ヤクルトルーキー荘司、宮﨑とのセガサミー対決実現!
プロ野球開幕から約1カ月が経ちましたが、セガサミー硬式野球部出身の荘司宏太(東京ヤクルト)が好スタートを切りました。4月30日の横浜DeNA戦で、3番手として3-1の8回表に登板。走者は出したものの無失点に抑え、これで開幕から10試合連続無失点という球団新人記録更新中です。ここ数試合は、勝ちゲームでの中継ぎを任され、4ホールドを記録しています。
彼は昨年の都市対抗野球予選にセガサミーの一員として、本戦のマウンドには東京ガスの補強選手として上がりました。その経験がプロになって生きていると思います。期待通りの活躍に、担当スカウトの丸山泰嗣をはじめ、ヤクルトの関係者にも喜んでいただけてうれしい限りです。もちろんセガサミー野球部の関係者も荘司の活躍を喜んでいます。“だるま(荘司のニックネーム)がよく頑張っているな”と励みになっています。いつかは苦しい場面も訪れると思いますが、いいスタートを切れたと安心しています。
NPBの場合、社会人野球と比べると、若干ストライクゾーンが狭いと言われています。そこで安定したストライク率をマークすることが非常に重要になってきますが、荘司は順応できている気がします。彼はストライク先行すれば、三振が取れるタイプ。投球回数以上の奪三振を記録し、奪三振率も13.09をマークしています。
今後は、ヤクルトの髙津臣吾監督が言っているように、段々相手が研究してくるだろうけども、今のところ順調にいってると言っていいんじゃないかと思いますよ。
彼自身のピッチングはプロに入っても変わってない印象を受けます。真っすぐとチェンジアップを軸に、カーブ系、カット系のボールでカウントを取れている。真っすぐは145km前後出ますし、回転がホップ成分かかっているのでチェンジアップとの緩急が生きている。あとはストレートの威力が落ちた時、どう対処するかが今後の課題になってくるかもしれません。
20日の巨人戦では髙津監督がイニングまたぎを荘司に経験させました。セガサミーのブルペン陣が豊富ではなかった時期もあったので、荘司には3、4イニング投げさせたケースもあります。ロングリリーフも任せられるピッチャーです。ただ、プロの場合は社会人野球よりも連戦が多いので、そのあたりは髙津監督も配慮しながら起用をしてくれるんじゃないでしょうか。
また30日のDeNA戦では、宮﨑敏郎選手との“セガサミー対決”がプロ野球で実現しました。結果はハーフスイング気味の見逃がし三振。荘司からすれば1死一、二塁のピンチでしたが、カウント1-2から力のある真っすぐを投げ込みました。宮﨑選手は、まだ調子が上がっていない印象を受けましたが、荘司にとってはひとつの夢が叶い、プロの先輩から奪った三振に自信を付けたことでしょう。今後、2人の対決にもぜひ注目して欲しいです。
バットはフィーリングが大事
さて、メジャーリーグ(MLB)ニューヨーク・ヤンキースの一部の選手たちが使用し、球団記録となる1試合9本塁打をマークしたことからトルピードバットこと“魚雷バット”が日本でも注目を集めました。日本のプロ野球は4月11日、アマチュア野球界も同16日に解禁されましたが、今のところセガサミーで使っている選手はいません。
私見を述べれば、本人たちがどういうふうに感じるかわからないですけども、ルールの範囲内ではあるので使える人は使ったらいいと思っています。練習で試し、そこでフィーリングが合えばね。結果が出ていない選手にとっては、バットを変えることで“これでいける”と思ったら、しめたもんでしょう。多少、錯覚の部分もあるので、個人個人のニーズに合えばいいと思います。
私自身は現役時代、バットについて多少こだわりました。使っていたアオダモのバットはしなりがある。僕はバットのヘッドが若干重い方が合っていました。ダウンスイング気味に振って、しならせたバットをボールに乗せるような感覚で打っていました。ただ、梅雨時になると、バット自体が重く感じる。重さは約920グラム、長さは33.5インチのバットを使用していました。シーズン中、重たく感じたら、軽いバットを使うか、バットを少し短く持つなどして、スイングスピードを上げる工夫をしました。
商売道具ですから、手入れも欠かせません。梅雨時には湿気が敵ですから、ジェラルミンケースに入れ、乾燥剤を同封しました。湿気があると若干ボールも飛距離が出なかった。ホームの広島市民球場は広い球場ではなかったけど、「梅雨時はあまり飛ばない」とみんなも言っていましたよ。
先日、東京六大学野球リーグを視察に行きました。素材が良くて気になった選手もいましたが、ここではあえて名前を出しません。一方で私の母校・法政大学は1勝4敗で、勝ち点を奪えず苦しい状況が続いています。近年は優勝から遠ざかっていますから、まずは勝ち点を取って、勢いづいて欲しいものです。
それにしても六大学の応援はいいですね。あれだけの応援をしてもらったら、投手も野手も乗っていけそうな気がします。私自身、応援の声に背中を押されていたタイプです。なんなら相手チームの応援歌にすら乗っていましたから。みんなね、個人個人捉え方が違うし、プレッシャーを受けることもあるかもしれませんが、明るく元気よく野球をして欲しいなと思います。それでは今月はこのへんで。
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<西田真二(にしだ・しんじ)プロフィール>
1960年8月3日、和歌山県出身。小学3年で野球を始める。PL学園高、法政大学を経て、83年にドラフト1位で広島カープに入団。高校時代は78年夏にエース&4番として甲子園優勝に貢献した。大学時代は5度のベストナインに輝くなど、3度のリーグ優勝に導いた。プロ入り後は左投げ左打ちの外野手として、91年のセ・リーグ優勝に貢献するなどカープ一筋13年で現役を終えた。現役引退後は野球解説者を経て、カープ、四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)の愛媛、香川などで後進を育成。20年よりセガサミー野球部の監督を務める。