なでしこJ、ニールセン監督が松窪に最大限のチャンス与えるも敗戦 ~親善試合~

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 サッカー日本女子代表(なでしこジャパン、FIFAランキング7位)は28日(現地時間27日)、同スペイン代表(同2位)と親善試合を行ない、1対3で敗れた。なでしこジャパンは、FW田中美南(ユタロイヤルズ)の得点で先制したものの、逆転負けを喫した。

 

 谷川は後半途中出場(スペイン)
なでしこジャパン 1-3 スペイン代表
【得点】

[な] 田中美南(30分)
[ス] クラウディア・ピナ(44分)、ヴィッキー・ロペス(66分)、
アテネア・デルカスティージョ(88分)

 

 なでしこジャパンを率いるニスル・ニールセンにとって、今回のFW松窪真心(ノースカロライナ・カレッジ)はどうやら、W杯覇者スペインを相手にフルタイムで出場チャンスを与える出来だったようだ。

 

 松窪の潜在能力にどうこういう気は私もない。ただ、強豪国・スペインを相手に、あの守備時のポジショニングでは、前半でベンチに退くものかと思っていた。仮にハーフタイム明けもピッチに立つことがあるとするなら、守備時のポジショニングを修正できているのかと思った。

 

 スペインの布陣は4-3-3。対する日本の布陣は守備の時間が多かったこともあったのか4-4-2。守備時のみ4-4-2で攻撃時は4-3-3だったかもしれないが、なでしこのボール支配率が36%だったため、ほぼ4-4-2のかたちを取らざるを得なかった。

 

 こうなると、相手のアンカーをマークするのが定石だ。それを松窪ができていたかというと大きな疑問符が付く。試合途中、松窪は日本の中盤の選手に相手のアンカーにマークをつくように指示をしている素振りを見せていた。だが、それは彼女がパスコースを切りながらボールホルダーにプレッシャーをかけることを考えるべきだったのではないか。

 

 なでしこの監督を務めるニールセンは、この現象を野放しにしたと言っていい。ここまで徹底して修正を施さなかったならば、スペインという強豪相手にして、松窪という才能に賭けたのだろうか。

 

 はたまた、自分の手腕のなさを「相手がスペインだったから」「松窪が機能しなかったから」という自らの保身に使ったのだろうか。そう疑いたくなるほど、ニールセンの判断、采配は謎だった。強豪とのアウェーでの貴重な機会を、無駄にしたといっても過言ではない。

 

 日本サッカー協会が、なでしこジャパンにポゼッションサッカーを求めるのであれば、ニールセンの脇を固める狩野倫久コーチこそが適任ではないだろうか。狩野がアンダーカテゴリーを率いて見せたサッカーこそ、ポゼッションサッカーだったのではないだろうか。

 

(文/大木雄貴)

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