東芝ブレイブルーパス東京、荒岡社長と星野Pが退任 新社長は薫田GMが兼務 ~リーグワン~ 

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 14日、ラグビー・リーグワンの東芝ブレイブルーパス東京が定例会見を行い、2025‐26シーズンの体制を発表した。荒岡義和社長が7月限り、星野明宏プロデューサーが8月限りで退任、チームを離れる。薫田真広GMが8月1日付けで新社長を兼務する。

 

 リーグワン2連覇を果たしたブレイブルーパス。優勝から6日後の6月7日には、ホストエリア府中市で優勝報告会を実施し、約7000人ものファンが集まった。ブレイブルーパスはシーズン中も定期的に定例記者会見を開催し、自チームの取り組みやメディアに情報を発信してきた。この日は24-25シーズンの総括として、事業面と強化面での振り返りを行った。

 

 事業売上高は母体企業のスポンサー収入を除き7億2000万円を計上した。これは前年比126%。チケット収入は前年比1300万円増の2億100万円だった。グッズ売り上げ、ファンクラブ会員数と軒並み数字を伸ばした。大手芸能事務所のスターダストプロモーションとコラボ企画などライト層獲得にも力を入れた。

 

 強化面においては、前シーズン(23-24)は2位でプレーオフトーナメントに進出したが24-25シーズンは1位通過。アタック面での充実ぶりが顕著で、得点、トライなどリーグトップの数字を叩き出した。反則数はリーグ3番目に少ない数字(前年は8番目)だ。「私が就任した時から、リーグワンで一番ペナルティーの少ないチームをつくりたいと思っていました」と薫田GM。「クリーンなラグビーをするチーム、ペナルティーをしないということはフィジカル、メンタル、スキルが備えている。選手、チームとしての習熟度を上げていく。ペナルティーの数は来季も意識していきたい」と語った。

 

 リーグ連覇は15年ぶり。再び黄金期を構築していくのか。クラブOBで当時を知り、現在は事業運営部に勤める望月雄太氏は共通点を挙げる。
「もちろん、その時代によってのノリだったり、雰囲気は違うところもありますけど、根本のところは変わらないのかなと感じます。やはり勝っている時のチームは、ある程度互いに言いたいことを言い合い、それを受け入れている感じがある。これもラグビー全体に言えることだと思いますが、チームが弱い時は、ベクトルが外に向き、他責の思考にばかりなってしまう。強い時は、やっぱりベクトルがちゃんと内側に向いているので、ミスした選手を責めるよりも、ミスをカバーしようという思考になるはずですからね」

 

 望月氏はこう続ける。
「あとはなんとなくみんなで飲む機会が増えてきている気がします。一時期、あまりうまくいっていない時って、『ご飯行こう』『飲もう』と言っても、パラパラとしか集まらなかった。それが今、リーチ(マイケル)や小川(高廣)らベテラン勢が率先して『やろうよ』と声を掛けてくれている。若手もそこについていっている。だから、ウチに合う子たちがちゃんと来てくれて、ウチの文化を継承しているベテラン選手たちが、きちんと若い世代に伝えている。そこはすごく大きい気がします」 

 

 選手、監督、GMとして日本一を経験した薫田GMは、名門復活への手応えを感じ取っている。

「“接点無双”“猛勇狼士”という我々がカルチャーとして大事にしてきた部分と、近代ラグビーの良さがうまく融合できていると感じています。オフフィールドのところのベースは同じだと思いますが、今流のところとも噛み合っている。今後もいかに融合させていくかが大事。今流で走るというよりは、我々はラグビー界ではコテコテの武闘派。武骨さも大事にしていきたい」

 

 リーグワン3連覇に向け、DFコーチのタイ・リーバ氏に代わる指導者を招聘するが、トッド・ブラックアダーHC、森田佳寿コーチングコーディネーターを中心とする現場の体制は継続していく。しかし、来季はLOワーナー・ディアンズ、HO原田衛ら主力メンバーがチームを離れる。主にWTBで出場した森勇登が横浜キヤノンイーグルスに移籍。WTBジョネ・ナイカブラも負傷で長期離脱は避けられない状況で、薫田GMはバックスリー、LOのポジションの補強を示唆した。一方でFLシャノン・フリゼルは契約延長により来季もブレイブルーパスでプレーするという。

 

 メンバーが代わるのは選手だけではない。この日、発表されたのは社長とプロデューサーの退任だ。荒岡社長は母体企業の東芝から分社化してからの4年間、翌年チームに加わった星野プロデューサーは3年間、ブレイブルーパスの事業面を支えた。その成果が母体企業からの支援を除く事業収入7億2000万円を計上したことだろう。星野プロデューサーは「荒岡さんとは『単独売り上げ10億円を実現できたらいいね』と話していました。この2、3年でそれに近いところまでもってこれたことは、それなりの成果だと思っています」と振り返った。
「一番の苦労はアマチュアからプロフェッショナルに変わるマインドチェンジのところ。これは東芝に限らず、リーグ、日本協会にも言えること。簡単にチームを回すために必要なお金を自分たちでしっかり稼ぎ、やりたいことをやっていく。それが当たり前にできるサイクルを回していくことです」

 

 神奈川・桐蔭学園高校ラグビー部出身の星野プロデューサーは、大学卒業後は大手広告代理店に就職。10年勤続した後、筑波大学大学院で学び、教育者へと転じた。静岡聖光学院では全国高校ラグビー大会(花園)出場に導き、勤務15年で校長に就任するなど学校改革に邁進した。U17日本代表の指揮を執り、静岡県ラグビー協会の法人化にも尽力した人物だ。桐蔭学園の後輩にあたる望月氏を採用担当から事業運営部に引っ張ったのも星野だ。「星野さんから学べるもの、得られるものはとてつもなく大きいと思い、もうびっしり張り付いて、勉強させてもらいました。スポーツのビジネスのところの中で生きていきたいと考えるようになったのは星野さんとの出会いがあったから。もうちょっといろいろ教えてほしかったなという気持ちは正直あります」と望月氏。荒岡社長と共に事業面でのキーパーソンがチームを去る。

 

 新たな船出を切るブレイブルーパス。チームを黄金期に突入させ、右肩上がりの事業面と共にリーグ、日本ラグビーを牽引する存在となれるか。25-26シーズンは、真価が問われる1年となりそうだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)

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