二宮: 大相撲では1年納めの九州場所が13日に初日を迎えます。今年の相撲界は八百長騒動で激動の1年でした。本場所が中止になったり、中継がなくなったりと舞の海さんも大変だったでしょう?
舞の海: 今回の不祥事でだいぶ仕事が減りましたね(苦笑)。名古屋場所から本場所が再開して、ようやく元のペースに戻りつつあるところです。


二宮: 仕事の後は毎晩、晩酌?
舞の海: ほぼ、そうですね。ビールもワインも飲みますが、やはり日本酒か焼酎が多いでしょうか。寒い時期になると焼酎のお湯割りがおいしいです。

二宮: 今回は「マヤンの呟(つぶや)き」をご用意しました。3年以上寝かせた長期貯蔵酒で焼酎なのにブランデーのような味わいです。
舞の海: せっかくなので最初はストレートでいただいてもいいですか? アルコール度数は38度なのに、それほど重く感じませんね。

二宮: 確かに。口当たりがまろやかですよね。
舞の海: そば焼酎と聞いていたので、もう少しクセがあるかと思っていました。芋なら芋、麦なら麦と匂いがはっきりする焼酎も好みですが、こういったまろみのあるものも良いですね。

 小錦は一晩でウオッカ3本

二宮: 力士は他のスポーツ選手と比べても飲みっぷりが違う。名古屋場所で引退した魁皇さん(現・浅香山親方)が大関に昇進した頃、NHKの仕事で対談をして、その後、酒席もご一緒しました。「いつも、どのくらい飲みますか」と聞いたら、「1日6升」って返ってきた。腰を抜かしそうになりましたよ(笑)。あと小錦さんと一緒になった際も普通のおちょこではなく、どんぶり鉢で飲んでいたのが印象的でした。
舞の海: どんぶり鉢で飲むことは多いですね。部屋でもどんぶりを2つ渡されるんです。ひとつは、ちゃんこをよそう用。もうひとつは酒を注いで飲む用。それで、まずはどんぶり一杯の酒を飲み干してから、ご飯をよそって食事を始める。

二宮: お酒が苦手な力士は大変でしょうね。
舞の海: その点は心配なかったです。僕も強くなかったので、最初からごはんを入れて食べていました。僕のいた出羽海部屋では、それで何か言われることはなかったですよ。飲みすぎると、どうしても翌朝の稽古に支障が出る。だから、飲み会でも、うまく飲んだふりをしながら時間を過ごしていました。

二宮: 舞の海さんが印象に残っている酒豪力士は?
舞の海: やはり、先程、名前があがった小錦関でしょうね。本当に強かった。3軒ハシゴして1本ずつウオッカのボトルを空けていましたから。日本人では水戸泉関(現・錦戸親方)が強かったですけど、さすがに酔いつぶれていましたよ(笑)。

二宮: ウオッカを1日3本!? 驚異的な肝臓ですね!
舞の海: ロックで飲んで、ひとりですぐにボトルを空にしていました。「ウイスキーは?」と勧めると、「ウイスキーだと酔わないんだよ」って(苦笑)。

二宮: それだと、ビールは水みたいなものでしょう(笑)。小錦さんと結婚式のパーティで一緒になった時、途中でホテルの係の人から「大関、スミマセン。もうお酒がありません」って止められていたことを思い出しました。
舞の海: 海外巡業で飛行機に乗った時には、機内のワインを全部飲み干したそうです(笑)。

二宮: 力士やプロレスラーが飛行機に乗ると、機内食やお酒を全部平らげるので機体が軽くなって早く目的地に到着する。そんな都市伝説があるとか(笑)。
舞の海: ハハハ。でも、力士が飛行機に乗る時は事前の調整が大変なんですよ。各力士の体重を計算して、重量が左右均等になるように座席を割り振るんです。僕は100キロに満たなかったので、隣は200キロ近い力士が座らされていました。

 ウイスキーボトルが15分で空に!

二宮: 素朴な疑問ですが、大柄な力士は座席にはちゃんと座れるんでしょうか?
舞の海: たいていの力士はビジネスクラスであれば、グッと体を押し込めば座れますね。小錦さんはさすがに2席使っていましたけど。でも、窮屈なのか最終的には通路に座りこんじゃう。スチュワーデスさんにしてみれば邪魔で邪魔でしょうがない。出発時には「ようこそ」って笑顔だったのに、到着する頃にはすごく不機嫌だったことを思い出します(苦笑)。

二宮: しかも機内では宴会が始まると(笑)?
舞の海: はい。いつだったか水戸泉関が隣に座った時にはこんなことがありました。最初はウイスキーを1杯ずつおかわりしていたのですが、「めんどくさいから、ボトルで持ってきてください」って水戸泉関が頼んで、ボトルとアイスペールを持ってきてもらったんです。それで水戸泉関がどんどんウイスキーの水割りをつくって飲み始めた。氷入れて、ウイスキー入れて、水入れて、「はい、カンパイ!」って繰り返しているうちに、15分も経たないうちに1本空けちゃったんです。しまいには姿が見えなくなったので探しにいくと、スチュワーデスさんの席で寝てましたね(笑)。

二宮: ハハハハ。それではスチュワーデスさんも不機嫌になりますよ。
舞の海: 飛行機の座席は番付で分かれていて、親方と横綱、大関陣はファーストクラス、幕内力士はビジネスクラス。ビジネスクラスは親方もいないので盛り上がっていましたね。逆に横綱、大関はつまらなそうでしたよ(苦笑)。

二宮: 最近の力士は周囲の環境が変わってきたせいか、あまり豪快な話を聞きませんね。
舞の海: お酒を飲まない力士も増えてきましたね。遊び方も昔と違って、普通の学生たちと変わらない感じになっています。幕下以下でも寝床には自分のパソコンがあるのでDVDを見たり、ゲームをやったりしていますよ。

 隠岐の海と旭秀鵬は要チェック

二宮: さて、九州場所は稀勢の里の大関獲りがかかっています。師匠の鳴戸親方が突然お亡くなりになり、どこまでショックから立ち直れるかが気がかりです。
舞の海: そうですね。でも、実力通りの力を発揮してくれれば、すんなり11番ぐらいは勝つと思いますよ。彼は心が燃えている時は異様に強い。その証拠に朝青龍や白鵬と戦う時にはモチベーションが違いましたからね。初日から気持ちを強く持って戦えば、そんなに取りこぼしはしないはずです。

二宮: 日本人では久々の新大関となる琴奨菊にも注目が集まります。本人は10勝をノルマに掲げているようですね。
舞の海: 昇進後、いろいろ行事が重なった上に、ご当地場所ですからね。なかなか腰を据えて稽古ができないなか、どこまで自分の相撲を取りきれるかがポイントになるでしょう。幸い彼は相撲のスタイルが固まっている。ずんぐりむっくりした体型が武器になっています。対戦相手も「やりづらい」と感想を漏らしています。

二宮: 今場所は十両に転落してしまいましたが、舞の海さん以来の軽量力士、隆の山はいかがですか?
舞の海: 隆の山は体力も技術もまだまだ磨く必要があります。新入幕だった先場所は中途半端な立ち合いが目立ちました。彼が土俵に上がると館内が沸きますし、お客さんを惹きつけるものは持っています。彼の師匠も鳴戸親方。その遺志を継いでもうひとまわり強くなってほしいです。

二宮: 舞の海さんの視点で、この先、チェックしておくとよい力士は?
舞の海: まず外見から入るなら前頭筆頭の隠岐の海でしょう。色気があって、昔ながらの力士の雰囲気がします。あとはモンゴルの長身力士・旭秀鵬。彼は十両ですけど、今後が楽しみです。モンゴル出身の力士は基本的にアスリート体型で最初から太っていない。稽古で鍛えて細身の体を大きくしている。これが理想です。相撲をおもしろくするためには新弟子検査で身長や体重の制限は必要ないと感じますね。僕もそうでしたが、アマチュア時代に背が低くても驚異的な身体能力で大きな力士に勝ったケースをたくさんみてきました。日大の同期でキャプテンだった禧久昭広(現鹿児島商高監督)も小さかったですけど、土佐ノ海をかついで頭から落としていた。のちにアマチュア横綱にもなりました。

二宮: 舞の海さんの入門がきっかけで、現在は基準に満たなくても身長167センチ、体重67キロ以上なら運動能力のテストを経て入門できるように緩和されました。とはいえ、一定の体格がなければ新弟子検査をクリアできない点は変わりません。「小よく大を制す、柔よく剛を制す」。この魅力が土俵上になければ、大相撲人気は戻らないでしょう。
舞の海: そうですね。反復横跳びとかスポーツテストで判断するのではなく、実際に土俵で相撲をとらせてほしいですね。単に体が大きいから力士にするのではなく、お客さんに喜んでもらえる相撲をとれるかどうか。こちらをより重視すべきでしょう。

(後編につづく)

<舞の海秀平(まいのうみ・しゅうへい)プロフィール>
1968年2月17日、青森県生まれ。木造高を経て日大相撲部で活躍し、高校教師での採用が内定していたにもかかわらず、周囲の反対を押し切って大相撲入りを決意。当時の新弟子検査基準に身長が届かなかったため、頭にシリコンを入れて合格する。出羽海部屋に入門し、90年5月場所に幕下付出しで初土俵。91年3月場所で十両に昇進。同年9月場所に新入幕を果たす。100キロにも満たない小兵ながら「猫だまし」、「八艘飛び」などを繰り出し、“技のデパート”の異名をとった。以後、99年11月場所での引退までに技能賞を5回受賞した。最高位は小結。通算成績は385勝418敗27休。現在はNHK大相撲解説者を務めるほか、スポーツキャスターとしても幅広く活躍中。ちゃんこ鍋やラーメンなどのプロデュースもしている。
>>オフィシャルサイトはこちら

★今回の対談で楽しんだお酒★[/color]

樫樽の中で歳月を重ねることで味わいに深いコクとまろみを加えた、アルコール度数38度の長期貯蔵本格そば焼酎「マヤンの呟(つぶや)き」。国際的な品評会「モンドセレクション」2011年最高金賞(GRAND GOLD MEDAL)受賞。

提供/雲海酒造株式会社

<対談協力>
極上串焼 銀座 匠
東京都中央区銀座6−8−7 香詢ビル4階
TEL:03-5537-7702
営業時間:
ランチ  11:30〜15:00
ディナー 17:00〜23:00(月〜金)、16:00〜22:00(土、日、祝日)

☆プレゼント☆
舞の海さんの直筆サイン色紙を長期貯蔵本格そば焼酎「マヤンの呟(つぶや)き」(720ml、アルコール度数38度)とともに読者3名様にプレゼント致します。ご希望の方はより、本文の最初に「舞の海さんのサイン色紙希望」と明記の上、下記クイズの答え、住所、氏名、年齢、連絡先(電話番号)、このコーナーへの感想や取り上げて欲しいゲストなどがあれば、お書き添えの上、送信してください。応募者多数の場合は抽選とし、当選は発表をもってかえさせていただきます。たくさんのご応募お待ちしております。なお、ご応募は20歳以上の方に限らせていただきます。
◎クイズ◎
 今回、舞の海さんと楽しんだお酒の名前は?


 お酒は20歳になってから。
 お酒は楽しく適量を。
 飲酒運転は絶対にやめましょう。
 妊娠中や授乳期の飲酒はお控えください。

(構成:石田洋之)
◎バックナンバーはこちらから