昨年のリベンジへ。初戦は立ち上がりがカギ
セガサミー硬式野球部は今月14日から都市対抗野球大会東京二次予選(大会は12日から開幕)を迎えます。初戦の相手は昨年の予選(第3代表1回戦)で敗れたHonda。昨年の経験を生かすという意味でも、データを元に対策を練っていきたい。データを持っているのは、もちろん相手も同じですが……。Hondaの先発は東野龍二投手か片山皓心投手が予想されます。好投手相手にどれだけ点を取れるかがカギとなるでしょう。
ウチはピッチャーの状態次第。現時点で誰が先発に行かせるかは、まだ決めていません。ただ誰が投げるとしても、序盤の失点を抑えることが、短期決戦で勝ち抜くための鉄則です。その点は選手たちもわかっているんだけど、初戦ということで緊張する可能性だってある。ただ、それは相手チームも同じこと。初戦の入りは、しっかり準備して迎えますから、気分を高揚して迎えるのは、ある程度仕方がないと思います。
初戦までは、約2週間。オープン戦で調子が良くても、その14日当日の第1打席でヒットを打てるか。そしてピッチャーも、先ほど言ったように立ち上がりが大事。あとは私たちコーチ陣でどのように点を取っていくかプランを練っていく必要もありますが、経験豊富な選手たちにチームを引っ張っていってほしい。中川智裕、植田匡哉、須田凌平らが若手をフォローしてもらいたい。一方の若手も勢いをチームにもたらしてくれたらと思います。
もちろんキーマンは全員。みんなに活躍してほしいと思っていますが、編集部がキーマンを何人かピックアップしてほしいということなので、数名挙げます。まずは黒川貴章。4番バッターとして起用していますし、やはり対応能力が高い。オープン戦を見ていてもコンタクト率がウチでは一番。彼の前にランナーを出したら、しぶとさも兼ね備えているので期待できる。入社1年目、都市対抗本戦でベスト8に入った時、若獅子賞を獲得しましたからね。昨年は伸び悩んで節はありましたが、今年はウエイトトレーニングをしっかり取り組んできた。少し目つきも変わったという印象があります。予選でも4番での起用を考えています。
野手のキーマンをもう1人、明治大学から入社した1年目の加藤巧也を挙げたいと思います。彼は何番で使うかは決めていませんが、若手の代表格としてチームを勢いづけるようなプレーを期待しています。
日本一の応援団を本戦に
ピッチャーは尾﨑完太ですね。彼がどういうピッチングしていくか。勝ちをもたらすピッチャーになっていってほしい。ここで勝てれば、もっと信頼されるエースになれる。入社2年目でドラフト解禁年。荘司宏太(現・東京ヤクルト)も昨年の都市対抗東京二次予選、東京ガスの補強選手として出場した本戦でスカウトにアピールしましたから、彼もそれに続くような活躍をしてもらいたい。スカウトもたくさん来ますし、こちらが「意識するな」と言っても無理な話。だったら意識した上で、どれだけ自分のピッチングができるか。メンタルも少しずつタフになってきています。彼のピッチングに、皆さんもぜひ注目してほしいです。
先発候補は尾﨑のほか、1人、2人候補がいます。リリーフ陣では武冨陸が結果を出している。先発完投が理想ではあるものの、7回以降の継投も重要になってきます。そこまでにいかに点を取り、リードする展開に持っていきたい。そこでピッチャーの誰を使うか。我々の手腕にかかってくるでしょうね。
6月はオープン戦を3、4試合を予定しています。そこはある程度メンバーを固定しながら、都市対抗予選を見据えた戦いをしていくと思います。そこで控えに回った選手にも、困った時の代打などでホームランを打てるような勝負強い人が現れてくれることを期待しています。
今年はセガサミーの応援団を東京ドームに連れて行き、日本一の応援を背に戦いたい。予選でもセガサミー自慢の応援を聞けると思うので、我々は力をもらい乗っていければと思っています。会社の支えあっての社会人野球。その期待に応えるのが我々の使命です。それを重圧と捉えるのではなく、選手たちには命まで取られるわけではないと、楽しんでプレーしてもらいたいです。
5月はバスケットボールやバレーボールのリーグ戦で優勝チームが決まりました。私が好きなラグビーのリーグワンも6月1日が決勝戦です。昨季王者の東芝ブレイブルーパス東京対22-23シーズン覇者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが対戦します。野球以外のスポーツも注目の試合が続いています。そこはいろいろなスポーツのファンの人たちに楽しんでほしいと思います! もちろん今月はセガサミーのことも応援していただけたら幸いです。
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。