎をソーダ割りして飲むのが好きなんです。のど元が気持ちよくて、すごく美味しいんですよね!

 勝利こそがストレス発散

二宮: 現役を引退して、指導者となってから7年目になりますが、現役でプレーしている時と、指導者とでは、どんな部分に違いを感じていますか?
岡里: 私は現役時代、感覚でプレーするタイプの選手だったんです。当時は自分さえわかっていればよかったのですが、指導者はそうはいきませんからね。自分の感覚を言葉にして伝えなければならない。どう表現すればわかってもらえるのか、そういう部分が非常に難しいと感じています。

二宮: 特にヘッドコーチとなってからは選手になかなか伝わらず、負けが込んだりすると、ストレスを感じることもあると思います。ストレス発散法はありますか?
岡里: 私は敗戦でのストレスは、勝利でしか発散できないタイプなんです。何か別のものでごまかすということができません。

二宮: 根がマジメなんですね。何をやっていても、バスケットのことを考えてしまうと?
岡里: はい。通常、土日が試合なので、月曜日が休日になるんです。例えば休日に好きなゴルフの打ちっぱなしに行ってもストレス解消にはならない。結局、打ちっぱなしをしながら考えてしまうので、楽しむことができないんです。だったら考えるだけ考えて、次の試合に勝った方がいいかなと。

二宮: 結果は全て監督が引き受けないといけませんからね。それだけ責任の重いポジションです。
岡里: そうですね。選手のミスは自分が力不足ということですから。

二宮: 例えば、土日と連敗した時なんか、日曜の帰りの車内は嫌でしょうね。
岡里: 気持ちを切り替えるのが大変です。でも、自分が落ち込んでいたら、それが選手に伝わってしまいますから、そういう姿は見せられません。

二宮: それが監督の辛いところですよね。
岡里: そうですね。選手は自分自身でやったことですから、「仕方ない」と考えられるかもしれませんが……。監督はそうはいきません。

 男性社会での生きる術

二宮: 選手も切り替えの早さは大事ですが、あまりにも早すぎるというのも監督としては困りますよね。思わず「本当に反省しているのか?」って聞きたくなることもあるのでは?
岡里: 特に土曜日に負けた時は、翌日も同じ相手と試合がありますので、すぐに切り替えてもらわないと困るんです。ひきずったままでは絶対に勝てませんから。とはいっても、反省したことをすぐに忘れてカラッとされても、やっぱり困る。そこらへんのさじ加減が難しいですよね。

二宮: 岡里さんのように勝利への執念が強い人は、負けても何も感じない選手には苛立ちもあるでしょうね。
岡里: 私は根っからの負けず嫌いですからね。ただ、選手の中には負けず嫌いではない子もいます。そういう子たちに自分の気持ちを押し付けるのもどうかなと思うんです。

二宮: 勝気なところがなければ、監督業はやれませんよ。「勝ちたい」という思いがあるからこそ、どんどん理想を追求していくわけですから。それがチーム強化につながっていくんです。
岡里: ありがとうございます。結局、日本のバスケット界はまだまだ男社会なんですよね。実際、監督も私以外は全員、男ですから。でも、「若い」とか「女性だから」とは言われたくない。女性だからといって負けたくないという気持ちでやっています。

二宮: その思いを選手がどれだけ共有できるかもチーム強化には重要かもしれませんね。
岡里: はい、そうだと思います。特に今のチームは若いですから、これから浸透させていきたいですね。

 大のイカ好き!

二宮: ところで岡里さんの好きな食べ物は?
岡里: 昔からお酒のおつまみのような一品が好きだったりするので、「将来は絶対に酒豪になるよ」と言われていたんです……。

二宮: 例えば、イカの塩辛とか?
岡里: まさにその通り! とにかくイカが大好きなんです。

二宮: イカですか!?
岡里: はい。タコではなく、イカが大好物です。

二宮: イカなら、何でも大丈夫ですか?
岡里: 何でも好きですよ。お刺身から揚げ物、煮物まで、何でも好きです。イカ料理だけでも全く問題ないですね。

二宮: イカ料理は焼酎にも相性がよさそうですね。
岡里: こののどごしが爽やかなそば焼酎「雲海」なら、お刺身と塩辛なんか最高の組み合わせですよ!

(後編につづく)

<岡里明美(おかざと・あけみ)プロフィール>
1974年7月24日、茨城県生まれ。名古屋短大付属高(現・桜花学園高)に進学し、3年時に高校3冠を達成。卒業後、シャンソン化粧品に入社。スリーポイントの名手としてならし、日本リーグ、Wリーグでの10連覇達成に大きく貢献した。日本代表としても活躍し、96年アトランタ五輪では7位入賞。2003年に現役を引退し、05年より富士通レッドウェーブのアシスタントコーチとなる。コーチを経て、09年4月より日本バスケットボール界初の女性ヘッドコーチに就任した。

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

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<対談協力>
Suginoko(すぎのこ)青山店
東京都港区北青山3−8−12 3階
TEL:03-3797-7758
営業時間:17:30〜23:30(年中無休)

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◎クイズ◎
 今回、岡里明美さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:斎藤寿子)
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