第139回 高知・定岡智秋「キャッチャー飯田の穴を埋める存在」
現在、アイランドリーグは各地でトライアウトを実施し、残すところ10日、11日の高知・春野球場でのテストを残すのみとなりました。高知の今オフ、最大の補強ポイントはずばりキャッチャー。レギュラーの飯田一弥が福岡ソフトバンクから育成指名を受け、他のキャッチャー陣も退団したため、現状、チームには扇の要がひとりもいません。
飯田に関しては育成ドラフトの最後の最後でよく指名されたと思います。彼にはソフトバンクを含めた2球団から話をいただいていたのですが、もう1球団は早々と選択を終了。ソフトバンクも育成6位でキャッチャーを指名したため、ポジションが重なる飯田は厳しいと感じていました。昨年の安田圭佑に続き、2年連続で古巣ホークスにお世話になる選手を出せたことは本当に喜ばしいです。プロに入ってしまえば支配下選手と育成の違いはあれど指名順は関係ありません。いかに自分の力をアピールし、首脳陣に認めてもらえるか。この1点に集中して頑張ってほしいと思っています。
飯田の長所は何と言っても肩の強さです。1年目に彼を見た時、「2、3年後にはNPBに行ける」と直感しました。実は昨オフ、彼は「もうやめたほうがいいのでは」と進路を迷っていました。でも、「キャッチャーは少々、年齢が高くてもNPBに行ける。自分からチャンスを潰す必要はない」と説得し、もう1年頑張らせました。夢を叶えるまで4年かかりましたが、最初の見立ては間違っていませんでしたね。
昨季までの飯田はどちらかと言うと気持ちが優しく、攻守に好不調の波がある点が課題でした。そこで今季はキャプテンに指名し、名実ともにチームを引っ張ってもらうことにしました。チームの成績は芳しくなかったものの、彼自身は打率.280、2本塁打、24打点。4年間で最高とも言える成績を残しました。1年間、気持ちを切らさず、プレーし続けたことがスカウトの目に留まったのでしょう。
とはいえ捕手として重要なリード面では、まだこちらが要求している半分のレベルです。どうしても配球が偏るクセがあり、入団当初から彼には「NPBの試合を見て勉強してほしい」「打者の特徴や打席でのしぐさをよく観察しよう」と口をすっぱくして伝えてきました。ただ、リードは本人の意識と経験でいくらでも良くなります。僕がホークスの2軍コーチをしていた頃にプロ入りした城島健司も最初はリードもキャッチングも全くダメでした。でも彼は日々、教わったことを吸収し、試合を重ねるなかで最終的にはメジャーリーグに行くレベルに到達したのです。プロは厳しい世界ですから、選手層の薄いアイランドリーグのように1度ダメでも再びチャンスが巡ってくるとは限りません。飯田にはすべての面で磨きをかけ、与えられた出場機会を存分に生かしてほしいものです。
飯田の後釜になりそうなキャッチャーは現在、トライアウトのみならず、独自のルートを使っていろいろ探しています。今のところ即戦力になりそうな選手をほぼ確保できそうな状況です。トライアウトでも何人かいい素材が目に留まりました。ヤクルト戸田球場で受験した志木高の松山雄大は肩も強く、捕球してから送球までが早い。かつスローイングも安定していました。また福岡でのトライアウトに参加した東京ガスの山城一樹も体が強く強肩でした。キャッチャーにとって肩の強さは大きな武器。今オフ最後のトライアウトとなる春野でも、逸材が現れることを楽しみにしています。
来季の高知は投手陣に関しては実績のある野原慎二郎、吉川岳、今季のチーム勝ち頭になった山慎一郎が残留し、先発に関してはほぼ計算が立ちます。ここに外国人が1人加わり、まだ名前は明かせませんが、おもしろいサイドスローのピッチャーも入団予定です。野手も主力メンバーはほぼ変わらないため、必要なのは内野手、外野手で1人ずつ程度。こちらも外国人を補強し、打線に厚みを持たせたいと考えています。
来季は待望の照明設備が高知市営球場に完成します。設置に動いていただいた地元自治体やファンの皆さんのためにも、強いファイティングドッグスで恩返しをしなくてはなりません。今年のようなふがいないシーズンを絶対に繰り返さないよう、新たな年に向けてしっかり補強し、春のキャンプで選手の力を伸ばしていきたいと思っています。来季はナイトゲームも増え、試合観戦がしやすくなるはずです。たくさんの応援をぜひ、よろしくお願いします。
<定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海(現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホークス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息子の卓摩は東北楽天の内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。
飯田に関しては育成ドラフトの最後の最後でよく指名されたと思います。彼にはソフトバンクを含めた2球団から話をいただいていたのですが、もう1球団は早々と選択を終了。ソフトバンクも育成6位でキャッチャーを指名したため、ポジションが重なる飯田は厳しいと感じていました。昨年の安田圭佑に続き、2年連続で古巣ホークスにお世話になる選手を出せたことは本当に喜ばしいです。プロに入ってしまえば支配下選手と育成の違いはあれど指名順は関係ありません。いかに自分の力をアピールし、首脳陣に認めてもらえるか。この1点に集中して頑張ってほしいと思っています。
飯田の長所は何と言っても肩の強さです。1年目に彼を見た時、「2、3年後にはNPBに行ける」と直感しました。実は昨オフ、彼は「もうやめたほうがいいのでは」と進路を迷っていました。でも、「キャッチャーは少々、年齢が高くてもNPBに行ける。自分からチャンスを潰す必要はない」と説得し、もう1年頑張らせました。夢を叶えるまで4年かかりましたが、最初の見立ては間違っていませんでしたね。
昨季までの飯田はどちらかと言うと気持ちが優しく、攻守に好不調の波がある点が課題でした。そこで今季はキャプテンに指名し、名実ともにチームを引っ張ってもらうことにしました。チームの成績は芳しくなかったものの、彼自身は打率.280、2本塁打、24打点。4年間で最高とも言える成績を残しました。1年間、気持ちを切らさず、プレーし続けたことがスカウトの目に留まったのでしょう。
とはいえ捕手として重要なリード面では、まだこちらが要求している半分のレベルです。どうしても配球が偏るクセがあり、入団当初から彼には「NPBの試合を見て勉強してほしい」「打者の特徴や打席でのしぐさをよく観察しよう」と口をすっぱくして伝えてきました。ただ、リードは本人の意識と経験でいくらでも良くなります。僕がホークスの2軍コーチをしていた頃にプロ入りした城島健司も最初はリードもキャッチングも全くダメでした。でも彼は日々、教わったことを吸収し、試合を重ねるなかで最終的にはメジャーリーグに行くレベルに到達したのです。プロは厳しい世界ですから、選手層の薄いアイランドリーグのように1度ダメでも再びチャンスが巡ってくるとは限りません。飯田にはすべての面で磨きをかけ、与えられた出場機会を存分に生かしてほしいものです。
飯田の後釜になりそうなキャッチャーは現在、トライアウトのみならず、独自のルートを使っていろいろ探しています。今のところ即戦力になりそうな選手をほぼ確保できそうな状況です。トライアウトでも何人かいい素材が目に留まりました。ヤクルト戸田球場で受験した志木高の松山雄大は肩も強く、捕球してから送球までが早い。かつスローイングも安定していました。また福岡でのトライアウトに参加した東京ガスの山城一樹も体が強く強肩でした。キャッチャーにとって肩の強さは大きな武器。今オフ最後のトライアウトとなる春野でも、逸材が現れることを楽しみにしています。
来季の高知は投手陣に関しては実績のある野原慎二郎、吉川岳、今季のチーム勝ち頭になった山慎一郎が残留し、先発に関してはほぼ計算が立ちます。ここに外国人が1人加わり、まだ名前は明かせませんが、おもしろいサイドスローのピッチャーも入団予定です。野手も主力メンバーはほぼ変わらないため、必要なのは内野手、外野手で1人ずつ程度。こちらも外国人を補強し、打線に厚みを持たせたいと考えています。
来季は待望の照明設備が高知市営球場に完成します。設置に動いていただいた地元自治体やファンの皆さんのためにも、強いファイティングドッグスで恩返しをしなくてはなりません。今年のようなふがいないシーズンを絶対に繰り返さないよう、新たな年に向けてしっかり補強し、春のキャンプで選手の力を伸ばしていきたいと思っています。来季はナイトゲームも増え、試合観戦がしやすくなるはずです。たくさんの応援をぜひ、よろしくお願いします。
<定岡智秋 (さだおか・ちあき)プロフィール>: 高知ファイティングドッグス監督
1953年6月17日、鹿児島県出身。定岡三兄弟(次男・正二=元巨人、三男・徹久=元広島)の長男として、鹿児島実業から72年、ドラフト3位で南海(現ソフトバンク)に入団。強肩の遊撃手として河埜敬幸と二遊間コンビを形成した。オールスターにも3回出場し、87年限りで現役を引退。その後、ホークス一筋でスカウトや守備走塁コーチ、二軍監督などを歴任。小久保裕紀、松中信彦、川崎宗則などを指導し、現在の強いソフトバンクの礎づくりに貢献した。息子の卓摩は東北楽天の内野手。08年より高知の監督に就任。現役時代の通算成績は1216試合、打率.232、88本塁打、370打点。