第333回 「2-0」 ~愛媛FCトップチームとレディースチームの躍動~

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 愛媛FCレディースが参戦する「なでしこリーグ1部」は、5月でシーズン半分の試合数を消化。第12節のアウェイ(スペランツァ大阪)戦では今季3勝目をマークするも、上位チームには大きく水を開けられている。

 

 翌週の6月15日(日)に行われた第13節では、リーグ戦首位(今季は未だ無敗)の朝日インテック・ラブリッジ名古屋をホーム(愛媛県総合運動公園球技場)に迎え対戦。強敵相手ではあるが、今季初の連勝を決め、シーズン後半戦へ向け弾みをつけたいところだ。

 

 愛媛は立ち上がりから積極的な攻撃の姿勢を見せた。守備陣はGK山内れな選手を中心に、相手の決定機を防ぐ好プレーを随所で魅せる。

 

 一進一退の攻防が続く中、試合は後半へと突入。

 

 後半9分、ペナルティアークまでドリブルで侵入したFW田上歩実選手が相手DFからファウルを受ける。このファウルがレッドカードとの判定になり、愛媛が数的優位に立つ。

 

 すると後半29分、相手ゴール前でMF前田花依選手のシュートから混戦になった。FW桜井由衣香選手がペナルティアークに位置取るMF小島和希子選手へとバックパス。このボールをダイレクトに捉えた小島選手。右足を豪快に振り抜くとボールは敵GKの脇を擦り抜け、見事ゴール!

 

 大歓声が沸き起こるスタンド! 小島選手はチームメイトと抱き合い喜びを分かち合っていた。

 

 先制ゴールで勢いに乗る愛媛は更に攻勢を仕掛けた。後半40分、センターサークル内の田上選手からのフィードに、桜井選手が抜け出した。ボールに追い着きペナルティーエリアまで持ち込み、右サイドから走り込むFW児野楓香選手へラストパスを供給。ボールを捉えた児野選手がスライディングシュートでゴールマウスに押し込み追加点! 再び歓喜に包まれる試合会場! ガッツポーズで喜びを表現する児野選手! チームメイトからは手荒な祝福を受けていた。

 

 その後、反撃を試みる名古屋だったが、愛媛の守備陣が踏ん張り自陣ゴールを死守。

 

 最終スコア「2-0」で愛媛が無敗の名古屋に土をつけ、今季初の連勝をマークした。

 

 試合後も嬉しい勝利の余韻が続く中、最後は選手とファン・サポーターによる勝利のラインダンスで今節を締め括った。

 

 歓喜に沸いた総合運動公園球技場から6日後。隣接しているニンジニアスタジアムで、今度は愛媛FCトップチームによる熱い闘いが繰り広げられた。

 

 6月21日(土)、J2第20節がホームで行われた。

 

 今節の対戦相手はレノファ山口。(第19節終了時点)愛媛と同じくJ3降格圏に位置し、J2残留を争っている相手である。

 

 そんなこともあり、一部の愛媛FCファン・サポーターからは、今節を「裏天王山の戦い」とも称され、試合前から大事な一戦であることが印象付けられていた。

 

 夕闇に包まれ、独特な緊張感が漂う中、試合がスタート。ピッチ上では気合の入った表情を見せる若き愛媛の選手達が攻守で躍動。特にGK白坂楓馬選手の動きも良く、また守備陣のセカンドボールへの対応も早く、プレーに安定感を感じる。

 

 愛媛が若干、優位に進めるも試合はスコアレスのまま後半へと突入。

 

 後半1分、愛媛がコーナーキックのチャンスを得る。キッカーはFW佐藤亮選手。右コーナーからニアサイドへ向け低い弾道のクロスを供給。MF吉田温紀選手がヘッドでゴール前へとボールを反らす。ファーサイドに詰めていたDF石尾崚雅選手がこのボールを捉え、左足でゴールへと流し込んだ。大歓声が沸き起こるスタジアム! チームメイトに囲まれ喜びを分かち合う石尾選手!

 

 先制点を得て、勢いに乗る愛媛。後半20分、再び歓喜の瞬間が訪れる。愛媛によるコーナーキックの流れから一旦弾かれるが、MF窪田稜選手がゴール前にアーリークロスを供給。このボールをFW田口裕也選手がヘッドでゴール前に折り返す。直後の混戦から最後は田口選手自身がゴールへと押し込んだ!

 

 ゴール裏スタンドの愛媛サポーターに駆け寄り絶叫し、喜びを爆発させる田口選手! サポーターも大興奮だ!

 

 その後、山口も反撃を試みるが、白坂選手のスーパーセーブ等も飛び出し、失点を許さない。愛媛リードのまま時間は過ぎ去り、ついにはタイムアップ。

 

 最終スコア「2-0」で愛媛FCが勝利。今シーズンでのホームゲーム初勝利となった。

 

 待ち望んでいた勝利にニンジニアスタジアムには、歓喜の輪が広がっていく。約1年ぶりのホームでの勝利に、サポーターも感情剥き出しで喜びを表現。感動のあまり、涙を流している方々もおられた。

 

 最後は選手とファン・サポーターによる勝利のラインダンスで歓喜の試合を締め括った。

 

 今季リーグ戦においては青野慎也監督采配での初勝利でもある。急遽、重責を任され精神的にも大変だったと思う。取り敢えず、ひと安心といった心境だろうか。

 

 6月24日(火)、愛媛FC事務局は、暫定的にトップチームの指揮を執っていた青野慎也さんが正式にトップチーム監督に就任することを発表した。

 

 新監督へ就任された青野さん。愛媛FCのJFL時代、青白のユニフォームで共に戦ってきた戦友(青野さんは選手で、私はサポーターとして。)でもあるので、粘り強く頑張っていただきたい。

 

 今節「裏天王山」を制した愛媛FC。長いトンネルを抜け出ることができたのか、今後のトップチームを注視していかなければならない。それでも、若い選手たちが多いチームだけにホームゲーム初勝利を浮上のきっかけにして欲しいし、良い意味で調子に乗ってもらいたい。

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