ファイナルはスピアーズvs.ブレイブルーパス ワイルドナイツは4季連続決勝進出ならず 〜リーグワン〜

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 25日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 プレーオフトーナメント」(PO)準決勝が東京・秩父宮ラグビー場で行われ、リーグ戦3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが同2位の埼玉パナソニックワイルドナイツを28-24で破った。スピアーズは6月1日の決勝(東京・国立競技場)に進み、リーグ戦1位の東芝ブレイブルーパス東京と対戦する。ワイルドナイツは5位のコベルコ神戸スティーラーズと31日、秩父宮ラグビー場で3位決定戦を行う。

 今季レギュラーシーズンで2度対戦し、熱戦を繰り広げたスピアーズとワイルドナイツ。昨年12月の第2節は26-24でワイルナイツが競り勝ち、今月の第17節は終了間際のトライで29-29と引き分けていた。リーグワン優勝経験チーム同士の対決に、前日の準決勝(ブレイブルーパスvs.スティーラーズ)を1481人上回る1万7735人の観客が集まった。

 

 先制したのはスピアーズだ。3分、ラインアウトを起点に強力FWを軸に前へ。最後はHOマルコム・マークスがトライエリア(インゴール)右中間にねじ込んだ。SOバーナード・フォーリーがコンバージョンキックを外したものの、5点のリードを奪った。

 

 7分にPGで3点を返されたが、10分にはSH藤原忍のトライで突き放す。センターライン付近でワイルドナイツFB山沢拓也のキックを藤原がチャージ。前方にこぼれたボールにいち早く反応し、そのままトライエリアまで駆け抜けた。「トライはたまたま。ただ、ディフェンスコーチ(スコット・マクラウド)に『プレッシャーを掛けろ』と言われていた」と藤原。フォーリーがコンバージョンキックを決め、12-3とリードを広げた。スタートの10分で、スピアーズは先制パンチを2発見舞った。

 

 ワイルドナイツに1トライ1ゴールを決められた後、今季リーグ最少失点を誇る堅守が光る。20分以降、自陣の22mライン内に攻め込まれながらも耐えた。26分にはFL末永健雄がタックルを見舞うと、それに呼応するように味方がまとわりつき、モールアンプレアブルの反則を誘った。「自分たちがやるべきことをやり切った」と末永。試合後にNo.8でキャプテンのファウルア・マキシが「自分たちのディフェンスを信じ、フィジカルのところで我慢することが大事」とワイルドナイツが掛けてきた“圧”に屈しなかった。

 

 32分にはラインアウトモールからマークスが抜け出し、最後は藤原がタックルを受けながらトライエリアギリギリにボールを置いた。フォーリーがコンバージョンキックを成功し、22-10とリードを2桁に広げた。

 

 スピアーズはその後、強固なディフェンスでワイルドナイツに得点を許さず、ハーフタイムを迎えた。後半7分には相手の反則で得たゴールまで約45mのPGをWTBハラトア・ヴァイレアが決め、リードを2トライ2ゴール以上に。

 

 ここまで3季連続で決勝進出しているワイルドナイツも黙っていない。11分にWTB竹山晃暉、17分にはSO山沢京平がトライ。いずれも山沢京平がコンバージョンキックを決め、1点差に迫った。

 

 ワイルドナイツに行きかけた流れを断ったのが、スピアーズのスクラムだ。36分、敵陣での相手ボールスクラム。FWは6枚交代していた。スピアーズはベンチにFW6人、BK2人という陣容で、この試合に臨んでいた。フラン・ルディケHCは「FW戦を想定し、セットプレーと接点を重視した。途中出場のPR為房(慶次朗)とHO江良(颯)もうまくコントロールしてくれた」と勝負所で相手の反則を誘った若手フロントローを褒めた。ワイルドナイツのコラプシングで得たPGをヴァイレアが決めてリードを4点差に広げると、終了間際にもスクラムで反則を誘い、28―24でノーサイド。2季ぶりとなる決勝へとコマを進めた。

 

 マキシはピッチ上でのインタビューでオレンジアーミー(ファンを含めたスピアーズ関係者の愛称)に感謝を述べた後、「今日、タフな試合になることは全員が分かっていた。この日のために準備をしてきた」とチームメイトの戦いぶりに胸を張った。セットプレー、特にスクラムで相手を圧倒したことについては「特に前の3人が頑張ってくれた」とフロントローを称えた。CTB立川理道はFW陣を「本当に頼もしかった」と振り返る。
「あの点差、時間帯でどう時間を使っていくかという中、スクラムでペナルティーを取ってくれたことはゲームを終わらせる上ですごく助かった」

 

 決勝の相手はディフェンディング・チャピオンのブレイブルーパスだ。「今年は勝っていないので、そこに勝って優勝するのがチームの目標」と末永。ブレイブルーパスは今季最多得点のチーム。最少失点のスピアーズとの矛盾対決となる。立川はこう意気込んだ。
「お互いやること、特長などは分かっている。今日のようにディフェンスからしっかりリズムをつくることが大事。プレーオフの戦い方をこの2戦で学びを得ている。最後は自分たちのやりたいラグビーをやり切る」

 

(文・写真/杉浦泰介) 

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