東芝ブレイブルーパス東京、要所の好守で2連覇達成 ~リーグワン~

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 1日、「NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25 プレーオフトーナメント」(PO)決勝が東京・国立競技場で行われ、東芝ブレイブルーパスがクボタスピアーズ船橋・東京ベイを18-13で下し、リーグワン初の2連覇を成し遂げた。トップリーグ(TL)時代を含めると7度目の優勝を果たした。

 

 試合中から空を覆っていた雨雲はノーサイド直後、堰を切ったように雨を降らせた。リーグワン初の2連覇を果たしたブレイブルーパスを祝福するかの如く降り注いだスコールは、表彰式が始まるタイミングで空気を読んでピタリと止んだ。ブレイブルーパスのキャプテン、No.8リーチマイケルは2年連続で国立競技場の空に向かって、高々とトロフィーを掲げた。

 

 リーグ戦1位のブレイブルーパスは準決勝で同5位のコベルコ神戸スティーラーズをノートライに抑える快勝で、2連覇への最終関門に辿り着いた。そこに立ちはだかるはリーグ戦3位のスピアーズ。同6位の東京サントリーサンゴリアス、同2位の埼玉パナソニックワイルドナイツを破り、勢いに乗っている。スピアーズが強力FWを武器にリーグ最少失点の堅守を誇るのに対し、ブレイブルーパスはリーグ最多得点を誇るアタッキングチームだ。

 

 矛盾対決となったリーグワン4度目のPOファイナルは、ブレイブルーパスの好守で幕を開けた。2分、HO原田衛がNo.8ファウルア・マキシがボールをこぼした隙を突き、ターンオーバーを狙い、ノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘うスティール(ジャッカル)。スピアーズの先制パンチを受け止めてみせた。

 

 先制点はその6分後だ。SOリッチー・モウンガがSH杉山優平のパスを左サイドで受けるとNo.8ファウルア・マキシを切れ味鋭いステップでかわし、CTB立川理道のタックルを受けながらトライエリア(インゴール)左隅に飛び込んだ。難しい角度のコンバージョンキックは決められなかったものの、5点のリードを奪った。

 

 速いテンポでパスを回し、スピアーズの堅い守りを切り崩しにかかるブレイブルーパス。スピアーズに2本のPGを決められたが、モウンガも22分にPGを成功し、ハーフタイムは8−6で迎えた。ブレイブルーパスの森田佳寿コーチング・コーディネーターによれば「選手がプランを遂行してくれた。そのプランと今季つくってきたラグビーで、相手にプレッシャーを掛けていると実感できた40分間でした」という。選手たちも手応えを掴んだ40分だったようだ。

 

 いつ雨が降り出してもおかしくない空模様と同様にどちらかが得点を取るかで流れが傾きそうな時間帯で先に点を取ったのがブレイブルーパスだった。後半7分、モウンガがパスダミーでWTBハラトア・ヴァイレアの意識を外に向けSH藤原忍をスピードで振り切り、相手を引きつけてから大外のWTB森勇登へパス。フリーでボールを受けた今季7トライ記録した26歳はトライエリアに悠々と運んだ。「スペースをつくってくれたリッチーのおかげ」。これで森はPO決勝2年連続トライだ。

 

 コンバージョンキックを決めたモウンガは17分にも、トライエリア右隅にボールを置いたが、TMO(ビデオ判定)の末、そこに至るパス回しの中にスローフォワードと判定されたプレーがあり、トライは認められなかった。それでも21分にはPGを決め、18-6とリードを広げる。

 

 スピアーズが次々とフレッシュなFWを送り込んできた。対するブレイブルーパスは相手が得意とするセットプレーで押される場面もあったものの、26分にはトライエリアに飛び込んできた藤原をSH小川高廣がタックルし、モウンガがボールとグラウンドの間に手を滑り込ませた。27分にはラインアウトモールでトライエリアの迫られたが、HO橋本大吾がスティール。一旦ピンチは脱した。

 

 32分に立川のトライ、SOバーナード・フォーリーのゴールで5点差まで迫られたブレイブルーパスは残り時間をボールをキープしながら使っていく。最後は焦る相手の反則を誘い、ペナルティーを獲得した。直後に80分経過を知らせるホーンが鳴り響くと、モウンガはタップして外に蹴り出した。この瞬間、ブレイブルーパスの連覇が決まった。

 

 ブレイブルーパスのトッド・ブラックアダーHCは試合後の会見でこう総括した。
「チーム全員の今日までの努力を誇りに思う。チームとしての信念、向き合う姿勢が素晴らしかった。クボタさんはセットピース、ブレイクダウンまわりにDNAを持つチーム。予想通りフィジカルな試合になった。セットピースに関して、選手・コーチが素晴らしい準備をし、パフォーマンスをしてくれた」
 キャプテンのリーチも「今シーズンサポートしてくれたファンとノンメンバー、コーチ陣に感謝したい。リーグワン連覇は初。新しい歴史をつくれてうれしいです」と喜んだ。

 

 プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出されたモウンガはPO準決勝で右手を負傷し、骨折していたという。練習に参加したのは決勝前日。「7対3で出られないと思っていた」とはブラックアダーHC。リーチも「レントゲンを見た時は無理だと思った。彼はすごい選手」と称えた。ケガを感じさせない多彩なプレーでチームをドライブさせた。2トライに絡んだことについても「自分の勘に従ってプレーしただけ。何度も経験してきたことですから」と“優勝請負人”はことなげに語った。

 

(文・写真/杉浦泰介)

 

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